先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

「成層圏」に煙幕を張って太陽光を遮る温暖化対策?

2018年08月10日 23時06分49秒 | 日記

 

ニューズウィークに表題の記事が出ていたが、意外にも奇想天外の発想ではなく、効果があるとのこと。ただし費用対効果は不明で、どっかの政府が実際に実地するとかの話ではなく、従前たる研究結果である。人間の活動が宇宙にも買っている好例だろう。

<地球温暖化対策として、成層圏にエアロゾル(煙霧質)を人工的に注入して太陽光を反射する構想があるが、その場合、農作物にどんな影響を及ぼすのかという研究が行われた>

地球温暖化を緩和する目的で、成層圏にエアロゾル(煙霧質)を人工的に注入して太陽光を反射させる地球工学的な構想がある。米国の研究チームは最近、こうした対策は農作物の収量に悪影響を及ぼす可能性があるとする調査結果を発表した。

( 気候変動と地球工学(ジオエンジニアリング)

カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)の農業・資源経済学部で博士課程のジョナサン・プロクター氏らが実施した研究で、英学術誌『ネイチャー』に論文掲載された。米紙ワシントン・ポストなどが報じている。

地球工学(ジオエンジニアリング)のうち、成層圏にエアロゾルを注入する構想は、過去に大規模な火山噴火が起きたとき、地球規模で気温が下がった事例に着想を得ている。

火山が大規模な噴火を起こすと、大量の火山灰や二酸化硫黄などの化合物が大気中に噴き上げられ、成層圏まで達したエアロゾルは強い風によって地球全体に拡散し、太陽光を反射する日傘のようなはたらきをする。

こうした状況を人工的に作り出し、気候変動の影響緩和に役立てる手法は「成層圏ベール」と呼ばれる。以前の研究では、成層圏ベールが作物への熱ストレスを低減し、作物の収量を増やす可能性が示唆されていた。

UCバークレーの調査

UCバークレーの研究チームは、1982年に起きたメキシコのエルチチョン火山噴火と、1991年に起きたフィリピンのピナトゥボ山噴火の影響を調査。ピナトゥボ山噴火の際には、2000万トンもの二酸化硫黄が大気中に注入され、太陽光を2.5%低減し、地球全体の平均気温を約0.5度下げている。

研究チームは作物収量への影響を調べるため、1979年から2009年までの期間、105カ国を対象に、地球観測衛星によるエアロゾル濃度、日照データと、トウモロコシ、大豆、米、小麦の収量の関係を分析。

これに基づいて地球規模の成層圏ベールのモデルを作成して予測した結果、寒冷化がもたらす作物収量への好影響が、日照量の減少による収量減少によってほぼ相殺されるという結論に達したという。

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米マリアナ諸島も大麻合法化か、法案可決。知事のサイン待ち

2018年08月10日 22時38分30秒 | 日記
Forbesが報じていた:::米国の北マリアナ諸島連邦(CNMI)の議員らは大麻の合法化法案を可決した。北マリアナ諸島連邦にはリゾート地として人気のサイパン島も含まれている。
 
アメリカの8州で大麻合法化されているが、テキサス大学ダラス校のロバート・G・モリス、マイケル・テニャック、J. C. バーンズ、トミスラフ・コバンジックら4氏は最近の研究レポートにおいて、「医療大麻の合法化が犯罪の増加を促すことはない」との結論を下しました。モリス教授らはFBIが所有するアメリカ各州の犯罪データを用い、1990年~2006年まで実に17年間分のデータにわたって、殺人や強姦、強盗、暴行、押し込み強盗、窃盗、車泥棒など7種類の各犯罪の犯罪率の増減を調査しました。その結果、興味深いことがわかりました。例えば医療大麻の合法化が殺人と暴行を上昇させることはなくむしろ低下させ、また強盗や夜盗といった他の犯罪の上昇に影響していませんでした。
 
 
さて、北マリアナ諸島の大麻合法化は、NMI下院議会は賛成18、反対1、棄権1で法案を可決させ、21歳以上の成人の大麻使用を合法化しようとしている。この法案は医療大麻や産業用大麻繊維(ヘンプ)についても適用される。

「北マリアナ諸島連邦の人々は、大麻の禁止が誤った認識に起因したものであることを認識している。議会のリーダーらは市民感情に沿うかたちで今回の決定を下した。CNMI下院議会は人々の意志を尊重する」と議員連盟のメンバー、Lawrence Duponcheelは声明で述べた。

