上砂理佳のうぐいす日記

巨匠漫画家、楳図かずおさん逝去。あべのハルカスで私も見た「楳図展」は金沢21世紀美術館で9月に開催されていました★

チャンピオンの資質

2006-12-22 | フィギュアこんな話も
…ということで、練習再開のニュース映像は嬉しかったです。
特に、大ちゃんのGOE+3ぐらいつきそーな3フリップ「慣らし運転」は、私の精神衛生上、非常によろしかった(笑)。
うーん。こんなに近くにモロゾフチームが来てるとゆーのに、カブリつきたいよ~。おばちゃんがな。お粥炊いたげるさかいな。梅干しもな。うぐいす製のがあるさかいな。たんとおあがり。まあ、「フリーの後、吐いてちょっと楽になった」のなら良かった…よくぞ我慢した。逆に言うと、吐き気をこらえるのに意識が集中してて、「ジャンプ失敗したらどうしよう…」とか「GPFの優勝がかかってる~」とか考えてるヒマが無くて、かえって功を奏したのではあるまいか(!?)
いや、んなこたあ言ってはいけませんね。とにかく良く頑張りました。

GPFのあとK嬢と長電話していて、そして「98年長野五輪男子FS」を見返していました。
いや~。本田武史16歳!田村岳斗18歳!可愛い!可愛すぎ!(^▽^;)
二人とも東北高校の2、3年生ですよ。岳斗君はまだ長久保コーチだったし(静香ちゃんを育てたあの、仙台の男性コーチ)、武史君はえー、ペトレンコの嫁はんのお母さん(ややこしい)=ズミエフスカヤというコーチでした。城田さんが若いこと若いこと。今見ると長野五輪って、こないだのN杯ぐらいの規模で、会場ちっさく見える~。ホンマに五輪?って感じ。
この時、男子FSの最終グループに、17歳のヤグディンが入っていました。SPは4位。先輩のクーリック(20歳)がSPトップで、ロシアは「うまくいけばメダル2個」をも期待されていました。FS最終グル-プの中で4回転を入れる予定にしていたのは、クーリック、ヤグ、ストイコ。
当事の私はヤグディンの事は余り良く知らず、「うーん。何でも一通り出来るけど、なんかあ~んまり個性無いなあ。華ないなあ~」くらい。NHK杯で鮮烈にJAPANデビューした、2歳下のプルシェンコの方がよっぽど印象的でした。とにかくあの頃のプル少年は「これぞ天才!」でしたから。

さてこの時のヤグディンは、冒頭の3A+3Tは強引に降りたものの、次の4回転で高さが足りずに転倒。次の単独の3Aも派手に転倒。
なんだか動きにキレがない。もったりしてるし表情も。プログラム構成が「つぎはぎ」ってのもあるけれど、全体に動きに精彩を欠き、中盤の3フリップがダブル。しかし、他の3回転はどうにか降りました。
終わってキスクラで浮かな~い顔。というか「憮然」。
私は「態度わるー」と思いました(笑)。出来が悪かったら、もうちょっと神妙な態度っちゅうもんがあるやん…17歳にしてはふてぶてしいなあ…。良く見たらかわいい顔立ちなのに、なんか嫌な子ー。
この時、ヤグは今のプルさんのコーチ、アレクセイ・ミーシンについていたのですが、ミーシンは転倒2個のFSで明らかに失望したらしく、苦い苦い表情でした。「全然ダメじゃん。立て!もう行くぞ!」って感じでサッサと席を立つ。ミーシン、厳しいなあ…。残されたヤグはまだ憮然呆然。目がウツロ。
で、あとから私は、FSの前にヤグが40度の高熱を出してフラフラの状態だった事を知るのでした。救急車に乗って病院に運ばれた、という。
こわいですね。すごいですね。40度の熱って普通、視界がボヤけてモーローとしてますよな。歩こうとしてもあっちフラフラ、こっちフラフラ…。それなのに、3アクセルって跳んでしまえるものなのね…。そして、この当事まだ「はしり(先駆け)」だった4回転を跳んだのですね。
別に金メダル候補でもなく、先輩のクーリックが注目されていて、あくまで自分はダークホースなのに。4回転を回避して、アクセルも1個にとどめておく事も出来たのに。それなのにあの「無謀」はなんなんだ。40度もあったら棄権せえよ…まだ若いから次があるやんか…。

この一ヵ月後、18歳の誕生日直後にヤグは世界チャンピオンとなるのでした。そこから、ヤグ&プル・2トップの激闘時代がソルトレイク五輪まで続く訳ですが、今思えばあの「長野五輪フリーの無謀」は、「ああ、いかにもなヤグディン~」なのでした。ハタから見たらアホに見える事でも(笑)やり通してしまう。
若気の至りもあるかもしれないけど、私の記憶では、トップになる選手って皆、おおかれ少なかれ「無謀」を資質として持っているように思います。フィギュアのシングルは個人競技なので、それががギリッギリッの所での勝負の分かれ目になるのかも。
このとき、ストイコもFSの演技中に骨折していたのですが、最後まで3A入りで降りてしまいましたね…4回転は3回転になってしまったけど。すごいです。キスクラの形相なんて、死相出てる(笑)。でもこれが「チャンピオン資質」なんだろなーと思ったものです。

大ちゃんのトンでもないGPFを見ていたら、なんだかフトそんな事を回顧していました。将来、世界一になるのかどうか解りませんが、少なくともそれを匂わせる闘いっぷりではありました。
ともあれ、いつもいつもそんな場面ばかり見させられていたら、こっちもバンクーバーまでにあの世行き、になってしまうので(笑)。もーいい加減、私を楽隠居させて下さい…頼むよ、ひとつ。
コメント (6)
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