中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

トマト(2)

2008-07-19 09:15:41 | 身辺雑記
 トマトの古名は、あかなす、さんごじゅなす、異称は蕃茄(ばんか)と言う。これは中国語の番茄(ファンチエ)から来ているのだろうが、蕃も番も外国の異民族を意味するから、異国の茄子と言うことだ。初めて目にしたときには茄子を連想したのだろう。中国語では普通は西紅柿(シィフォンシィ)と言うが、これは西洋の赤い柿と言う意味だ。日本でも江戸時代に到来したときには観葉植物とされ、唐柿と呼ばれたそうだ。トマトはメキシコ原産で16世紀の初頭にスペインに持ち帰られたもので、日本や中国に到来したのはそれよりずっと後のことだ。日本や中国で異国の茄子とか柿としたのも分かる。

 トマトが初めてヨーロッパに渡来したときには、有毒植物のべラドンナに似ていることから毒があると思われて、食用としてヨーロッパに広がったのは18世紀のことと言う。日本で食用にされたのは明治以降で、日本人の嗜好に合わせた品種の育成が盛んになったのは昭和に入ってからと言うから、意外に歴史は浅い。初期のころのトマトのイメージは今と同じだろう。柿のような大きさで赤く丸いというイメージはずっと続いてきたが、やがてミニトマトとかプチトマトとか言う小さな品種も市場に出るようになり、すぐに広く普及するようになった。色も黄色のものもある。それでも見ればすぐにトマトと分かるものだ。

デパートのトマトコーナー




 ところが最近のデパートなどでは、ちょっと見にはこれがトマトかと思うようなものも含めてさまざまな品種が出ている。並べられているものを数えてみたら10種類以上あった。もっともらしい横文字名前がつけてあるが、値段は希少価値なのか結構高い。
   

 

 

 

 どんな味覚なのかと思って、試しにレモンボーイとブラックチェリーというのを買ってみた。レジで支払いするときに係りの女性がブラックチェリーを見て、これトマトなんですか、ブドウかと思いましたとびっくりしたように言った。家に帰って食べてみたが、外観は柿やブドウのようであっても味や食感に特に特徴があるわけではない、当たり前のことだが単なるトマトで、希少価値のあるものとも思えなかった。普通のトマトよりもずっと割高だから、それほど家庭で使われるものでなく、レストランでの料理のいろどりになるくらいではないか。やはりトマトはいつも口にしているものがいい。