三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【堀部安嗣「つくばの家」・3間半×3間半+下屋7.5坪】

2019年07月06日 06時43分34秒 | Weblog



さてきのうの続き「里山住宅博inつくば」バンガードハウス堀部編。
雑誌関係の写真撮影は実は午前中に済ませていたということ。
わたしは飛び入りなので、ごった返していた見学といっしょ。
でしたが午後3時にみなさんはバス集合されて
その後の見学客の少なくなった隙間時間に再訪させていただいた。
で、ちょこっとiPhone撮影させていただきました。

堀部さんは住宅設計のプロ中のプロ。
新住協・鎌田紀彦先生が進めている「プロトタイプ」計画の
きっかけは、Replan誌面で連載をお願いしているQ1.0住宅デザイン論。
そのひとつの「解」として2間半×6間の「細長い」プランがあります。
これに対して、堀部さんはやはり「伝統的」な4間×4間プランを
よく逆提案として言われていると聞いています。
たしかに4間×4間プランはまさに合理的なプラン。
その合理的ななかで、堀部さんのプランは高い自由度も実現している。
そんな興味を持ってこの「里山住宅博inつくば」バンガードハウスを見た。
ここで採用されたプランは表題のようなもの。
3間半×3間半+下屋的7.5坪。
3間半×3間半というギリギリの寸法感覚で生活要素をまとめ、
そのなかでも写真下のような大きな吹き抜けも入れ込んだ。
そして、下屋的7.5坪を加えそこにパブリックな空間を配置。
周囲の自然環境と同期するような、暮らし方の広がりを意図している。
その延長で、まったく熱的に縁の切れた「外の居間」も造作している。
引き絞った3間半×3間半と、開放的な下屋7.5坪。
そうか、そういう手もあるのかという新鮮な驚き。
断熱気密に十分に配慮したコンパクトな中核に対して
ややラフな造作で自然に親しむ空間をペアリングしたような感じ。
時間的に見学時間が限られていたので、家中の身体的寸法感覚までは
感受することができませんでしたが、
おおむね過不足はないというのが実感です。
というよりもコンパクトなのに大きな吹き抜け空間と、
下屋空間を通しての視線の抜けがたっぷりとあって、
空間的な「豊かさ」を感じることができた次第。
詳細な断熱気密などの建築仕様は情報がありませんでしたが、
小住宅ながら、非常に空間性に変化が工夫されていて
面白みが尽きないという印象を持ちました。
あしたは、興味を惹いたこの家の開口部について書きます。
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