中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

ワールドカップ狂躁曲

2010-07-14 08:32:41 | 身辺雑記
 6月11日から南アフリカ共和国で開催されていたサッカーのワールドカップ(W杯)大会も、スペインがオランダに勝って優勝し幕を閉じた。私の次男は中学校から大学までサッカーをやり、今もフットサルの監督をしたりしていて、もちろんサッカーは好きだから、この大会はかなり見ていたようで、優勝はスペインだろうと言っていた。

 日本チームは一次リーグで健闘し、決勝トーナメントに上がった。大会に出る前の練習試合ではあまり芳しくない戦いぶりで、とりわけ同じアジア代表の韓国に負けたときには、ファンやマスメディアからはずいぶん叩かれたらしく、それもぼろくそのようなもので、監督の退任を求める声もあったようだ。テレビのワイドショーなどでも「識者」が、予選リーグで惨敗するだろうなどとご託を並べたてたりしていたらしい。

 それが、一次リーグ第1戦でカメルーンに勝ったときから、がらりと雰囲気は変わり、たちまちのうちに熱狂モードになった。日本チームの試合は新聞の1面で大きく取り上げ、NHKの夜のニュースでもトップで長々と扱った。そして決勝トーナメントに出場が決まると、16強に入ったのは海外の大会では初めてのことだと大騒ぎだ。結局は最初のパラグアイ戦で敗れたが、大会前とは打って変わって「よくやった」の大合唱。ネット掲示板には「岡ちゃんごめん」など「反省」の書き込みが続いたらしい。帰国した選手達を空港で迎えたファンやマスコミの報道陣の騒ぎは、まるで優勝したかのようだった。息子はサッカーが好きだがクールなところがあって、サッカーファンの熱狂振りにはどちらかと言うと冷ややかな見方をしていて、「ちょっとおかしいだろう?」と言っていた。帰国後も選手達の母校訪問や出身自治体での表彰などが続き、大阪府は監督や大阪府出身の選手に府民栄誉賞にあたる「感動大阪大賞」を贈った。授賞理由は知事によると、「スーパースターですから」だそうだ。まさに手のひらを返したような雰囲気に乗ったようなもので、何となく気恥ずかしくもなる。

 私はサッカーファンではないから、ワールドカップ大会で決勝トーナメントに入ることがどれほどの値打ちのものなのかは分からない。とにかくサッカー音痴みたいなもので、何度教えられてもオフサイドというものが分からないし、どういう場合にペナルティーが課せられるかも知らない。野球が好きだから得点が少ないことに、時にはもどかしさを感じたりするド素人だ。だから言うわけではないが、突然日本国民全部がサッカーファンになったかのようなマスコミの扱いには少なからぬ違和感を覚えた。どうも年のせいか、あれほどマスコミに熱狂的に騒ぎ立てられると、つい戦時中の「一億一心火の玉だ」というスローガンを思い出して、時代は変わってもマスメディアの大衆を煽る体質は変わらないのだろうかと思ったりする。 (続)