三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

盛岡再生16_基礎周り

2006年05月02日 06時13分09秒 | Weblog

さて盛岡の再生工事の様子もおわりに近づいてきました。
きょうは、基礎周りのモルタル処理と、柿渋による防虫処理の様子。
基礎は外断熱の板状断熱材をモルタルで被覆します。
新築住宅の場合は、土台などで防蟻処理が義務づけられます。
リフォームの場合にも、こうして行いますが
柿渋というのは、最近の自然素材指向のあらわれですね。

以前、ある住宅裁判がありました。
当時ガイドラインとなっていた、住宅公庫の仕様書では
土台は「防腐処理された材料の使用」が義務づけられていました。
この防腐土台というのは、ようするにホルマリン漬けにしている木材なのです。
で、設計としてはその家は地下室があり、
そのうえ、構造の素地表しが特徴だったのです。
この土台も室内に露出することになった。
こういう仕様を公庫の仕様書は想定していなかったのですね。
一般的には土台というものは、壁の中にしまい込まれるものであって、
防腐処理された材料が室内に表れるということは想定外だったということ。
結果として、生活を始めた建て主さんが健康被害に陥ったわけです。
大変不幸な事件でしたが、
ただし、当時はこういう問題というのは、あまり着目されなかった時代だったのですね。
この事件後、シックハウス問題もクローズアップされることになりました。
リプランでも、連載記事としてシックハウスについて掲載しました。
現在でも、NPO住宅110番HPで、見ていただけるように公開していますので
ぜひご覧くださいね。もう10年近く前の記事ですが
いまでも、HP上で多くの反響が寄せられてもいます。

こういう柿渋の利用というような動きも、
こんな事件から動き始めた「健康住宅」「自然志向」の現れであるのでしょう。
そういう流れの中で、近代合理主義一辺倒の、化学信仰のようなものに
疑問が呈されるようになってきているのが、現在ですね。
コメント
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