実家へ行った帰り、すぐ近くにある「押切北公園」へ立ち寄った。
平日の昼下がり、公園に人の姿はなく、隣接する小学校から児童たちの声がこだまして、なんとものどか。
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公園内をぐるっと一回りしているうちに、あっ、そうだ! と思いついた。
この滑り台、一度、このくねくねの中を通ってみたかった。
いい年をして…なんだけど、私が子どものころになかった遊具には、とても興味がわく。
滑り台一つをとっても、ローラースライダーやこのらせん状のものなど、近ごろはいろいろあって、一度は試したくなる。
今がチャンスかも。
周りに誰もいないことを確認しながら、近づいたら、
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くねくねの中から子どもの泣き声が聞こえてきた。
もっとそばへ行くと、その子のおかあさんとおぼしき若い女性が、滑り台の出口にしゃがんでいる。
「大丈夫だよ~、滑っておいで~」
ママが声をかける。
「こわいもん
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泣きじゃくっている男の子の声が、パイプの中から響いてくる。
結局、ママが上にあがり、坊やと一緒に滑り降りてきた。
泣いていた男の子は笑顔に変わり、二人とも楽しそうだった。
ああ、あたしも滑ってみたい。