中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

ガングロ

2008-07-12 08:44:32 | 身辺雑記
 久しぶりにガングロを見た。朝ラッシュを過ぎたJRの車内はがらんとしていて、通路を隔てた前の座席に座っていたのはその娘だけだった。今時ガングロの女の子がいるのかとちょっと驚いた。

 10年位前にはガングロの女子高校生などをよく見かけた。初めて見た時にはその異様な化粧に驚き、こんな格好で通学を許す学校はさぞ風紀が乱れているのだろうと思ったものだ。ガングロは「ガンガン黒い」の略だそうだが、顔黒から来ているという説もあるようで、私にはこの方が分かりやすかった。日焼けサロンで焼いたり、黒いファンデーションを塗ったりするのだそうだ。90年代の後半から流行したが、2001年に入ると美白ブームが到来して白塗りが流行るようになって下火になったようだが、それでもここ数年は毎年夏になると現われるのだそうだ。地域差があって関西では少ないと言うから、私が久しぶりに見て驚いたのも当然かも知れない。

 それにしても前に座っていた娘は、ガングロと言うものを間近に見たせいか奇怪な風貌だった。どう見ても10代とは思えなかったが、さりとてどういう類で何歳くらいなのかは見当がつかなかった。案外若くないのかも知れない。黒か茶のファンデーションを塗っているのだろうが濃い褐色の顔で、元来が色黒なのか日焼けしているのか手足もかなり黒い。唇は白く塗り、濃いアイシャドウ、黒く固めた睫毛が目立つ、左の小鼻にはピアス。長い髪は茶色に染めて前を高く上げている、サンダルを履いた足の爪には真っ黒なマニキュア。一応は手を入れているのだが、全体として肥満体に近く、スタイルはまったく良くない。襟刳りの大きな服を着ていたから、張りのないだらんとした色黒の胸が見えて清潔感は皆無だった。目を背けていればいいのに、そこが男の浅ましさなのか、野次馬根性なのか、本を読む目を時折上げて、以上のことを観察したしだい。

 朝の光の中だからまだ良かったが、これが夜の車内だったら、気味が悪いのではないか。近頃寝る前にベッドで読んでいる現代語訳の『今昔物語』に出てくる鬼女を想像し、夜中にベッドのそばに立たれ、下から光が当たりでもしたら、まさに妖怪だろうなと思った。朝っぱらからいささか奇怪なものを見て辟易してしまった。