最近増えてきているのが、シックハウスへの対応。
写真のように構造の素材から、表面仕上げの塗料や糊など
いろいろな自然素材が使われるようになってきていますね。
初期の頃の状況とは一変してきて、
ビルダーの側でも、きめ細かい対応をとっている例が多くなっています。
シックハウスを生み出した構造というのは
やっぱり近代経済合理性というものが一番大きいでしょう。
自然の素材を使えば、当然問題が派生する場合があります。
それを工場出荷の工業製品と同様に考えて、クレームとされることが
作り手に過剰に働いて、クレームの発生しない材料や仕上げに向かわせる。
一例で言えば、無垢の木を使えば、乾燥が十分でない場合など
多少はねじれや狂いは発生する。
それを回避しようとすると、工場出荷の「化学処理」した材料を使う。
極端に言えば、木に似せた化学製品に代用する。(実際あるんです)
こういう循環を繰り返した結果、化学製品への過敏症が形成された
とは、言えるでしょうね。
これはもちろん、建築だけのことではなくて、
根本的には、食品と農薬の関係まで、現代社会の全体の問題に感じられます。
取材した中には、それまでの賃貸住宅の駐車場からの排気ガスが
引き金になった、という方もいました。
いったん発症すると、生活のあらゆるシーンで困難が発生し、
当然、毎日の日常的な、食べ物にも敏感になって、
アレルギーが高まっていくのですね。
食品として大丈夫なもの、そうでないものを詳しくお話を伺っていながら、
この問題の根の深さに暗澹たる思いがしたものでした。
住宅建築の世界では、こういう大量生産型の
弊害を反省して、手作りや自然素材のよさを生かした家作りへの
志向性が高まっているといえるでしょうね。
ただし一方では、逆に価格合理性だけに突っ走っている動きもあります。
いまはそういういわば、混在状況でしょうか。