中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

自殺

2009-03-10 08:53:40 | 身辺雑記
 警察庁の発表によると、この1月に日本国内で自殺した人は、男性1894人、女性751人で、計2645人だった。警察庁はこれまで月別データは出していないので前年同期比は不明だが、厚生労働省の人口動態統計月報によると、2305人だったから増えているのかもしれない。また警視庁と道府県警が調べた自殺者数の暫定値を共同通信が集計した結果によると、全国の昨年1年間の自殺者数は3万人を超え、ほぼ前年並みになる見通しであることも分かった。警察庁の自殺者数統計は1998年以来3万人を上回っており、11年連続となることが確実になったという。

 年齢別や原因については不明だが、それでも年間で3万人以上の自殺者があるというのは痛ましいことだ。WHOの2007年11月現在の各国のデータによれば、自殺率(人口10万人あたりの自殺者数)を見ると、日本は24.0人で9位になっている。先進国ではかなり高いほうだ。日本よりも高いのはロシアの3位だが、老人の自殺が多いらしい。日本の男性は55~64で最も自殺率が高くなっている。

 ニュースなどで知るのは小中高校生などではいじめによるものが多いようだが、青壮年の世代では生活苦や病弱ということが多いのではないか。特に昨今のように働き盛りでリストラされて職の当てのない人が増えている状況下では、これから自殺者の数も増えるのではないかと心配される。実際、派遣切りなどで職を失い住居も追われ、新しい就職口も見つからないようになれば、私なら耐えられるだろうかと考えてしまう。

 よく、死ぬ気になるのなら何だってできるはずだ、生きる意志が弱い、もっと自分を大切にするべきだなどと批判する向きがあるが、そこにいたるまでの当事者の苦しみや絶望感は他人には窺い知れるものではなく、軽々に批判するものではないだろう。私の身内にも若くして自死した者がいるが、かなりのウツに苦しんでいたらしい。妻が入院していた病院で、1人の若い入院患者が廊下を歩いているのを見たが、痩せて顔色は真っ青で生気がなく、いかにも苦しそうだった。その姿を見て、生きることに希望がなくなっても仕方がないだろうと思った。

 もっとも、家族を道連れにした無理心中などはいけないと思う。とくに年端もいかない子どもを道連れにするのは、後に残したらかわいそうだという親としての気持ちはわからないでもないが、やはりむごいことだ。冷たいことを言うようだが、子どもは親がいなくなっても何とか生きていけるものだと思う。かつて米国で、在留邦人の母親がわが子を殺して心中を図ったが死に切れなかった事件があった。米国ではこういうことは市民道徳として許されることではないようで、その母親は終身刑になった。日本でも無理心中は殺人だという認識を持つべきではないだろうか。

 小中高校生の自殺の中には、柵を越えるような簡単な気持ちで死を選ぶこともあると聞いたことがある。やはり若いうちは死を畏怖するべきだ。死ということを軽く考えていると、他人や身近の生物の命も軽く考えるようになる。もっと死というものの重さを考えさせるべきだ。そのためには、生きていくことの大切さを教えることはもちろん必要だが、学校でも死ということを教えること、死の教育のようなものが重要ではないか。