最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

最高裁判所裁判官 千葉勝美氏の判例研究 2

2015-02-09 14:35:40 | 日記
平成25年(医へ)第34号 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による医療を行わない旨の決定に対する抗告棄却決定に対する再抗告事件


(裁判長裁判官 小貫芳信 裁判官 千葉勝美 裁判官 鬼丸かおる 裁判官山本庸幸)

この事件は、精神異常で心神喪失の人が重大な事件を起こした事件のその後の処理の問題のようです。刑法39条によれば、

(心神喪失及び心神耗弱)
第三十九条  心神喪失者の行為は、罰しない。
2  心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。

という規定です。
猟奇的な事件があるたびに精神鑑定がなされますが、犯行当時に心神耗弱にあったかどうかを鑑定しています。心神耗弱とは、裁判所の定義によれば次のようなものです。

刑罰法規に触れる行為をした人の中には,精神病や薬物中毒などによる精神障害のために,自分のしていることが善いことか悪いことかを判断したり,その能力に従って行動する能力のない人や,その判断能力又は判断に従って行動する能力がが普通の人よりも著しく劣っている人がいます。
 刑法では,これらの能力の全くない人を心神喪失者といい,刑罰法規に触れる行為をしたことが明らかな場合でも処罰しないことにしています。また,これらの能力が普通の人よりも著しく劣っている人を心神耗弱者といい,その刑を普通の人の場合より軽くしなければならないことにしています。
 これらは,近代刑法の大原則の一つである「責任なければ刑罰なし」(責任主義)という考え方に基づくもので,多くの国で同様に取り扱われています

裁判所は近代刑法を強調していますが、日本ではかなりいい加減なようです。酒に酔ったうえでの犯行、薬物中毒を原因としたものであっても心神耗弱が認められるようです。ヤクザが景気づけと心神耗弱狙いで、酒を飲んで犯行に及ぶということも実際にあるようです。
ともあれ、今回のものはおそらく精神疾患にある患者が事件を起こして、そのまま治療もされていない放置されているということに問題があるとして訴えがあったもののようです。つまり「殺人者野に放たれる」という状態になっているのです。刑法39条を適用された加害者は、2-3年で街に出てくるのです。ましてや今回の件は、治療すらなされない者が監禁もされずにいる可能性もあるのです。
実態に興味がある人は、この本を是非とも読んでください。

百歩譲って法律的には不備があり、上告者の主張が論点ズレだとしても、このまま棄却するのはどうなのでしょうか?補足意見なり何なり出せそうなものですが、何もありません。
裁判官に法律の整備を求めるのは過剰とはいえ、後味の悪い判断です。

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律