法案が成立すれば、北マリアナ諸島連邦は米国の司法権のもとで、医療目的及び嗜好目的の大麻使用を一気に合法化する最初の地域となる。この地域では、米国の他州での大麻の合法化の前提とみなされる医療大麻プログラムがこれまで存在していなかった。

さらに、住民投票ではなく議員らの決議により大麻の生産及び販売が合法化されるのも、今回が初のことだ。これまで嗜好用大麻の販売を合法化した米国の8州は、いずれも住民投票により法案を可決していた。また、ヴァーモント州は今年初め、大麻の所持及び家庭での栽培を許可した9番目の州になったが、大麻の販売は認めていない。

議員連盟NORMLの政治ディレクターを務めるJustin Strekalは、大麻規制の改革が人々の支持を集めていることにふれつつ、次のように述べた。「北マリアナ諸島連邦の市民や議員らは、歴史を変えようとしている。今秋の米国中間選挙を控え、より多くの米国議員らがこの動きに注視すべきだ」

今回、可決された法案には次のような記載がある。「適切な基準のもとで大麻の合法化を行ない、責任ある大人たちの大麻使用を許可した州では、健康や治安、市民らの生活の質が大きく改善したことが確認されている」

議員らは大麻の流通を法の枠組みに取り込み、適切に管理された市場で流通させ、課税することにより、雇用の創出や税収の社会インフラ整備への活用が見込まれると述べている。大麻市場から得られる税収は公立学校の建設や、年金、薬物乱用者の治療プログラムなどに用いられる。さらに、大麻を用いた新たな病気治療の研究や、産業用大麻の市場の創出も期待できるという。

しかし、北マリアナ諸島知事のラルフ・トーレスは、大麻の合法化に対し慎重な姿勢を示しており、次のように述べた。「大麻を合法化した米国の9州では、犯罪の増加が起きていないだろうか? 仮に犯罪の増加があるとすれば、それはどのような種類のものなのか。我々は他の事柄についても検討を行なうべきだ。私自身は公共の安全面での問題を懸念している」

トーレスが法案に署名するか否かは、現時点では分からない。
 

福岡、熊本など九州35自治体、公衆無線LAN、暗号化せず 

2018年08月10日 22時18分29秒 | 日記

西日本新聞が九州自治体が 街頭や公共施設などでインターネットに無料で接続できる県や市町村の公衆無線LAN(Wi-Fi)について、福岡、長崎、熊本の各市を含め九州7県の少なくとも35自治体が通信内容を暗号化しておらず、クレジットカード情報やメールを他人に盗み見される恐れがあることが、総務省や各県市への取材で分かった。無線接続機器の安全対策プログラムを更新していない自治体も九州7県の22自治体に上る。スマートフォンやパソコンで利用する際は重要な情報の入力を避けるなど、注意が必要だ。
しかし、同士が掲載していた全国での自治体の表をみると、全国の自治体の暗号化していない率が多いことになる。暗号化していない自治体数が47都道府県で256件に対し九州7県で35件だから、256/47(1県当たり5.5件)対 35/7(1県あたり5件)。


 総務省などによると昨年10~11月時点で、全国では約570、九州では約70自治体が公衆無線LANを設置しているとみられる。

 

 このうち、少なくとも全国の延べ256自治体、九州の35自治体が無線区間の暗号化をしていなかった。無線でネットワークに接続するためのアクセスポイント(AP)など、公衆無線LAN機器のIDやパスワードを初期設定のまま利用しているのは全国114、九州10自治体に上った。

 APが乗っ取られ、迷惑メールの送信や掲示板への書き込みに悪用される恐れもある。安全対策プログラムなど機器の基本ソフトを随時更新して最新版に保つことも重要だが、全国179、九州22自治体が一度も更新していなかった。

第三者から傍受される恐れ

 不正アクセスを防ぐため、会員制交流サイト(SNS)のアカウントやメールアドレスを登録してもらって利用者を認証する方式もあるが、全国173、九州31自治体が利用者の確認をしていなかった。

 通信が暗号化されていない公衆無線LANでは、メールや画像、会員制サービスのログインIDやパスワード、クレジットカードの情報などを第三者から傍受される恐れがある。

 2020年の東京五輪パラリンピックに向けて、政府は自治体に補助金を出して公衆無線LANの整備を推進。訪日外国人を含む利用者は20年度に6418万人に達する見込みだ。

