中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

命を救われたイルカ

2008-07-24 07:37:34 | 身辺雑記
 今年の2月に宮崎県延岡市沖に設置されていた定置網に入っていたイルカの子どもが保護されて大分市の水族館に運ばれた。

 このイルカはハセイルカという私は初めて知ったイルカだが、生後1年くらいの雌で、水族館の水槽に移されたときには瀕死の状態で、浮くこともできないで、そのまま沈んでしまうくらいに衰弱していたと言う。

 イルカは鯨の仲間の哺乳類で肺呼吸をするから、水中に沈んでしまっては溺れ死んでしまう。そこで水族館の15人のスタッフ達が2日間交代で水槽の中で寝ずの番でイルカを支え続けた。スタッフの1人は「手を離せばこの子は死んじゃう、自分が命を預かっているんだ、と思いながら一生懸命でした」と話したと言う。 

 殺伐とした話が多い近頃だが、この話を読んで心温まる思いがした。簡単に寝ずの番とは言うが、水の中でのスタッフ達の作業は大変なことだっただろうと想像する。手当てを始めて3日目からは板状の発泡スチロールと浮きを組み合わせた特製のライフジャケットを作って着せて水に浮く練習をさせ、約10日たってから自力で泳ぎ、餌も摂るようになった。今では一般公開されて元気に泳ぐ姿を見せていると言う。

 ハセイルカは外洋性のイルカでマイルカとはよく似ていて、かつてはマイルカの変種とされていたが今では独立した種とされ、イルカ類の中ではもっとも個体数が多く、外洋では頻繁に見られるそうだ。よくテレビ番組で群を成して飛ぶように泳いでいるイルカはこのハセイルカなのかも知れない。しかし外洋性だけに水族館で見られることは珍しく、大分の水族館での飼育は世界で3例目だと言う。それだけにこの貴重な子どもイルカはこれからこの水族館の人気者になることだろう。このひとつの幼い命を救ったスタッフ達の献身的な努力も来館者にぜひ伝えてほしいと思う。