いま、北海道開拓記念館では、「古代北方世界に生きた人びと」という
特別展示が開かれています。
これは、東北歴史博物館・新潟県立歴史博物館との共同開催の企画。
最初に新潟からスタートし、多賀城の東北へ行って、
今回、トリを飾って北海道で開催されているものです。
先史時代の考古資料から、文字を持った歴史年代の奥州藤原氏、それ以降まで、
北方からの視点で、日本史に対して再発見してみようという企画。
なんとも我が意を得たり、という企画内容で、この事実を知って、
なんとか見に行くことができて、よかったと思っています。
日本の正史の側では、どうしてもイネの栽培にともなっての歴史経緯が主。
農耕を中心にする社会は、当然、農耕のための暦ができ、
生産物の管理など、記録する必要性が高まって文字表現が生まれてきます。
「社会」という概念も、日本では弥生的なコメ生産様式が基本になって発展してきた。
確かに人口の爆発的な急増などは、このような社会様式がもたらしたものなので、
そのことには同意するのですが、
しかし、一方に北方のコメ生産とは違う社会システムも存在した事実は
もっと、しっかりと認識されるべきだと感じています。
コメ生産様式の側からは、「まつろわぬ」民ということになり、
しばしば、「討ちて、獲るべし」(正史側の記述)という侵略対象になってきた。
わたしは北海道への移民の3代目なのですが、
そういう意味では、コメ生産様式の側からこちら側の世界に入ってきたものですが、
やはり生まれた風土に対する愛着がだんだんに強くなってくる。
とくに東北地域との接触機会が増えてきて、
そこから北方ということを強く認識してくると、
このような思いがしきりに高まってくるのですね。
今回の展示は、そういう思いから、まさに深く同意できるものだったのです。
ただし、まだまだ、こういう考え方は思いっきりマイナーだろうなと
思い知らされることも多いもの。
仕方なく付いてきてくれたカミさんの言葉通り、
「誰もこんなの、面白くないっしょ!」っていう世界ですね(笑)。
こんな思いを持っていたのですが、
HPなどで調べている内に、開拓記念館のスタッフに旧知の人の名前が・・・!
「あれぇ、Uさん、ここにいるんだぁ」
というようなことで、なんとなく居ても立ってもいられなくなって、
すぐに出かけてみることにしたんですね。
会場に着いたら、なんとくだんのUさんが、展示説明を行っているではありませんか。
さっそく行ってみたら、すぐにこちらを認めてくれたようでした。
もう、25年くらい前の頃の知人なのですが、
説明が終わるとすぐに、積もった話をさせていただいた次第。
当時は、近接する北海道開拓の村で広報の仕事をされていたのですが、
実は本職としては、考古学の方だったそうで、
現在は北海道開拓記念館に所属し、今回の展示会の中心的なスタッフだったようです。
で、考えていられることは、まさに上に書いたようなこと。
本当に貴重な同好の士を発見できて、しかも古い知り合いだったという、
運命的としか思えない再会ができた次第なのです。
「よかったねぇ、マイナーな話題の強力な味方が出来て(笑)」
っていう、カミさんなのですが、まさにその通り。
しかも、学芸員の方なので、いろいろにわたしの調査活動にアドバイスもいただけそうなのです。
いや、しかし、不思議な巡り合わせもあるものだと、
驚愕してしまったのでした。
なんとか、北方世界の歴史に光が当たるような
そんな仕掛けができたらいいですね、っていうような思いが共有できました。
わたしの個人的なライフワークに一筋の光が見えてきた気がします。
<写真は平泉の古社>
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