おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

「まん中のドが探せない」子供(第7号)

2012年04月01日 | 苦手なことがある子供たち
ピアノの鍵盤は88鍵あります。そして白と黒に分かれています。

初めてピアノを習う生徒さんには、黒鍵が2つ並んでいる所と3つ並んでいる所をそれぞれグーやパー、
もしくはチョキでやさしく弾いてもらいます。
2つ並んでいる所だけとか3つ並んでいる所だけと決めて行います。

すると、小学生で2つも3つも区別がつかない子供がいます。
数はかぞえられます。しかし、見ただけでは区別がつかないのです。
2つの黒鍵の方が数が少ないから狭く、3つの黒鍵の方が数が多いから広いということが分からないのです。

これは空間認知に関係しているのだと思います。

いつまでも「ド」の位置を覚えないからこの子はやる気がないのだと思わないで下さい。
こちらが想像していないことでつまずいていることがあるのです。
「ド」が探せないのは、2つと3つの黒鍵の判別ができていないからです。
  
このような生徒さんにはどうしたら良いでしょう?

私はよく、クラウス・ルンツェの「ふたつの手・12のキー」(日本ショット)という本を使います。
習い始めの生徒には必ず使っています。(途中までですが)
                                          
この本は絵を見て弾くというもので、音符は一切読みません。子供が書いた絵がたくさん載っています。
生徒たちはこの絵に興味津々です。ジーッと見つめて「ヘンな顔」とか「ここがヘン」などと言っています。

この本の初めの2ページに黒鍵に手をのせるものがあります。
「シマウマさん、こんにちは!」と「ヨタヨタあるきのアヒルさん」という題がついています。

「シマウマさん、こんにちは」は、2つの黒鍵、3つの黒鍵、さらに5つの黒鍵に平手で手をおいていくものです。
両手を重ね、下にある手を先にぬいて次のグループに進みます。初めは2つの黒鍵群だけに手をおき、それができるようになったら3つ、5つと行います。5つは子供の手では置ききれないので私は行っていません。
「ヨタヨタあるきのアヒルさん」は、2つの黒鍵に左手、3つの黒鍵に右手をおくものです。

これらは手の触覚から黒鍵の区別をつける狙いがあるようです。

同じページに、白鍵のシドとミファの間にハガキを挟む方法も書かれています。
区切ることで2つと3つの区別がつきやすくなりますが、見ただけで幅の違いが分からない生徒さんにはこれだけでは足りません。

物の長さの違いが見ただけでは分からない生徒さんのために、「パタパタ定規」というものを考えられた学校の先生がいらっしゃいます。
同じ幅のプラスティックの板をつなぎ合わせてそれを折りたたみ、パタパタ広げて長さを知るというものです。
例えば、Aの棒は3回パタパタさせた、Bの棒は4回。だからBの方が長いという具合です。
これをハガキで区切った部分に使えばよいわけです。
私は名刺大の紙をつなぎ合わせて使っています。これはリズムの長さを感じにくい生徒にも使うことができます。
1拍が「パタ」なら2拍は「パタパタ」というように。

見るだけでは分からない生徒さんにレッスンの度にどこが「ド」か聞いても、できない、わからない感情を
どんどん植え付けてしまいます。

「ふたつの手・12のキー」は図形に対する理解力という前提から4~7歳の生徒を対象として構成されているとあります。

鍵盤にシールを貼る前に試されてみてはいかがでしょう。




(Amazonでのご購入はこちら)
「2つの手・12のキー」日本ショット
ユニークなテキストです。絵しかないので子供は理解しやすいようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする