写真は総会で発表された札幌支部・武部建設さんの札幌市での事例。
左側は外観。手前側が南面しているので、
大きな木製の開口部が取られているのが特徴。
室内側では、木質の質感が楽しめ、外観的には
塗装の色で、アクセントとして活用できますよね。
まぁもちろん、開放可能な窓は、メーカーさんのサッシを使っていますが。
フィックスの窓(全8枚のうち6枚)は、一般的に使われる製品としての木製サッシではなく、
ガラスは別に単独で購入し、大工造作で施工されています。
そうすることで、高性能でローコスト、
そしてデザイン的にも優れた特徴をこの建物に与えていますね。
これだけ大きな開口部を持ちながら
この建物は、性能的にはQ1.0住宅レベルを達成しています。
性能を目指しながら、同時にデザイン性を犠牲にはしない、という好例。
右側の図は、この住宅の換気と、暖房計画のシステム概念図。
給気も排気も機械で行う、第1種換気を採用しています。
基礎断熱されたコンクリート土間床下ピット空間に
新鮮空気を導入し、床下の3カ所に設置した電気蓄熱暖房機周辺に
吐き出します。そして暖められた空気を建物の隅のダクトや床のスリットなどから
上昇させて室内を暖気で満たしながら換気します。
一方、室内の汚れた空気は、直行する塩ビ管パイプで
室内に露出させて、排気される循環になっています。
この排気の経路は一般的にジャバラ状のダクトを使うのが多いのですが
この家では、まことに正直に室内に露出させているのです。
性能的にはジャバラ状のダクトの「圧損」がなくなるという
メリットがあり、換気風量が確保しやすい、というわけですが
室内では黒くペインティングしているので、
設置された薪ストーブの煙突とマッチして
インテリア的にも大成功しています。
「性能とデザイン」のバランスが絵に描いたようにぴったりです。
Q1.0住宅とはいっても、
取り組んでいる各社ごとに、その仕様やデザインはまさに多種多様。
この取り組みが、画一化されたものではなく
地域性や、施主さんの個性を生かせるものだ、という証明です。
たいへん楽しい住宅が実現していますね。