安全性を高めれば、利便性が低下する側面も

 自治体などの公衆無線LANに安全上の課題がある現状を踏まえ、総務省は9月にも、新たな安全対策の手引きを公表する。暗号化や複雑な認証などで安全性を高めれば、利用者の手続きが煩雑になり、利便性が低下する側面もあるため、担当課は「特定の方式を一律に推奨するのではなく、利用者が公衆無線LANを使う際、使い道に応じて暗号化の有無を選択できる環境を整備する必要がある」としている。


東芝、米LNG事業売却へ 残る負の遺産切り離し

2018年08月10日 18時59分57秒 | 日記

 

日経の最新ニュースで報じていたが、東芝がなぜLNGに迄手を出していたのか、全く合点行かない。2018年4~6月の第一四半期の決算を見ても。先行き明るい事業は何一つない。

 東芝が米国の液化天然ガス(LNG)事業の売却に向け、複数の企業と交渉に入ったことが10日分かった。国内外のエネルギー関連企業10社程度が入札に参加しているもようだ。経営危機の最悪期を脱した東芝にとって、米LNG事業は残る最大のリスク要因。最大1兆円の損失も懸念された同事業の切り離しに成功すれば、東芝を傾けた負の遺産との決別は大きく前進する。

 東芝が売却を検討するのは、米テキサス州で手がけるLNG基地事業。米国産のシェールガスをLNGに加工し、2019年から20年間にわたり年220万トンを販売する権利を持つ。

 このほど事業売却に向けた入札を実施し、東京電力ホールディングスと中部電力の共同出資会社JERA(東京・中央)のほか、米ガス大手テルリアンや中国政府系のエネルギー会社、中国石油天然気(ペトロチャイナ)など10社程度の名前が浮上している。

 今後、買収に名乗りを上げた企業との間で、事業価値の査定など本格的な交渉に入る。条件が折り合わなければ、売却が実現しない可能性はある。

 東芝はLNGの販売先の確保が難航しており、17年には最大1兆円の損失を生む可能性があると明らかにした。その後も全量を売るめどは立たず、直近でも2000億円の損失計上の可能性があると説明していた。

 足元のLNG価格上昇で採算見通しが改善したことから、東芝は非中核である同事業を売却し、経営再建を進める。

 東芝は13年に、電機メーカーとして異例ながら米LNG事業に参画した。隣接地域で受注した原子力発電所事業を下支えする狙いで、LNGを引き取る代わりにLNG基地に原発から電力を供給する計画だった。しかし原発建設は17年に事実上頓挫し、LNGの販売事業だけが残った。

 現在は8割程度の販売先が確保できるめどが立っているという。さらに原油価格に連動するLNG価格の上昇で採算が改善し、事業そのものの売却が視野に入った。昨年までは市場価格がLNGの販売原価を下回っていた。

 東芝は子会社だった米ウエスチングハウスの原発建設事業関連で1兆円以上の損失を計上、経営破綻寸前まで追い込まれた。17年末の大型増資などで財務面を改善し、上場廃止の危機を回避した。中国の独占禁止法当局の承認手続きの遅れで懸念されていた東芝メモリ売却も6月に完了。経営再建に向けて不確定要因を片付けてきた東芝にとって、残る最大のリスク要因である米LNG事業が売却できれば経営再建に向けた道筋が開ける。


サマータイム EUは廃止の是非を検討

2018年08月10日 17時38分01秒 | 日記

 

毎日新聞によると、安倍晋三首相が、2020年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策として、国全体の時間を夏季だけ早めるサマータイム(夏時間)の導入について検討する意向を示した。一方、夏時間を導入している欧州連合(EU)は、廃止の是非についてこの夏に本格的な検討を始めた。健康への悪影響など「利益よりも不利益が大きい」として廃止を望む声があるためだ。高齢者の脳卒中発生率が高くなるなど、健康への悪影響はデータが蓄積されつつある。東京オリンピックで急に導入したらという意見が出たのは、夏の猛暑のためであるがそもそもが、夏は猛暑だけでなく台風のきせつでもあり避けるべきであった。



 ◇フィンランドが提案
 EUの欧州議会は今年2月、行政執行機関の欧州委員会に対し、夏時間がもたらすさまざまな影響を徹底的に評価した上で、必要な場合は改正も検討することを求める決議を採択した。これを受けて、欧州委は夏時間を変更すべきか否か、域内の市民を対象に7月から意見募集を行っている。

