今日は七味唐辛子(しちみとうがらし)の由来について調べました。
唐辛子の原産地は中央アメリカ・南アメリカ・西インド諸島で大昔から栽培されていたようです。
コロンブスがアメリカ大陸を発見した当時、中南米の地域ではインディオが痙攣(けいれん)や下痢の薬として唐辛子が使われていたそうであり、それを1493年頃スペインに持ち帰り、その後、スペインから日本に漢方薬として伝来したと言われています。
七味唐辛子は、江戸時代初期の1625年(寛永2年)、辛子屋の徳右衛門が薬を工夫し、食に利用できないか考案し、唐辛子に6種類の薬味を混ぜ、「江戸名物・やげん堀り」と称して売りだしたのが最初だといわれています。
徳右衛門は両国橋のたもとの薬研堀(やげんぼり)不動堂の近くに住んでおり、そのあたりでは漢方薬の店が並んで賑わっていたこともあって、漢方薬のように薬味を調合することを思いつき、それを売り出したところ大評判になったようで、これが後の「やげん堀唐辛子本舗」で「日本三大七味」の一つといわれているようです。
「七味唐辛子の成分と効能」
七味唐辛子は地方によって多少違うようですが、主に次のような七味を混ぜ合わせてあります。
しかし、必ずしも7種類というわけではないようです。そのため、関東では七色唐辛子(なないろとうがらし)とも呼ばれているそうです。
・唐辛子
唾液や胃液の分泌を促し、食欲を増進させる作用があるほか、昔から薬用効果もあるとされて、皮膚引赤薬、健胃駆風剤に用いられています。
・山椒(さんしょう)
唐辛子と成分は似ていて、健胃、整腸、駆虫、解毒剤として腹部の冷痛、下痢等に用いられるほか、食欲増進の効果まであるそうです。
・陳皮(ちんぴ:ミカンの皮)
温州みかんの皮を乾燥させたもので、漢方薬として利尿剤、咳止めとして重用され、健胃消化薬、鎮咳去痰薬にも使われています。
・白胡麻・黒胡麻
ビタミンE、リノール酸、オレイン酸、カルシウム、マグネシウム、鉄分を多く含み、セサミンによる活性酸素を抑えることにより、老化や動脈硬化を防ぐ効果がある
ようです。
・麻の実
大麻の種子で、たんぱく質、脂質が高く、亜鉛も含まれており、食欲増進に効果があり、成長障害、皮膚炎予防にも有効とされています。
・青海苔
海藻類の中でもカロチンの量が多く、鉄、カルシウム、ビタミンCなどを多量に含んでおり、細胞老化防止効果などが期待できるようです。
この七味は、当時、江戸庶民に好まれて食べられていた「ソバ」の薬味(薬の味)として好まれ、広まったそうです。
現在「ソバ」には、ネギやわさび、大根おろしなどがつきますが、これらを薬味と言うのはここからきているそうです。
七味唐辛子は、そばの薬味として全国に広がっていきましたが、調合する内容や量は地域によって違っていたようです。
例えば、
京都のソバのだしは関東より薄いので、唐辛子は少なめにして、青海苔、紫蘇、胡麻などの香りを強調した調合になっています。
また、ソバどころの長野では、だしが関東よりも濃いため、唐辛子を多めにして、さらに生姜、青紫蘇を入れて辛さと香りの両方を強調した調合になっているそうです。
このように、その土地の風土や料理の特色に合わせた配合になっているので、唐辛子以外の薬味は特に決まっていないようです。