三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

断熱ルネッサンス_2

2007年11月18日 05時36分52秒 | 住宅性能・設備

先日取り上げた東京ホームビルダーズショーでの展示から。
世界的に省エネルギーというテーマは関心が高く、
いかにして化石燃料や、エネルギー消費を抑えるかが、
建築に課せられた今日的な焦眉の課題。
こういう趨勢の中で、情緒的なデザインだけに
閉じこもっているような建築関係者は、まさに時代が飲み込んでいく。
とくにヨーロッパは、地球温暖化問題へのいち早い対応などでも
世界の流れのヘゲモニーを握っていると感じられます。
そうしたなかでもドイツの「断熱」への取り組みは先進的。
木造住宅の世界でも、木質系断熱材の開発では世界をリードしています。
今回の展示では、RC建築の外断熱用の断熱技術がありました。

コンクリートとガラスは20世紀を主要に規定した建築材料だと思いますが、
21世紀において、そうした建築がサスティナビリティを高めるのは
まさに、断熱技術の向上しかありえません。
このコンクリート建築でもっとも熱橋が発生しやすい部位が、
バルコニーなど、駆体からハネ出す部分。
ここの長期安定的な支持力保持のためには、どうしても
すっぽりと外側から建物をくるむ、という外断熱層が非連続になってしまう。
やむなく断熱方法としては、内側での断熱を工夫するということになる。
しかし、それでは根本的な断熱にならない。
そんな従来の問題点を解決しているのがこの技術。
特殊に開発した素材による断熱材を外側断熱層と連続するように
バルコニー部分と建築本体との中間に施工する。
この部分を頑丈なステンレス鉄筋で構造的に一体化させて
強度を確保し、同時に外断熱の連続性を実現した、というのですね。

同様の考え方のものは別にも展示されていましたが、
どちらもヨーロッパで開発された技術。
けっこうな人だかりができている展示でした。
聞いたら、ゼネコン関係などの開発者などが興味を持っているということ。
日本のゼネコンや建築研究機関って、
こういう部分では確かに先進的に技術は収集し、実験的レベルでは
びっくりするようなこともやっているのですが、
いかんせん、なぜか、実際の建築現場にそういう技術が活かされることが少ない。
こういう企業の研究者たちに熱意が足りないのか、
それとも、経営層の認識が足りないのか、現場がコスト優先体質に染め上がっているのか、
あるいはそれらの複合的な要因なのか、
まだまだ、ヨーロッパの優位性に追随しているのが現実。
たぶん、日本の建築家、意匠性だけにプライオリティを認める風潮が
こういう現実に繋がっているのだと思います。
そんななかでは、北海道の建築家グループはこういう技術にも
端的な理解と興味を示していました。
やはり、寒い地方がこの地球温暖化への対応では
リードしていかなければならないのではないか、
そんな思いが強く感じられましたね。
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