酒の正宗
今週はお盆の週で、離れて暮らす家族も帰郷し、久しぶりに一家団欒の楽しいひと時を過ごされている方も多いのではないでしょうか?
そこで今日は、お酒の話題を取り上げます。
国内では日本酒の消費が低迷しているようですが、和食が世界文化遺産に登録され、世界的な和食ブームから海外における日本酒の人気が高まっているようです。
国税庁が今年2月19日に発表した「平成25年酒類の輸出動向について」によると、平成25年の酒類の輸出金額は約251億円で、現在の品目分類による比較が可能な昭和63年以降で過去最高を記録しています。
輸出品目の中で最も多いのが日本酒の105億2,400万円で、前年との比較でも17.6%増加しており、海外での日本酒人気が上昇していることが数字に表れています。
ところで、日本酒の銘や社名に「正宗」を使う蔵元が全国的に多いようですが、調べてみると、その元祖は兵庫県神戸市東灘区に本社を構える櫻正宗株式会社の櫻正宗だそうです。
同社は今から約300年ほど前の1717年に創業の老舗ですが、当時、灘地域(神戸市、兵庫県西宮市)では酒銘を競っており、「助六」や「猿若」など歌舞伎役者に関する酒銘が多かったそうです。
櫻正宗も、「薪水(しんすい)」という俳優の名を使用していましたが、女性的な酒銘柄だったため6代目は変更するか悩んでいました。1840年に京都にある元政庵瑞光寺の住職を訪ねた時、机の上にあった「臨済正宗」と書かれた文字を見て「正宗」がひらめき、正宗の音読み「セイシュウ」が「セイシュ」に近く縁起も良さそうだと思って「正宗」に決めたと言うことです。
最初は「せいしゅう」のつもりだったのですが、人々が「まさむね」と呼んだことから、これが一般の呼び名となったそうです。
櫻正宗など灘の清酒は「下り酒」と呼ばれ江戸で爆発的に売れました。
人気が高まるにつれ、正宗の名にあやかる蔵元が全国で続々と現れ、正宗の名は普通名詞となり、1884年(明治17年)に政府が商標条例を制定した際、櫻正宗は「正宗」を登録したが受け付けられなかったことから、国花の「桜」をつけて櫻正宗としたそうです。
現在、正宗を使用した社名や酒銘は百数十あると言われています。
菊正宗酒造も、櫻正宗同様に「正宗」を酒銘としていましたが、商法条例制定後には不許可となり、「菊」をつけて申請し受理されたと言うことです。
最大手の白鶴酒造は、戦前まで「嘉納正宗」など4つの商標を持っていたそうです。