ナチュラルな暮らし

穏やかな日常の一コマ

小笠原氏ゆかりの地~旧小笠原家書院と資料館~

2022-05-25 | ミュージアム

天竜峡の次に向かったのはこの近くの「旧小笠原家書院」と「小笠原資料館」です。信州のあちらこちらに小笠原氏の名前が出てきますが、その元になった飯田の領主だった小笠原氏ゆかりの地を一度訪ねたいと思っていました。この飯田市にはその小笠原家の書院が残されています。

 

この建物は1624年築とのことです。当時の貴重な建物として重要文化財に指定されています。説明文とこの屋敷の構造図です。

 

 

ここに至る石垣も趣があります。正面に門があります。

 

 

 

この建物は崖の上に突出した懸造りになっています。この敷地全体が城郭の構えだったようです。

 

この時、他に見学者は誰もいなくて、受付にいた学芸員さん(?)はずっと付き添って案内をしてくださいました。この書院は来客用に使われたとのことで大きな部屋になっていました。

 

広い廊下の向こうの明り障子をあけて下さいました。新緑が美しかったです。この明り障子の外に雨戸があります。

 

手の込んだ造りの玄関の天井と部屋の格天井です。

 

 

一間には大床が設えてあり、もう一間は床と窓を持つ付書院が設けられていました。

 

 

 

ここの柱はどれも年数の経った立派なものです。竹の節欄間が設けられています。

 

 

ここには籠と輿が残されていました。特に輿は貴重なものだそうです。

 

 

 

重要文化財の貴重な建物を丁寧に案内していただき、どれも注目して見せていただきました。

もう一つ注目は同じ敷地内にある「小笠原資料館」です。この建物はSANAA(妹島和世と西沢立衛の建築家ユニット)の設計です。SANAAは金沢の21世紀美術館の設計でも有名、建築家のノーベル賞とも言われるプリツカー賞も受けています。

 

 

入口へのエントランスも素敵でした。

 

新旧の建物が同居する、何とも不思議なそして素敵な場所でした。

 

館内はガラス張りで正面に「旧小笠原家書院」が見えるようになっています。この椅子も妹島和世さんデザインのものだそうです。

 

 

館内には小笠原家で使われた道具や鎧兜、刀などが展示されていました。

 

 

そして注目は「小笠原氏」の系譜です。県内あちらこちらで見かける「小笠原氏」のルーツがようやくわかってきました。

 

 

「小笠原流」についても理解することができました。

 

「小笠原氏」は松本城の城主の一人…その小笠原秀政が飯田から松本へ入った時、飯田から職人を引き連れて行って城下に住まわせたそうで、そこが飯田町だそうです。今でも松本にある飯田町の由来…たまたま今日ラジオから流れた知識ですが、飯田と松本が小笠原氏で繋がっていました。

おまけは以前から気になっていた小笠原氏と油壷の関係…我が家にあった飯田のカルタにも取り上げられ、この旧小笠原家書院の入り口の石碑にも書かれていいました。

 

 

この時、案内の方にお聞きしたところ、生活の必需品だった油を運ぶのにこの辺りでは竹の筒を壺代わりにして油を入れ、それを天秤に担いで移動したとのこと…その姿が良く見られたので唄われたのであろうとのことでした。

ここでは小笠原氏について知ることができ、新旧二つの素晴らしい建物にも出会えていい時間が過ごせました…

 

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
飯田町 (ran1005)
2022-05-25 18:16:53
松本城主は小笠原家であることは良く知って居ましたが、
飯田市には旧小笠原家書院と小笠原資料館があるのですか?
何度も飯田市へは主人のアッシーで往復しておりましたのに
歴史的な知識が無くて勿体ない事をしました。
松本市内に飯田町が在ることも知りませんでしたヨ。
現在、どのあたりなのでしょう?
油壷の事は初耳です。
竹の筒に油を入れて運んだのですか?
タッジ―マッジー様は色んな事を勉強されているのですネ。
小笠原書院は日本建築の粋を終結させた様な立派な建物ですネ。
それと相対して資料館は超モダン!
2つの建物が並んだ風景が奇異に見えますが・・・。
現場でご覧になるとマッチングしているのですネ。
写真を拝見していると異空間に来たような・・・
不思議な錯覚を覚えます。
返信する
かなり古い建物なのですね (くちかずこ)
2022-05-25 21:55:13
説明文、鮮明で薄れたり滲んだりしていなくて読みやすいわ。
此処まで昔だと、隔絶感があるなあ。
籠、角館で見た気がします。
ゆっくり説明受けながら拝見できて、お互いラッキーでしたね。
近代的な建物との並列、これも時流なのかしら。
返信する
ran1005さんへ (タッジーマッジー)
2022-05-25 23:13:52
こんばんは。
県内には小笠原氏に繋がる場所があちこちにあります。
松本城主だったことでも知られていますね。
その小笠原氏は飯田の小笠原氏の系統のようです。
松本市の飯田町はその繋がりを表す地名…
松本駅からあがたの森に向かう大通りがありますが、
そのあがたの森通りと開運堂のある本町通りと交わるのが深志2丁目の交差点…
その深志2丁目の信号の次に「飯田町」の信号があります。
この辺りが「飯田町」と言われているようです。

