最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

利息制限法改正前に借り、調停確定した利息はどうなる?

2015-09-22 19:00:21 | 日記
平成25年(受)第1989号 不当利得返還請求事件
平成27年9月15日 第三小法廷判決

この裁判は、甲さんが金融業者Aからお金を借りました。その後、利息制限法の改正により、それまで借りていたお金の金利は違法なものになりました。そこで甲さんは調停を起こして、調停は成立し一度は納得しました。
その後、Aは別の貸金業B社に吸収合併されました。
B社は甲さんに、調停で決まった金額を払うように請求したところ、甲さんは金利上限法以降に債権が移ったのだから、B社は現行の上限金利を守れと裁判を起こすこととなったのです。

これについて、裁判官は「Aとの継続的な金銭消費貸借取引に係る原審の上記判断は是認することができない。」としています。その理由は、

本件調停は特定調停手続において成立したものであるところ,特定調停手続は,支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため,債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を促進することを目的とするものであり,特定債務者の有する金銭債権の有無やその内容を確定等することを当然には予定していないといえる。

としています。つまり、調停の目的は破産しないで生活ができるようにすることが目的であって、次にその債権を引き継ぐ金額を保証するものではないと言いうのです。
正直言って分かりません。確かに、調停はそういう目的の部分もありますが、同時に債権を持っている側からすれば、債務不履行防止と貸倒引当金の計上のために金額を確定させなければならないのです。調停に応じたということは、この金額を確定させなければならなかったから応じたのです。

そして、「以上によれば,本件確認条項及び本件清算条項を含む本件調停が,全体として公序良俗に反するものということはできない。」と言い放ったという表現が適切かもしれません。金額は、この裁判ではB社は120万円の評価損となります。貸金業からすればコストのうちとして「公序良俗」の範囲で許してやれと言えるかもしれませんが、一度調停で成立し金額が確定したはずのものをひっくり返されたのです。債権者側は今後何を判断基準にしたらいいのでしょうか?
しかもこの判断は全員一致。
これと同じようにやられてしまえば、ごね得を許すばかりではなく、調停は所詮事実上拘束力がないと裁判所が認定したようなものになります。最高裁のせいで、法的安定性がなくなるのです。
今回の判断はトンデモとしか言いようがありません。

今回の裁判官
安定の第三小法廷
裁判長裁判官 大谷剛彦 ずれている
裁判官 岡部喜代子 ずれている
裁判官 大橋正春 ずれている
裁判官 木内道祥 ずれている
裁判官 山崎敏充 ずれている