三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

築地塀

2008年09月20日 08時32分50秒 | Weblog



写真は東京芝増上寺の築地塀です。
築地塀って、上等の建築区画を一般世間から画する装置。
古代の東北地方の城柵では、権力の象徴として
整然とした直線の築地塀が結界として使用されていました。
というようなものですが、
さすがは増上寺、徳川氏が江戸に入城して結局、菩提寺の地位を獲得したことで、
大繁栄することになって、権力を誇る築地塀にも格式が表れている。

築地塀(ついじべい)とは泥土をつき固めて作った塀。単に「築地」(ついじ)ともいう。石垣の基礎に柱を立てて貫を通した骨組みを木枠で挟み、そこに練り土を入れて棒でつき固める「版築」という方法で作られる物が多い。塀の上には簡便な小屋組を設け、瓦や板などで葺いたものが多く見られる。古くより貴族の邸宅や寺院、官舎などに見られ、現在でも御所や寺院などで見られる。(Wikkipediaより)

という一般的な工法ではないように、この築地塀は感じられます。
なにより、平版のような石が土の中にサンドイッチされている。
っていうか、見た目では平版を積み重ねたように感じる。
その石も、やはり立派そうな石なので、
やっぱり、その富や繁栄ぶりを表現する意匠性にこだわったものでしょう。
そうした建築工法で作られているので、
高い耐久性を誇っているものと思います。
頂部には小屋も架けられていて、雨による劣化に対しても防御されている。
戦争での被害はなかったのか、わかりませんが、
作られようをみていると、相当の長期間使用に耐えられそうな作りです。
デザイン的に見ると、
礎石のゆがみが、そのまま表現されていて、アクセントになっていて
まぁ、飽きることがない印象ですね。
また、微妙な苔むした色合いも楽しくて、変化にも富んでいると思います。

英語圏では、家の中の壁も、このような区画用の塀も
WALLという同一言語が当てられるそうですが、
そう考えると、日本では木造で建てられる建築の方は壁、というようではなく、
むしろ、西洋的な意味合いのWALLというのは、
このような塀を意味することの方が大きいのではないかと感じますね。
このあたり、日本的ということのなにごとかが
表現されているようにも思います。


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