ranさんは飯田市に何度も行かれたことがあるのですね。
私は母の実家もありましたし、どれだけ行ったかしれませんが、
この旧小笠原家書院の存在は最近になって知りました。
歴史の重みのある飯田市のことも今更ですが興味深いことです。
油壷のこともずっと気になっていて、ようやく知ることができました。
この辺りは温暖で竹林も多い土地柄…
竹をいろいろ工夫して使っていたのでしょうね。

この格式ある古い建物は立派なものでした。
そして隣に立っている近代的な建物には驚かされました。
不思議な空間でしたが、素敵な空間でもありました…
返信する
くちかずこさんへ (タッジーマッジー)
2022-05-25 23:16:36
こんばんは。
この建物は建築から400年とかなり古いものです。
でもこうして残っているのは、かなりの樹齢の立派な柱を使っているからだそうです。
しかも書院造りの本格的な工匠によって造られたとのことです。
説明文を写真に収め、じっくり読み返して理解しました。
江戸初期の建物ですから、ちょっと隔絶感があるかもしれませんね。
籠の存在も遠い昔の話ですが残されていることに感慨を覚えます…

くちこさんも先ごろの旅で丁寧な説明を受けられましたね。
私もここでは他に見学者がいなくて解説付きの見学ができました。
こうした見学ができるのも平日に旅ができる者の特権でしょうか…
本当にお互いラッキーでしたね。
この近代的な建物との並列は確かに時流かもしれません。
不思議な歴史を感じさせられる空間でもありました…
返信する
圧巻 (take)
2022-05-26 00:41:44
小笠原氏にかかわる場所が飯田市にあるとお聞きしていたのが ここのことだったのですね~。

小笠原氏といえば「松本城主」の一人、それに「小笠原流」・・その「小笠原」は山梨に深いかかわりがある、と夫からうすうすと聞いていただけでしたが
タッジ―マッジーさんのレポートでよくわかりました。

系譜を見て 今の大河ドラマの中で武田の始祖が頼朝に
「(自分は)家人ではない!」と言ってのけていた場面を思い出しますし理解できました。
その息子は頼朝に殺された!・・今回の大河はなお一層「史実はどうなのかしら」と気になること。古文書も「書いたもん勝ち」とも言われますよね。神のみぞ知る・・か

書院の中も 別棟の資料館も立派なこと!
SANAA?
「SANAAは金沢の21世紀美術館の設計でも有名」
どこかで聞いたことがあると思っていたら 金沢で聞いたのでした。
 
書院の中、(タッジ―マッジーさんの)丁寧な案内に感激 (石垣も、ですが)
格天井(何も描かれていないことが かえって歴史・風格を感じます)
付書院
竹の節欄間
それに御輿のこと
「鎌倉時代に作られた甲斐の国にあるものと・・」と
甲斐の国のどこにあるのかしらと気になってきました。

(無料)ガイドツァーありがとうございました。
返信する
takeさんへ (タッジーマッジー)
2022-05-26 20:33:46
こんばんは。
小笠原氏のこと知るのにぜひここには足を運びたいと思っていました。
松本城の歴代の城主に名を連ねている小笠原氏…
それに地元の小さな遺構や城跡のいわれにも出てくる小笠原氏…
そして小笠原流のことも山梨に深い代わりのある事も…
いろいろがここを見学することで納得できたような気がします。
山梨県の小笠原氏ゆかりの地もいつの日にか訪ねてみたいものです。

系譜を見て改めて頼朝や武田氏の繫がりも知った次第です。
ドラマと史実は必ずしも一致しないのかもしれませんが、
あれこれ興味は深まりますね。

書院の建物も立派でしたが、資料館の建物にも驚きでした。
雰囲気が金沢21世紀美術館に似ていると感じました。
この田舎の地に著名なSANAAの建物!
これには設計者の妹島和世さんのお母様の出身地という縁があったからのようです。

さすがtakeさん、格天井によく気づかれましたね。
ここに何も描かれていないのは質実剛健の趣きが強い現れとのことです。
建物全体は格式ある書院造で柱などもとても立派でしたが…
そして輿のこと…白木のものの一つは甲斐の国にあるのですね。
どこにあるのか、それも気になる所ですね。
それに武田氏との繫がりも大きい小笠原氏です。
いろいろ興味深い見学でしたし、丁寧に案内していただいてそれも感激でした…
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