中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

日本人の要求

2008-07-25 09:09:57 | 中国のこと
 西安の李真(リ・チェン)は国営企業の西安中国国際旅行社で働いている。仕事は日本の旅行社からの請求に応じてツアーの経費の見積もりをしたり、ツアーを受けるとガイドやホテル、レストラン、車や列車などの手配をする。ツアーを迎えたらトラブルなどの対応もする。なかなか苦労の多い仕事らしい。これまでにいろいろ話を聞いてきたが、日本の旅行社の頭ごなしの態度や、添乗員の鼻持ちならない横柄さ、ままあるツアー客のわがままや無礼で下品な態度のことなどを聞くと、日本人として恥ずかしく思うことも少なくなかった。

 先日彼女はチャットしている時に「日本人はとても細かいですね」と言った。ある日本の旅行社の支社が組んだツアーの手配について、メールのやり取りをしていて感じたことのようだった。その内容を羅列してみると、
 
・レストランで日本の歌のカラオケを歌いたい。中国で売っている日本の曲のDVDにある曲名を知りたい(調べて送った)。
・各ホテルの変圧器を使って充電したい。コンセントが使えるかどうか知りたい。変圧器のコンセントのタイプも知りたい(写真を撮って送った)。
・団長は鳥を食べないから、全聚徳(北京ダックで有名な店)のメニュー以外に団長のためのメニューも事前に知らせてほしい。
・上海空港に到着した時に出迎えのガイドと順調に出会えるかどうか心配だから、空港内の地図を送ってほしい。

 他にもまだあるのだろうが、私もあまりの細かさに呆れてしまった。おそらく中国は初めての客なのだろうが、どんな客なのかと李真に尋ねたら「お金持ちだそうです」と言ったのでおかしかった。上記の要求についていちいちコメントはしないが、お金持ちかどうかはいざ知らず、自分で調べたら分かるか、旅行社が調べたら解決することだ。団長用の別メニューの事前準備など、何様かと言いたくもなる。私も個人で何回も中国に行き、現地の旅行社の友人に世話をしてもらったことがあるが、こんな細かいことなど要求したことはない。李真の相手の日本の旅行社は情報が乏しいのか、客に気を使い過ぎているのか、李真が日本人はとても細かいと思うのも無理はない。どうもこういうことについては、欧米人のツアー客の方がおおらかさがあるようだ。

 出発前からこんなことでは、ツアーが始まったらきっとトラブルを起こすぞと言ったら、李真は「怖いね」と言った。実際トラブルがあると、それは自然現象が原因であれ、人為的な問題が原因であれ、ツアー客個人の問題が原因であれ、処理するのは李真たち中国の旅行社の担当者で、そのためには真夜中近くまで会社に残って連絡を取り合うこともある。ツアーが終わるまで気が抜けない。

 いろいろな旅行社が企画し募集している中国へのツアーはとても安いが、そのようなツアーの裏では、時には過剰とも思えるような日本の旅行社の要求に耐えて仕事をしている李真のような中国人の担当者達がいることを少しくらいは知っておいた方がいいと思う。それが仕事ではないかと言ってしまえばそれまでだが。