中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

親殺し

2008-07-01 07:51:27 | 身辺雑記
 奈良県で17歳の少年が就寝中の父親を斧とサバイバルナイフで殺害して逮捕された。

 少年は市内の中学校を卒業後定時制高校に入学したが一度も登校しないで退学、その後はある会社にアルバイトとして働いていたようだ。独立して生活することを希望していたとかで、そのことで父親と確執があったとも伝えられているが、詳しい動機などはまだ不明だ。事件の記事を見て驚いたことは、見出しに大きく「殺してみたかった」とあったことだ。警察の取調べに対してそのような供述をしたようだが、何とも異様な感じがした。

 「みる」には「ためす、試みる」と言う意味があり、文字どおり解釈すれば「殺してみる」は「ためしに殺す」ということだ。供述どおりなら少年は斧やナイフで父親を殴ったり刺したりしたら死ぬかどうか試してみるつもりだったと言うことになる。「ためしに」殺されたとしたら、その父親としては堪ったものではないが、おそらくは少年の表現が未熟なので、明確な殺意はあったのだろう。

 親が子を殺す事件はあるが、親殺しもまた少なくない。新聞によるとこの5年間に起きた未成年者が親を殺害した事件は9件にも上るようだ。このような事件が起きると私はいつも、殺された親は、その子が生まれた時にはおそらく喜び、子どもの将来に期待したことだろうにと想像し、とりわけ母親は、産みの苦しみを経て腕に抱いた嬰児が十数年後には自分を殺すことになるなどとは想像だにしなかっただろうと胸がふさがる思いになる。こんなに悲惨なことはない。この少年の父親は離婚後、少年と弟を男手で面倒を見ていて子煩悩だったと言うから、哀れさはひとしおである。思いがけず父親を喪い、兄も捕らわれの身となって1人になった高校1年生の弟もまた哀れなことだ。

 同じ日に、三重県でも18歳の無職少年が殺人容疑で逮捕された。「金がほしかった」というだけの理由で、友人の母親の頭を鉄アレイで殴って殺害している。このように親殺し以外の未成年者の殺人事件も多い。いったい何が少年少女たちを殺人に駆り立てるのか。人を殺すということが、人間としての最大最悪の罪悪だということが分からない若者が増えているとしたら恐ろしいことで、これからも若者達が「殺してみる」程度の気持ちで殺人を犯すようなことは何としても防いでいかなければならない。それには幼い頃から家庭や学校で、いのちを慈しみ大切にすることを事ある毎に教えていくのが親や教師の責務だと思う。