最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

当然判決 郵政雇用延長なし

2018-10-08 09:33:19 | 日記
平成29(受)347  地位確認等請求事件
平成30年9月14日  最高裁判所第二小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所

 1 郵便関連業務に従事する期間雇用社員について満65歳に達した日以後は有期労働契約を更新しない旨を定める就業規則が労働契約法7条にいう合理的な労働条件を定めるものであるとされた事例
2 郵政民営化法に基づき設立されて日本郵政公社の業務等を承継した株式会社がその設立時に定めた就業規則により日本郵政公社当時の労働条件を変更したものとはいえないとされた事例
3 期間雇用社員に係る有期労働契約が雇止めの時点において実質的に期間の定めのない労働契約と同視し得る状態にあったということはできないとされた事例


弁護士ドットコムによると
日本郵便が、非正規労働者に65歳の定年(更新上限)をもうけていることをめぐり、雇止めされた元期間雇用社員9人が雇用の継続などを求めていた訴訟で、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は9月14日、雇止めを有効とした一・二審を支持し、原告側の上告を棄却する判決を出した。
郵政民営化にともない、日本郵便は2007年、就業規則で65歳以上の非正規社員とは契約を更新しないという条項をもうけた。この結果、2011年9月末に65歳以上の非正規社員1万2245人が雇止めされたという。
一方、労働者側は突然の定年設定に反発。(1)定年制が必要なことに正当性がないこと、(2)非正規労働者の不利益が大きいこと、などを訴えていた。
判決は、高齢の労働者について、加齢による体力の低下などを前提に処遇を一律に決めることには合理性があると判断。労働者側は、定年制をつくったことは労働条件の不利益変更であるとも主張したが、最高裁は旧公社と日本郵便との継続性を否定し、問題なしとした。


国鉄がJRに変わるときに似たようなことがあったように思います。

事実認定を見ます。
(1) 平成18年1月,郵政民営化法に基づき,郵政事業の分割民営化(以下「郵政民営化」という。)の準備を行うための組織として,日本郵政株式会社(以下「日本郵政」という。)が設立され,同19年10月1日,日本郵政を持株会社として,郵便事業株式会社,郵便局株式会社,株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険が発足した(以下,上記5社を「承継会社」と総称する。)。
(2)上告人は,平成19年9月30日まで,旧公社の非常勤職員であったが,同年10月1日,被上告人との間で有期労働契約を締結して,これを7回から9回更新し,上告人X1,同X2,同X3,同X5,同X6及び同X8は同23年9月30日まで,上告人X7及び同X9は同24年3月31日まで,それぞれ時給制の期間雇用社員として,郵便物の集配,区分け作業等の郵便関連業務に従事していた。
(3)ア 旧公社の職員は,日本郵政公社法(平成17年法律第102号による廃止前のもの)50条及び国家公務員法2条2項により,一般職の国家公務員としての地位を有することとされていた。同法附則13条は,一般職の国家公務員に属する職員に関し,別に人事院規則をもって同法の特例を規定することができる旨規定しており,人事院規則8-12-7による全部改正前の人事院規則8-12(職員の任免)74条は,任期が満了した場合においてその任用が更新されないときは,職員は,当然退職するものとする旨規定していた。
イ 上告人X1らを含む旧公社の非常勤職員は,旧公社の解散する日の前日である平成19年9月30日が最終の予定雇用期間の満了日とされており,同日,旧公社を退職した。
(4)ア 「会社の都合による特別な場合のほかは,満65歳に達した日以後における最初の雇用契約期間の満了の日が到来したときは,それ以後,雇用契約を更新しない。」と定めている。
イ 本件上限条項は,期間雇用社員の従事する業務が,屋外業務,立った状態での作業,機動車の乗務,機械操作等(以下「屋外業務等」という。)であり,高齢の期間雇用社員について契約更新を重ねた場合,過大な業務負担による事故等が懸念される点や,体力等に問題のある期間雇用社員につき個別に雇止めをすることとした場合,当該雇止めが争われることによって職場に混乱が生ずるおそれがある点を考慮して定められたものである。なお,被上告人においては,期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)を締結している社員(以下「正社員」という。)の定年は満60歳とされているところ,被上告人は,定年退職後に継続して就労する者について,高齢再雇用社員就業規則に基づき,雇用期間を1年として再雇用し,これを更新することとしている。


