年末、ランニングシューズを2足退役させることになった。
ランニングシューズをいつ替えるかというのはけっこう悩ましい問題だったりする。
普通(かどうかわからないが)われわれが靴を替える(もしくは捨てる)のは、
・目に見える部分が破れた、ひどく汚れた
・内側が破れた
・靴底(ソール)があまりにも削れてしまった
といった場合だろう。
ランニングシューズでも基本は同じだが、事情をややこしくしているのは、足・脚の故障が「靴のせいかもしれない」としばしばメーカーや医者や専門家が指摘するからだと思う。
上の3項目にかかわりなく--つまり目に見えないような状態でも交換すべきだとする話や文章もあちこちで見聞きする。
■小嵐先生の意見・・・交換の目安:1000km
例によってお世話になっている信頼すべき書籍から「ランニングシューズの替え時」に関して具体的に触れているものを抜き出してみよう。
まず「まんがでわかる ランニング障害解決事典」の小嵐先生。
「体重や走り方にもよりますが、私の経験では1000km走るとほぼ継続して使用できないくらい靴底が減ってしまいます」(P.16)
と書かれている。小嵐先生の素晴らしいところは、だからといって「すぐ新しい靴に変えましょう」とは書かないところだ。
「靴底だけの問題なら修理して1年ぐらいははきたいものです」(P.16)
と言い、実際にご自分で修理して履かれているそうだ。
「かかとのすり減ったシューズが好ましくないのはいうまでもありませんが、特にかかとの外側が極端にすり減ったシューズの場合は、足首部分で腱の折れ曲がりが強くなって障害を起こしやすくなります」(P.34)
これはご自身の経験でもあるそうだ。
■金さんの意見・・・交換の目安:1000km
金さんが命がけで書いた「3時間台で完走するマラソン」にはまさに「買い替えのタイミング」という項目がある。
「月に1000km以上走るエリートランナーは、一月に一足くらいのランニングシューズをはきつぶすと言われている」(P.30)
とある。つまり金さんも1000kmを1つの目安と考えているようだ。
「ソールが傾くまで擦り減ったり、インナー(特に母子球の部分)が摩耗してきたら、それ以上履くのは好ましくない」(P.30)
この指摘は小嵐先生とも共通する。さらに
「全体的な外見に問題はなくても、ランニングシューズとしての機能が衰えてきたら、故障を防ぐためにも新しいものに履き替えるべきである」(P.30)
とも。この辺の指摘が1000kmより短い期間を指すのは明らかだ。
■アシックス 島田コーチの意見・・・交換の目安:700km
次は知ってる人は知ってるアシックスランニングクラブの島田コーチの本「ムリなくムダなく より速く完走できるマラソントレーニング」から。
本論に関係ないが、これらランニング関連の本に共通するダメなところがある。本の「題名が長すぎる」。正直言ってこれでは売れる物も売れない(と私は思う)。
それはともかく、島田コーチの意見はこうだ。
「ソールの薄いレーシングシューズは、体重や走り方にもよりますが、700kmくらいで寿命になります」(P.162)
さらに「新品のほうがソールがすり減っていない分、シューズとしての機能が十分に発揮されるので」中級者以上のランナー(この本を読むと、月間100km以上を走りサブ4を意識し始めたランナー)が記録を狙うなら事前の試し履き以外には使っていない新品のシューズを履くべきだと書いている。
島田コーチ自身、シューズはレース用と練習用を使い分けていて、新品のシューズをレースに使ったら、その後は練習用に回し、次のレースではまた新品を履くそうだ。
彼は2月の東京、7月のゴールドコースト、11月のニューヨークシティ、12月のホノルルと走っており、東京とゴールドコーストが勝負レースだそうだ。
つまり年間4足、勝負レースに限れば年2足のレースシューズを使用するということになる。1か月何㎞走るのか記述はないが、仮に月300kmとしても3ヵ月(年間4足として)で900km。700kmで寿命とするとさらにもう1足必要な計算でむだにはならない。
ということは島田コーチは練習でもレース用のシューズしか使わないのかもしれない。
■岩本能文の意見・・・交換の目安:500~600km
最後はちょっとしたセンセーションさえ巻き起こしたclub MY☆STARを主宰する現役ウルトラランナー岩本能文の「非常識マラソンメソッド」。この書名だけが良くも悪くもキャッチーだ。
ちなみにこの本の内容はさほど非常識とはわたしは思ってない。
「ぼくは500~600㎞を目安にシューズを新しいものに替えます。(中略)スポーツメーカーの人と話してみるとランニングシューズの耐用距離はやはり500~600㎞だそうです」(P.36)
「スポーツ用品メーカーの人と話してるから500~600㎞なんじゃないの?」と突っ込みたくもなるが、そういうことだそうだ。彼は足裏全体で着地しているのでソールは減らないという。それでも交換する。
この本を読むとわかるが、島田コーチ同様、彼も練習時でもレース用シューズ(アディゼロジャパン)を履いている。
以上の意見も参考にしつつ、どんなタイミングで靴を買い替えたらよいかさらに考えてみたいが、長くなったので続きは その2で。
ランニングシューズをいつ替えるかというのはけっこう悩ましい問題だったりする。
普通(かどうかわからないが)われわれが靴を替える(もしくは捨てる)のは、
・目に見える部分が破れた、ひどく汚れた
・内側が破れた
・靴底(ソール)があまりにも削れてしまった
といった場合だろう。
ランニングシューズでも基本は同じだが、事情をややこしくしているのは、足・脚の故障が「靴のせいかもしれない」としばしばメーカーや医者や専門家が指摘するからだと思う。
上の3項目にかかわりなく--つまり目に見えないような状態でも交換すべきだとする話や文章もあちこちで見聞きする。
■小嵐先生の意見・・・交換の目安:1000km
例によってお世話になっている信頼すべき書籍から「ランニングシューズの替え時」に関して具体的に触れているものを抜き出してみよう。
まず「まんがでわかる ランニング障害解決事典」の小嵐先生。
まんがでわかるランニング障害解決事典 | |
小嵐 正治 | |
ランナーズ |
「体重や走り方にもよりますが、私の経験では1000km走るとほぼ継続して使用できないくらい靴底が減ってしまいます」(P.16)
と書かれている。小嵐先生の素晴らしいところは、だからといって「すぐ新しい靴に変えましょう」とは書かないところだ。
「靴底だけの問題なら修理して1年ぐらいははきたいものです」(P.16)
と言い、実際にご自分で修理して履かれているそうだ。
「かかとのすり減ったシューズが好ましくないのはいうまでもありませんが、特にかかとの外側が極端にすり減ったシューズの場合は、足首部分で腱の折れ曲がりが強くなって障害を起こしやすくなります」(P.34)
これはご自身の経験でもあるそうだ。
■金さんの意見・・・交換の目安:1000km
3時間台で完走するマラソン まずはウォーキングから (光文社新書) | |
金 哲彦 | |
光文社 |
金さんが命がけで書いた「3時間台で完走するマラソン」にはまさに「買い替えのタイミング」という項目がある。
「月に1000km以上走るエリートランナーは、一月に一足くらいのランニングシューズをはきつぶすと言われている」(P.30)
とある。つまり金さんも1000kmを1つの目安と考えているようだ。
「ソールが傾くまで擦り減ったり、インナー(特に母子球の部分)が摩耗してきたら、それ以上履くのは好ましくない」(P.30)
この指摘は小嵐先生とも共通する。さらに
「全体的な外見に問題はなくても、ランニングシューズとしての機能が衰えてきたら、故障を防ぐためにも新しいものに履き替えるべきである」(P.30)
とも。この辺の指摘が1000kmより短い期間を指すのは明らかだ。
■アシックス 島田コーチの意見・・・交換の目安:700km
“ムリなく”“ムダなく”より速く完走できる マラソントレーニング | |
島田 佳久 | |
永岡書店 |
次は知ってる人は知ってるアシックスランニングクラブの島田コーチの本「ムリなくムダなく より速く完走できるマラソントレーニング」から。
本論に関係ないが、これらランニング関連の本に共通するダメなところがある。本の「題名が長すぎる」。正直言ってこれでは売れる物も売れない(と私は思う)。
それはともかく、島田コーチの意見はこうだ。
「ソールの薄いレーシングシューズは、体重や走り方にもよりますが、700kmくらいで寿命になります」(P.162)
さらに「新品のほうがソールがすり減っていない分、シューズとしての機能が十分に発揮されるので」中級者以上のランナー(この本を読むと、月間100km以上を走りサブ4を意識し始めたランナー)が記録を狙うなら事前の試し履き以外には使っていない新品のシューズを履くべきだと書いている。
島田コーチ自身、シューズはレース用と練習用を使い分けていて、新品のシューズをレースに使ったら、その後は練習用に回し、次のレースではまた新品を履くそうだ。
彼は2月の東京、7月のゴールドコースト、11月のニューヨークシティ、12月のホノルルと走っており、東京とゴールドコーストが勝負レースだそうだ。
つまり年間4足、勝負レースに限れば年2足のレースシューズを使用するということになる。1か月何㎞走るのか記述はないが、仮に月300kmとしても3ヵ月(年間4足として)で900km。700kmで寿命とするとさらにもう1足必要な計算でむだにはならない。
ということは島田コーチは練習でもレース用のシューズしか使わないのかもしれない。
■岩本能文の意見・・・交換の目安:500~600km
非常識マラソンマネジメント レース直前24時間で30分速くなる! (ソフトバンク新書) | |
岩本 能史 | |
ソフトバンククリエイティブ |
最後はちょっとしたセンセーションさえ巻き起こしたclub MY☆STARを主宰する現役ウルトラランナー岩本能文の「非常識マラソンメソッド」。この書名だけが良くも悪くもキャッチーだ。
ちなみにこの本の内容はさほど非常識とはわたしは思ってない。
「ぼくは500~600㎞を目安にシューズを新しいものに替えます。(中略)スポーツメーカーの人と話してみるとランニングシューズの耐用距離はやはり500~600㎞だそうです」(P.36)
「スポーツ用品メーカーの人と話してるから500~600㎞なんじゃないの?」と突っ込みたくもなるが、そういうことだそうだ。彼は足裏全体で着地しているのでソールは減らないという。それでも交換する。
この本を読むとわかるが、島田コーチ同様、彼も練習時でもレース用シューズ(アディゼロジャパン)を履いている。
以上の意見も参考にしつつ、どんなタイミングで靴を買い替えたらよいかさらに考えてみたいが、長くなったので続きは その2で。