 現在、EU加盟国が共通して採用する夏時間は、3月の最終日曜日から時計を1時間早めて10月の最終日曜日に元に戻す。夏時間は夜間のエネルギー消費を減らすことなどを目的に、第一次大戦中のドイツで最初に導入された。欧州では同じころ、他の多くの国でも一時的に採用され、石油危機を受けて1970~80年代に再導入されて現在に至る。

 省エネ以外にも、明るい時間帯に職場や学校から帰れることで交通事故が減少したり、暗い時間に営業する店などが減ることで犯罪率が下がったりするなどの効果がうたわれてきた。

 EUが制度を再検討するきっかけは加盟国フィンランドの提案だった。人口約550万人のフィンランドでは昨年秋、夏時間の廃止を求める7万人超の署名が国会に提出された。国会は運輸・通信委員会での検討などを経て「夏時間がもたらす利益よりも損失が大きい」として廃止を支持。だが夏時間はEU法で加盟国に義務づけられているため、フィンランドが独自に廃止することはできず、EUに協調した対応を求めた。

 緯度が高く夏の日照時間が極端に長いフィンランドでは、生活を1時間ずらす意義がほとんどない事情も背景にあり、リトアニアもEUに対して地理的な違いを考慮して制度を再検討するよう求めている。



 ◇脳卒中のリスク上昇
廃止派は、時間の切り替えが人間の睡眠などにかかわる「体内時計」を狂わせ、短期・長期で睡眠や心身の健康に悪影響を与えると主張する。ちなみに昨年のノーベル医学生理学賞は、体内時計をつかさどる仕組みを解明した米国人科学者らが受賞した。

 近年の研究では、夏時間に伴う社会的な時間の変化に体内時計が同調するまでに数週間かかる可能性が指摘されており、専門家の間では従来考えられていたよりも長い時間が適応に必要との見方が広がっている。

 またフィンランドのトゥルク大の研究チームの16年の報告では、短期的には脳卒中のリスクが上がる可能性も示された。同国内で10年分のデータを調べたところ、夏時間開始から2日間の脳卒中発症率が8%上昇し、65歳以上に限ると20%高かったという。同様に夏時間開始後に急性心筋梗塞(こうそく)の発症が有意に増加するという研究成果が、複数の国で報告されている。



 ◇エビデンスに基づく議論を



 欧州委員会は、域内のEU市民からの意見を募集するにあたり、さまざまな分野で夏時間がもたらす影響について最新の研究成果などを紹介している。廃止の是非を議論するにあたり、根拠となる「エビデンス(客観的証拠)」を提示し、それが信頼できるものかを含めて市民と対話を深め、結果に納得してもらうために必要なプロセスだからだ。欧州委は各分野で考えられる効果を次のように簡略にまとめている。

 【域内市場】加盟国が個別に夏時間の廃止を決定した場合、貿易におけるコストの上昇や交通・通信などにおける混乱を招き、EU市場には不利益が生じる。

 【省エネ】効果はごくわずかで、地理的な要因にも左右される。

 【健康】屋外での活動を推進する効果がみられる一方、人間のバイオリズムには従来考えられていたよりも厳しい影響があることが示唆される。総合的な影響は結論が出ていない。

 【交通安全】事故の減少と夏時間との関係の結論は出ていない。

 【農畜産業】動物のバイオリズムの変化や搾乳時間の変更による以前からの懸念は技術的な対応で解消された。日中の活動時間が延びる利点はある。



 日本では12年、日本睡眠学会の特別委員会が夏時間による影響について健康面から検討を重ね、「日本でのサマータイムは利益よりも不利益が多い」と結論付けた報告書を公表している。その中で、日本国内で繰り返し導入が検討されてきた経緯に触れ、「その主たる目的は、ある時は省エネルギーであったり、ある時はゆとりある生活であったり、またある時は経済活性化であったり、必ずしも同じではありません」と指摘した。

 そして今回の発端となったのが五輪の暑さ対策である。競技時間をずらせば済む話で、場当たり的な対応としか指摘しようがない。夏時間の導入から数十年たって廃止の是非を検討する地域があり、国内外に及ぼす影響を勘案してなお必要だというエビデンスはどこにあるのか。議論はそこからだ。【八田浩輔】