三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

和の暮らし、しつらい

2006年09月12日 06時13分14秒 | Weblog

おととい触れた秋田市の住宅の内部からの様子。
設計施工は秋田でもピカイチと評判のビルダー・五蔵舎さんです。
五蔵舎さんは、施主さんの感受性を表現するような家づくりが秀逸で
写真以上に、その住宅のたたずまいに奥行きが感じられる家づくり。
今回の住宅でも、建て主さんの「和風」というイメージを
こういう居間・食堂空間にまとめました。
暖房方式は土間床全面を暖める蓄熱式電気暖房で、
その土間ピットからの上昇気流を庭に面した大きな開口部に向けて
スリットを開けて、冷輻射を抑えるようにして、
足下までの引き戸の開口部でも、寒さを感じさせない環境を実現しています。
こういう寒冷地住宅としての配慮をしっかり装備しながら、
生活の感受性の実現を施主さんの希望以上に仕上げています。

写真左側は、食堂のテーブルに高さを合わせた造作の畳コーナー。
約3畳分ほどの広さがあって、奥にはちょっとした書斎コーナーが実現しました。
インターネットを楽しむのもいいし、読書スペースにもなる。
ちょうど見立てで言えば、書院的な雰囲気も感じられる。
用と、デザインをうまくミックスさせています。
畳・障子といった道具をうまく利用した、和の暮らし、しつらい。
庭と一体となった、暮らしやすい空間ですね。
また、床面も「ラオス松」という独特の素材を張っていました。
陰影感の深い木目の表情のある素材なので、こういった和風の雰囲気のなかで
ひときわ引き立つ舞台背景だと思います。

やっぱり、住宅の本質的な良さって、その雰囲気やたたずまい。
機能性だけや、あるいは見てくれのデザインだけでなく、
トータルとしての施主さんの暮らしを膨らませられる空間への感受性のようなものが、
ビルダーさんには求められるのだと思います。
その地域の気候風土のなかで、よい暮らしのしつらいを創造する。
まさに「地域文化」そのものである気がします、家づくりって。
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