Kのガールフレンドが、8月からよく家に来ている。
仕事から帰った私も妻も「ああ…、今日も来ているな、会いたいな」といつ
も思っていた。
**ちゃん(Kのカールフレンド)は、いつもKの部屋にいて、知らないま
に帰ってしまう。
私は、Kの部屋から聞こえる彼女の声だけ聞いてる。女房もそれだけだ。ど
んなコだろうなと、二人で話はするが、姿を見てない私たちは、声だけをたよ
りに想像するだけだった。
今日も私が会社から帰ってきたら、Kの部屋から**ちゃんの声が聞こえた。
そのうち幼稚園からの友人のNクンが遊びに来て、Uも帰ってきた。みんなで
Kのギターに合わせて歌っていた。
7時頃会社から帰ってきた女房と、「青春やってるな」と話した。
7時半頃、女房が玄関の方で、
「ヒサシ君、ちょっと来て」
という。ショートパンツにTシャツでのっそり行くと、女房がうれしそうに、
「**ちゃんです」
と、私にいう。
Kがニヤニヤ立ってる脇に、彼女がいた。帰るところのようだった。
私はどうしたらいいか分からなく、ただ、
「Kがいつもお世話になってます」
と、頭を下げた。
聡明そうな可愛い、いい感じのコだった。まったく私の“好み”で私が“お
付き合い”したい女性だった。看護学校の生徒だそうだ。
女房は私に、
「**ちゃんて、いいコだね。ちょうど玄関に行ったら帰るところで、Kに紹
介されてびっくりしちゃった。ヒサシ君も会いたいっていってたから呼んだの
よ」
という。
「ひょっとすると、このまま付き合って結婚したりして…」
なんてバカなこという。
「そんなわけねェよ。Kが振られるに決まってるよ」
ムキになって私はいう。
さっそく、女房は友人に電話して、息子の恋人に会ったこと話していた。
今日初めて、Kは家族に**ちゃんを会わせた。Uにも会わせてなかったよ
うだ。
さあ、これから二人はどうなるんだろう。
おそらくKが、**ちゃんに振られるんだろう。そうに決まっている。そう
じゃなかったら、私の青春と違いすぎる。面白くない。
絶対、みじめにKは振られるんだ。ザマアミロ。
Uも付き合ってる女性がいるという。グリークラブの先輩だとか。女房が、
根ほり葉ほりUから聞き出している。
いいなァ。おれの19歳とは、天国と地獄だ。
面白くねェ。