最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

分割して合併して・・・は、赤字の繰り延べになる?

2016-03-09 20:17:39 | 日記
平成27(行ヒ)177  法人税更正処分等取消請求事件
平成28年2月29日  最高裁判所第二小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所

 1 法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」の意義及びその該当性の判断方法
2 新設分割により設立された分割承継法人の発行済株式全部を分割法人が譲渡する計画を前提としてされた当該分割が,法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるとされた事例
3 法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「その法人の行為又は計算」の意義


税法関係は、実に分かりにくいです。
H21年にb社が分割になり新会社が誕生しました。法人税法2条12項の2「分割法人 分割によりその有する資産及び負債の移転を行つた法人をいう。」として出発させました。法62条の8第1項の資産調整勘定の金額が生じました。現物出資で分割して作った会社に、負債をどの位負わせるかで調整が必要になりました。
そのとき四谷税務署長は、これに待ったをかけました。根拠法は法人税法132条の2です。

会社分割当時、国内法人A社の取締役dとcがいました。
i社は、情報通信企業を営んでおり、その株はa社が42.1%、アメリカの会社が34.9%、そのほかが23.0%保有していました。
A社は平成17年2月,英国の企業から,b社の発行済株式の全部買い取りました。
b社には,平成14年3月期(平成13年4月1日から同14年3月31日までの事業年度。以下,他の事業年度も同様に表記する。)から平成18年3月期まで欠損金が発生しました。欠損金は5年間繰り越して利益と相殺できますが、6年目には相殺ができず利益になってしまいます
b社は,平成20年3月頃,同社の営むデータセンターに係る設備投資資金の調達とa社への財務面の寄与を目的として,b社を分割して新設会社の株式を公開するなどの案を検討したが,a社の担当部署は,この案ではb社の未処理欠損金額の全てを損金算入等により処理することができないと見込まれることなどから,これに代わる案として,同年10月頃までに,事業譲渡による案と分社化による案を作成しました。
dは,平成20年10月中旬,b社に関する上記の各案について報告を受け,b社をa社の他の子会社ではなくa社は,同年11月21日,i社に対し,書面により,i社がb社を700億円で買収することなどで組織再編成を行う提案となりました。
こうやって、合併の「のれん」として償却資産に切り替えた・・・と続きます。

これについて、裁判官は次のように述べています。
同条にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは,法人の行為又は計算が組織再編成に関する税制(以下「組織再編税制」という。)に係る各規定を租税回避の手段として濫用することにより法人税の負担を減少させるものであることをいうと解すべきであり,その濫用の有無の判断に当たっては,①当該法人の行為又は計算が,通常は想定されない組織再編成の手順や方法に基づいたり,実態とは乖離した形式を作出したりするなど,不自然なものであるかどうか,②税負担の減少以外にそのような行為又は計算を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか等の事情を考慮した上で,当該行為又は計算が,組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したものであって,組織再編税制に係る各規定の本来の趣旨及び目的から逸脱する態様でその適用を受けるもの又は免れるものと認められるか否かという観点から判断するのが相当である。

確かにそう思われても仕方ないでしょう。ご存知のようにサーバーの類はどこの国にあっても構いません。極端な話、外国にミラーサーバーを置いておけば、国内で100%仕事をしても問題なく、かつそのサーバーもレンタルサーバーであっても構わないのです。しかも、取締役が分割、合併両方にかかわっていたとなれば、租税回避と見做されても仕方ないでしょう。
それに、分割して赤字企業として分離して、後日合併して「のれん」として償却できるようにするのは、大企業だけが可能な租税回避策ですから、さすがにまずいでしょうね。

今回の裁判官
第二小法廷
裁判長裁判官 小貫芳信
裁判官 千葉勝美
裁判官 鬼丸かおる
裁判官 山本庸幸

「税金を払わない巨大企業」富岡 幸雄著 が参考になるでしょう。ネット上ではトンデモ本として扱われていますが、トンデモならば名誉棄損裁判をやってるはずでしょう。1社もやっていないということは??