三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

風景を切り取る

2007年01月16日 06時01分45秒 | Weblog

写真は札幌市近郊の日本海を見渡す立地に建てられた住宅からの
窓の外の様子。
このお宅は、定年後の退隠生活を満喫する目的に純化したもの。
自分の人生に対する「ごほうび」的な作りよう。
最近、こういうタイプの「自分御用達」のような需要があるようですね。
お歳暮ギフトでも、確実に「自分用に」高級品を買う、というニーズが盛り上がっているとか。

こういう需要って、実需的な生活の重み、のようなタイプではなく、
きわめて、感性的な需要と言うことが出来ますね。
こういう空間で、ゆったりと時間の経過を楽しむ、という需要。
こういう需要にとっては、機能性であるとか、
それこそ、部屋数だとか、というような部分はシンプルになる。
それよりも、「どう時間を過ごすのか」というようなことの方が比重が高くなる。
この家の場合には、シンプルに「海を見て暮らしたい」となったのですね。
そうすれば、たぶん敷地選択も絞られただろうし、
メインの居室から切り取る風景の切り取り方のほうが、きわめて重要になる。
窓の大きさ、左右幅、高さなども検討し尽くしただろうと思います。
結果、こういうきわめてシンプルで「静かな」ピクチャーウィンドになったのでしょうね。

手前の座卓テーブルで、苦めの茶などを喫しながら、
一日をゆったりと過ごす、という無上のシンプルライフ。
この海は西海岸に面しているので、晴れた日の夕陽の時間などは
強烈な照り返しが室内に満ちて、黄金色になると思います・・・。
きわめて単純ですが、明快な「風景の切り取り方」による
快適の演出というわかりやすい事例だと思います。
しかしシンプルでいて、あきのこない、居心地の良さを演出するのって、
よく考えてみたら、かなり大変な作業である気がしてきます。
そんな思いが沸いてくる、住宅です。
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