上砂理佳のうぐいす日記

3月31日(月)から4月6日(日)まで銀座中央ギャラリーの「10×10版画展」に銅版画小品を出品します★

「踊る」魂「跳ぶ」魂★

2018-03-26 | 17-18コンペとショー
ネイサン・チェン、「強い」フリーでしたねえ。
SPはちょっと硬さが見えました。ジャンプが慎重だった分詰まり気味で、加点が伸びなかったような。TESだけだとSPはヴィンセントの方が上よね?(それも恐ろしいな)
でも、フリーでは五輪の再現どころか、上回る素晴らしさを見せました。
細かい所までよく踊っていて、五輪後も相当頑張って練習したんだな~と思いました。
この「小さな村の小さなダンサー」という映画、私は見てないんですが、中国からアメリカへ渡ってきて苦労したご両親への想いが、こちらにも伝わってくるかのようでした。
ネイサンって4回転ばっかり跳んでるように見えるけど、彼の演技の中ではジャンプも表現の一部に思えるな。伊藤みどり選手みたいに。
難しいジャンプが成功するたびにこちらも気持ちが高揚して、プログラムの盛り上がりへとつながっていく。

多分、史上4番目の若さで?世界選手権優勝したんちゃうかな。
ヤグディンがミネアポリスで1998年に優勝した時、確か18歳と何日かで「史上2番目」だったのです。
(一番の人は忘れました)
そしてプルシェンコが2001年のバンクーバー世界選手権で初優勝。
彼はお誕生日が11月だったはずだから、史上3番目。ネイサンは5月生まれだから4番目かな…と思った次第。どうでもいいですか(笑)。
でも、なんだかもうベテラン選手っぽく見えます。福岡のJGPFに来てた時って14歳かな。
とにかくビュンビュン、ジャンプを跳んでたボーヤンは覚えてるけど、その他の選手で一番目立ったのはピトキエフ君で、この時のネイサンって記憶薄いー。

はっきり認識したのが、2016年16歳の全米選手権で、試合前に解説の杉田さんが「ネイサンが何本4回転を跳ぶか!台風の目ですよ」と言及してて、「へっ?」って。
でも実際その通りに、すさまじいフリーを見せて表彰台に乗りました。
私はこの時、「ネイサンってこんなに飛べてたっけ?でもジャンプだけじゃない!音楽性がいい!」と、先行きを楽しみにしてました。
ところがその直後の大怪我で9ケ月も戦線離脱。「あー残念」と思っていたら復帰の全米選手権でまた見事な演技を見せるじゃないですか。
SPの「海賊」に、フリーの「イーゴリ公」ですもん。ルドルフ・ヌレエフを連想!
伝説のバレエダンサーです(もう亡くなってますが)。
ネイサンみたいな若い子が、こんなにゴリゴリのクラシックバレエを踊る(滑る)なんて。まんま「ヌレエフ・リスペクト」じゃないですか。
驚きましたが、若くて猛々しい頃のヌレエフの姿が透けて見えるような、見事な踊りでした。「この人、バレエやってるね」ってすぐ判りました。

ポールドブラとか(腕を伸ばしきらない動き)、大ちゃんも言及してたけど、氷についてない方の足の表現がとても上手で、フォルムが綺麗。音をとらえるのが上手い。ダンサーとしての才能が凄い。
彼の一番いいところは、「このプログラムでこういうイメージを伝えたい」意志が明確なところ。
「勝ちたい」も、勿論あるだろうけど、先に「踊る」魂が来るところが好きです。

今は4回転の本数を増やしてて、ちょっと表現が犠牲になってるかな~と思うところは否めません。
それは宇野君もだし…辛いところだなあ。デニス君やミーシャみたいに4回転入れない選手は、やっぱり表現に割く時間の余裕があるから、それだけ「踊り度」の高いプログラムになってるけど、それだと点数の上限が決まってしまってる。
私の大好きなジェイソン・ブラウンも、4回転を入れない以上、4回転複数入れる選手の上に行けないかな…と思うと、なんとも切なく歯がゆい。

ネイサンはそんなフィギュア・ファンの最大のジレンマを、解決してくれる選手になってくれるかな…と期待してますが、なんだかこの青嶋ひろのさんの文章を読んでたら、ちょっと胸がスッとしました(笑)。腑に落ちた。
ネイサンの「ジャンプ抜き」のフリーとか、見てみたいよ!
「若くなくなったら跳べないかもしれない。だから今、跳べるだけのジャンプは跳んでおく。挑戦する」という主張は、誠に正しい。お客さんも新しい大技に沸くのは、自然な感情ですもんね。
でも、怪我はして欲しくないな…やっぱり4回転に規制かけるべきなのかな。

ひょっとしてネイサンは「4回転をフリーで6本跳んだ最後の選手」になるのかも★
コメント
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