歴史人口学という領域の本を読んでおりました。
鬼頭宏さんという方の書いた本で、上智大学経済学部教授ということです。
最近の少子高齢化社会を考える意味で、
歴史的に人口問題を考察する、というスタンスが着目されてきているわけですね。
歴史はいろいろなアプローチで研究が進んでいて
これまで資料が残っていない、という壁を克服するような
研究成果が上がってきています。
たぶん、この先生の研究領域のようなものが、
日本の未来研究・予測に多いに活用されて、
政策的にも、参考にされているのだろうなぁ、と推察されます。
4つの文明システムを経過してきて現代がある、とされます。
1 縄文システムから始まって
2 水稲農業化システム
3 経済社会化システム
4 工業化システム、というふうに進歩してきた。
その各段階の節目で大きな人口増があり、
またその末期に、人口停滞が発生してきた、ということ。
で、家族という概念も変化してきた。
現代の血縁直系家族による家族概念というものも、
3の段階での生産性向上の必然的結果として確立したそうです。
意識として、こうした家族概念は大きく人間の発想を規定しますが、
歴史的には相対的なものであるという考えなんですね。
貨幣経済が農業生産プロセスに変化を及ぼして
生産力の向上を志向させ、その結果、骨身を惜しまず労働する基本単位として
「直系家族」の結びつきの強さが、「自立的小作農」に至ったという。
現代は、そうした家族観が人間の主体的想念に残像として残り続け、
多くのひとが、そうした家族関係実現を、
都市のなかで「家を持つ」というかたちで「夢」見た。
逆に言えば、多くの農家の次男・三男層に都市に住む「工業勤労労働者」の道を目指させてきた。
そのために動員されたのが、持ち家住宅政策だった。
日本では驚異的な「新設住宅着工数」が長年、継続されてきた。
住宅金融公庫システムで、多くの一般国民が家を持つことが可能になった。
それを突き動かしてきたのは、「家を持ちたい、家族を持ちたい」という
前時代から続いてきた「歴史的」人間欲求だった・・・。
というように理解することができると思います。
まぁ、住宅に関係してわたしが解釈したと言うことで、
先生の書かれた内容はもっと幅広いものなのですが。
さて趨勢としては、人口減少は大きな流れではあるのですが、
2100年段階で、日本人口6700万人という将来予測通りになるとすると、
人類史上の大変化ということになります。
本当にそのようになるものかどうか、
みなさん、どうお考えでしょうか?
写真は鳥海山。人口予測グラフに似ていたもので(笑)・・・。
北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます