雪のバレンタインというと、私なんかは1993年放送のドラマ「高校教師」を思い出してしまう。
第6回「別れのバレンタイン」である。
鎌倉で生物教師の羽村先生(真田広之)と無断外泊した繭(桜井幸子)。
繭の父(峰岸徹)が学校へ密告したため、繭は停学になってしまう。
停学中、部屋で父の雇ったバイトに監視され、電話も外出もできない繭は、訪れてきた友人直子(持田真樹←かわいい)に羽村先生への手紙を託す。
それはバレンタインの日の待ち合わせの場所と時間を書き示したものだった。
バレンタイン当日。
繭は監視バイトの手を机の引き出しに挟めるというややバイオレンスな手法を取り、部屋を華麗に脱出。もうここらへん奇跡の脱出劇。ハラハラドキドキ。
待ち合わせの時間の20時を少し過ぎた20時10分に繭は待ち合わせの場所に着くが、羽村先生はいない。
その時、羽村先生は教育実習生の歓迎会に参加しており、またその場で繭に手を出したということで羽村先生を信じ、友情を確立していた体育教師(赤井英和)にボコられる。
ボロボロになり、部屋に到着した羽村先生。
待ち受けていたのは繭からの度重なる留守電のメッセージだった。
繭のメッセージの後、繭の父親からの電話「繭はどこだ?そこにいるんだろ?」
…繭はまだ待ち合わせの場所にいる!
急いで待ち合わせの場所に向かう羽村先生。
いつの間にか雪が降ってきた。
0時少し前。
待ち合わせの場所付近の電話ボックス内で待機していた繭は羽村先生の姿を見つけると満面の笑みで駆け寄る。
そして雪で滑った繭は転んでしまう。
「これ、バレンタインの」
と言いながら小さな包みを羽村先生に渡す。
羽村先生は、自らのコートを繭に掛けながら
「馬鹿だな、風邪引くじゃないか」
と言う。
そして
「もう二人で会うのは辞めよう」
「面倒なのは嫌だよ。教師クビになったら困るしね」
と…心にもないことを言ってしまう。
その時の繭役の桜井幸子が秀逸。
透明感のある絶望と悲しみをほんの数秒間で見事に表情に浮かべるのである。
羽村先生のコートを脱いで駆けていってしまう繭。
雪の中、その背中を見つめる羽村先生。
エンディングテーマ「僕たちの失敗」(森田童子)
高校教師:OP&ED集 1/3
もうあのドラマがやっていたのって21年前なんだな。
しかも当時は受験を控えていて、これを観たのは高校一年生のとき、夕方の再放送だった。
今日もあのドラマの日のように雪が降っている。
この寒空の中で4時間もひたすら羽村先生を待つ繭って何なんだろうな。
しかも奇跡の脱出劇を果たした彼女はコートも着用せず、たしか短いズボンを履いていた。
苦行も厭わず、この寒い中を待ち続ける自信が私にはない。
ちょっとした修行ではないか。
ドラマ「高校教師」は生徒と教師の禁断の愛を描いたものだ。
例に漏れず、「禁断」には秘密と共に甘美が隠されている。
でもこのドラマはそれだけじゃない。
羽村先生、繭を取り巻く他の演出も丁寧に行われている。
音楽やロケも美しく、21年前なのに古さを感じない。
今日のバレンタイン。
それぞれのカポーのドラマに雪は舞い降りるのだろうか。
そんなことを思いながらコンビニに寄って帰宅した。
静寂の雪道。
どこからともなく「僕たちの失敗」が流れてきたような気がした。
