◎つむじ風
(2010-02-01)
預言者エリヤのクンダリーニ上昇の材料として旧約聖書テクストを見る。これによると、クンダリーニ上昇の叙述は簡潔であって、最初に火の車と火の馬があらわれて随伴者エリシャを隔て、つむじ風に乗ってエリヤを天に昇らせたというだけである。火はクンダリーニの火、馬が車を引くので馬と車はセットだが、車はチャクラ。昇る時はつむじ風のように迅速であり、らせんを巻いているという比喩だろうか。
この上昇の評価はこの事件を目撃した人間の力量によるが、釈迦の涅槃を目撃した人ほどの精密さはなかったのか、あるいは見るには見たが理解できなかったか、あるいは起きたことを見て理解もできたが、秘儀にあたるそれを描写するのは避けたか、これらのいずれかだろう。
これだけ簡潔な表現は、道教の白日昇天の記述に似た印象を受ける。余計なことは書かないということ。
またこの本文には、ヨルダン川の水を打って水面を二つに分けて、露出した地面を渡る超能力が披露されているが、これは本筋の話ではない。
旧約聖書列王紀下第2章
『2:1主がつむじ風をもってエリヤを天に上らせようとされた時、エリヤはエリシャと共にギルガルを出て行った。
2:2エリヤはエリシャに言った、「どうぞ、ここにとどまってください。主はわたしをベテルにつかわされるのですから」。しかしエリシャは言った、「主は生きておられます。またあなたも生きておられます。わたしはあなたを離れません」。そして彼らはベテルへ下った。
2:3ベテルにいる預言者のともがらが、エリシャのもとに出てきて彼に言った、「主がきょう、あなたの師事する主人をあなたから取られるのを知っていますか」。彼は言った、「はい、知っています。あなたがたは黙っていてください」。
2:4エリヤは彼に言った、「エリシャよ、どうぞ、ここにとどまってください。主はわたしをエリコにつかわされるのですから」。しかしエリシャは言った、「主は生きておられます。またあなたも生きておられます。わたしはあなたを離れません」。そして彼らはエリコへ行った。
2:5エリコにいた預言者のともがらが、エリシャのもとにきて彼に言った、「主がきょう、あなたの師事する主人をあなたから取られるのを知っていますか」。彼は言った、「はい、知っています。あなたがたは黙っていてください」。
2:6エリヤはまた彼に言った、「どうぞ、ここにとどまってください。主はわたしをヨルダンにつかわされるのですから」。しかし彼は言った、「主は生きておられます。またあなたも生きておられます。わたしはあなたを離れません」。そしてふたりは進んで行った。
2:7預言者のともがら五十人も行って、彼らにむかって、はるかに離れて立っていた。彼らふたりは、ヨルダンのほとりに立ったが、
2:8エリヤは外套を取り、それを巻いて水を打つと、水が左右に分れたので、ふたりはかわいた土の上を渡ることができた。
2:9彼らが渡ったとき、エリヤはエリシャに言った、「わたしが取られて、あなたを離れる前に、あなたのしてほしい事を求めなさい」。エリシャは言った、「どうぞ、あなたの霊の二つの分をわたしに継がせてください」。
2:10エリヤは言った、「あなたはむずかしい事を求める。あなたがもし、わたしが取られて、あなたを離れるのを見るならば、そのようになるであろう。しかし見ないならば、そのようにはならない」。
2:11彼らが進みながら語っていた時、火の車と火の馬があらわれて、ふたりを隔てた。そしてエリヤはつむじ風に乗って天にのぼった。』【口語訳旧約聖書(1955年版)から引用】