中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

定額給付金

2009-03-05 10:31:30 | 身辺雑記
 定額給付金関連法案が衆議院で再議決されて成立した。当初から紛糾の種になっていた定額給付金も、これで支給されることになった。

 平成20年度第2次補正予算案の目玉として麻生政権が打ち出したこの給付金は評判が悪かった。初めは生活補助のためと言い、総選挙目当てのばらまきだとの批判が多く、その後経済状況の急激な悪化で、景気対策だとも説明が変わり、最終的にはその両方だと言った。そのたびに野党の追及を受け、総額2兆円にも上る予算を必要とすることから、もっと有効な使途もあるだろうと批判され、世論調査でも「景気対策として適切ではない」との回答が全体の80%近くもあった。このあたり、くれると言うのならつべこべ言わずに受け取ればいいじゃないかというような安易な意識を国民が持たなかったのは評価できると思う。

 しかし政府与党はこのような世論、民意には目を逸らし、首相も国会での答弁で「早く支給してほしいという声もよく聞く」と強弁した。給付対象も上限を設けるとか設けないとか政府の方針は揺らぎ、では自分が受け取るかということになると、首相は例によって発言にぶれが多く、初めは「もともと受け取る気がない」と言ったり、自分を意識してか高額所得者が受け取るのは「さもしい」とか「矜持の問題」とも言った。その後は景気対策になるから国民がみな受け取り使ってほしいとなり、自分が受け取るかはその時になって考えるなどと、政治家の言葉の軽さを露呈したような発言が続いた。結局は受け取ることにしたようだ。

 野党の要求どおり定額給付金は外せば、もっと早く補正予算は成立していただろうが、政府与党は内部にも異論があっても頑として肯んじなかった。政治とは国民の理解の外で行われるものだとつくづく思わされた。

 法案成立が確実視されるようになってから、政府は閣僚懇談会で全閣僚が受け取ることを申し合わせ、自民党も所属国会議員に受け取るよう呼びかける通知を出す方針を確認した。これを受けて態度を明らかにしていなかった閣僚も相次いで受け取る考えを明らかにしたようだ。しかし、これはおかしなことではないか。自分達が出した法案が、受給対象者を全員としている限り、閣僚や議員が個人の恣意で受け取るかどうかを言うことではあるまい。喜んでということはないだろうが、黙って受け取るべきだ。

 法案再審議の衆議院本会議には欠席を予告して波紋を投げかけていた元首相は欠席した。与党議員も1人が会議中に退席し棄権した。元首相は過去に功績があり、事前に欠席届を出しているので反対の意思表示ではないとして処分なしとした。棄権は賛成でも反対でもない意思表示だと思うが、自民党は棄権した議員を戒告処分とした。何やら牽強付会のようにも思えるが、永田町という別世界ではこのようなことは別に不思議でもないことなのだろう。

 国会での給付金騒ぎは一応終わった。これからは地方自治体が支給に向けての手続きや作業をすることになる。手間も金もかかる作業らしい。早々に支給できるところもあるが、5月以降にずれ込む自治体もあるようだ。私の住む市では4月らしいが、いつになろうとどうでもいいと思っている。収賄で辞職した市長の後任はどうなるのかの方に関心がある。テレビでは「嬉しいです」とか「有難いです」、「助かります」という街の声を映していた。2万円は私にとって少なくはない金額だが、私には特にそういう感想もない。これまでの経緯を思い、法案が再可決されたときに「ウォー」と歓声を上げる与党の議員達の様子を見ていると、何かしらバカにされたような気がしたのはなぜなのか。ひねくれているのだろうか。果たして思惑通りこれで選挙の票は買えるのか、景気を刺激することになるのか。