釣瓶井戸

2001年07月22日 | Weblog

私の実家の井戸は、小学生の頃まで釣瓶だった。
井戸は家の入口(玄関なんて呼べない)から、
15メートルほど離れたところにあり、
水くみは大変な仕事でした。
台所には、流しの横のバケツに水が置いてあった。
アルマイトの柄杓がバケツに入れてあり、
それで水を飲んでいた。
お風呂に水を入れるのは重労働だった。
両手に水を入れたバケツをぶら下げて、
井戸とお風呂を何度も往復した。
これは子どもの仕事でした。

夏、畑でとってきたスイカを冷やすため、
釣瓶のバケツに入れて井戸に沈めておいた。
2、3時間して釣瓶を持ち上げると、
スイカがよく冷えていた。
うまかった。

私がまだ小学生の低学年の夏休み、
友だちと庭で遊んでいると、
小さな子を連れた女の乞食が、
母に井戸を貸してくれといった。
母が「いいよ」というと、
女の子を裸にして釣瓶で井戸の水をくみ、
その子の体を洗っていた。
それから自分も服を脱ぎ、
釣瓶の水を浴びていた。
あの背中から腰への線が美しかった。
子どもごころに、
きれいな体だな、と思った。

コメント
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