そりゃそうですよ。60過ぎあたりから肉体労働をするには、かなり個人差が出てきます。一律に雇用を継続するとなると、労災対策に影響が出ます。

(5) 承継会社における就業規則
ア 旧公社は,日本郵政との調整等を経て,職員が自由に閲覧することができる状態で備え置いた。
イ 旧公社は,平成19年9月,上告人らの事業場を含む各事業場において,当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合には当該労働組合に対し,そのような労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者に対し(以下,上記の労働組合又は労働者の過半数を代表する者を「過半数代表者等」という。),承継会社における就業規則(本件規則を含む。)の制定についての意見を聴取する手続を行った。
ウ 本件規則は,同22年10月1日から適用することとされていた。
エ 日本郵政グループ労働組合は,平成22年2月頃,被上告人に対し,本件上限条項の適用開始時期を延期するよう申し入れた。被上告人は,これを受けて,本件上限条項の適用開始時期を6か月延期することとし,過半数代表者等に対する意見聴取を行った上,同年9月,本件規則附則2条を改定して,本件上限条項の適用開始時期を平成23年4月1日とした。
オ 日本郵政は,平成19年9月,郵政民営化法171条の規定に基づき,各労働組合との間で,承継会社における労働条件に関する労働協約を締結した。


ちゃんとやってますね。組織が変わるので、雇用規則を変えますよ。だからたたき台を用意して、職場において誰がいつでも見られる状態にして、過半数代表者会議で意見を聞いていますよね。その上で制度として導入するよと契約を交わしました。

(6) 被上告人における時給制の期間雇用社員の雇用期間は6か月以内とされており,被上告人は,期間雇用社員の雇用(契約更新の場合を含む。)に際し,当該期間雇用社員に対し,雇用契約期間等の労働条件を記載した書面を交付していた。また,被上告人は,雇用期間の満了まで残り1か月程度になった時点で,期間雇用社員に対し,期間満了予告通知書を交付しており,契約更新を希望する場合には採用担当者まで申し出るよう求めていた。もっとも,期間雇用社員が明示的に希望する旨を伝えなくても,有期労働契約が更新されることがあった。
(7)ア 被上告人は,平成23年8月,同年9月30日をもって雇用期間が満了する期間雇用社員に対し,期間満了予告通知書を交付したが,同日時点で満65歳に達している期間雇用社員(上告人X7及び同X9以外の上告人らを含む。)に対しては,本件上限条項により契約を更新しない旨を記載した雇止め予告通知書を交付して,その有期労働契約を更新しなかった。
イ 被上告人は,平成24年2月,同年3月31日をもって雇用期間が満了する期間雇用社員に対し,期間満了予告通知書を交付したが,同日時点で満65歳に達している期間雇用社員(上告人X7及び同X9を含む。)に対しては,本件上限条項により契約を更新しない旨を記載した雇止め予告通知書を交付して,その有期労働契約を更新しなかった。
(8) 被上告人は,本件上限条項の定める「会社の都合による特別な場合」とは,期間雇用社員が業務遂行能力を確実に備えており,かつ,当該期間雇用社員の雇止めによる欠員について補充を行う必要があるものの,これが困難であると所属長が認める場合を指すものとして運用を行っていた。満65歳以上の期間雇用社員につき,有期労働契約の更新又は再雇用がされた例はなかった。


原審では、再雇用は形式的に進められてきたとしていますが、原審の事実認定がおかしいですね。ましてや、65歳近くで炎天下や寒風の中バイクを運転して配達は危険すぎるでしょう。

定年を定める場合には60歳を下回ることができないとした上で,65歳までの雇用を確保する措置を講ずべきことを事業主に義務付けているが(8条9条1項),本件上限条項の内容は,同法に抵触するものではない。


これらの事情に照らせば,本件上限条項は,被上告人の期間雇用社員について,労働契約法7条にいう合理的な労働条件を定めるものであるということができる。

郵政民営化法167条
は,旧公社の解散の際現に旧公社の職員である者について,別の辞令を発せられない限り,承継計画の定めるところに従い,承継会社のいずれかの職員となる旨定めている・・・したがって,被上告人が本件上限条項を定めたことにより旧公社当時の労働条件を変更したものということはできない。



結論は
これらの事情に照らせば,上告人らと被上告人との間の各有期労働契約は,本件各雇止めの時点において,実質的に無期労働契約と同視し得る状態にあったということはできな
い。


裁判長裁判官 菅野博之 当然
裁判官 鬼丸かおる 当然
裁判官 山本庸幸 当然
裁判官 三浦 守 当然


当然すぎる判断ですね。これは事実認定だけが問題であって、法解釈については議論の余地がないように思えます。