最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

非課税部分と課税部分の混在したものの仕入れは課税対象、論旨が無茶苦茶

2023-05-09 20:52:14 | 日記
令和4(行ヒ)10  消費税及び地方消費税更正処分等取消請求事件
令和5年3月6日  最高裁判所第一小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所
 消費税法30条2項1号にいう「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れと「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する」課税仕入れとの区別

日経新聞の報道です。
中古マンション転売、消費税全額控除認めず 最高裁
同社は制度に基づき税務申告したが、国税側は転売までにマンションの一部を貸し出し、消費税がかからない賃料収入を得た点を問題視。全額控除を認めず、過少申告加算税を含め約5億3千万円の課税処分をした。
第1小法廷は、賃料収入といった、非課税の収益が含まれる取引を一律に全額控除の対象としないのは「課税の明確性を確保する観点から合理的」と判断。同社の取引を全額控除の対象外とした国税側の判断は妥当と結論付けた。


事実認定を見ましょう。
1 不動産の売買等を目的とする株式会社である上告人が、転売目的で、全部又は一部が住宅として賃貸されている建物の購入をし、これに係る消費税額の全額を当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除して消費税及び地方消費税の確定申告をしたところ、麹町税務署長から、その全額を控除することはできないとして更正処分(及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けた。

その取り消しを求める裁判です。

2(1)消費税法30条1項1号は、事業者が国内において行う課税仕入れについては、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額を控除する旨を規定する。

読むのが嫌になるくらい面倒臭い計算方式になっています。これも税理士を食わせるための利権の結果です。税金ぐらいはっきりとわかる基準を作ってくれよと思いますよね。皆さん選挙に行きましょう。

消費税法30条3項本文は、個別対応方式による場合において、課税売上割合に準ずる割合で、当該事業者の営む事業の種類等に応じ合理的に算定されるものであって、かつ、所轄の税務署長の承認を受けたものがあるときは、当該課税売上割合に代えて、当該割合を用いて控除対象仕入税額を計算する旨を規定する。

なんです過去の恣意性を認める規定は!司法より、立法の問題ですね。

(2)この不動産屋は、事業として、転売目的で、全部又は一部が住宅として賃貸されているマンション合計84棟を購入した。上告人は、転売までの間、本件各建物を棚卸資産として計上し、その賃料を収受した。・・・本件各課税仕入れは、課税資産の譲渡等である建物の転売のみならず、その他の資産の譲渡等である住宅の貸付けにも要するものであるから、共通対応課税仕入れに区分されるべきであり、控除対象仕入税額は、上記消費税額の全額ではなく、これに課税売上割合を乗じて計算した金額となるなどとして、本件各更正処分及び本件各賦課決定処分をした。
(3)本件各課税仕入れが課税対応課税仕入れに区分されることを前提に、本件各課税仕入れに係る消費税額の全額を控除対象仕入税額として本件各申告をした。これに対し、麹町
税務署長は、平成30年7月30日付けで、本件各課税仕入れは、課税資産の譲渡等である建物の転売のみならず、その他の資産の譲渡等である住宅の貸付けにも要するものであるから、共通対応課税仕入れに区分されるべきであり、控除対象仕入税額は、上記消費税額の全額ではなく、これに課税売上割合を乗じて計算した金額となるなどとして、本件各更正処分及び本件各賦課決定処分をした。


不動産屋側の主張は
消費税法は、生産、流通等の各段階で二重、三重に税が課されて税負担が累積することを防止し、経済に対する中立性を確保するため(税制改革法10条2項)、課税期間中に行った課税仕入れに係る消費税額を当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除するものとしている
最高裁の判断は
1 課税対応課税仕入れとは、当該事業者の事業において課税資産の譲渡等にのみ対応する課税仕入れをいい、課税資産の譲渡等のみならずその他の資産の譲渡等にも対応する課税仕入れは、全て共通対応課税仕入れに該当すると解するのが相当である。
2 本件各課税仕入れは、その上告人の事業における位置付けや上告人の意図等にかかわらず、共通対応課税仕入れに該当するというべきである。
3 本件各課税仕入れに係る控除対象仕入税額は、本件各課税仕入れに係る消費税額の全額ではなく、これに課税売上割合を乗じて計算した金額となるというべきである。

さらに不動産屋は
「国税通則法65条4項」とにいう「正当な理由があると認められる」場合とは、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、当初から適法に申告し納税した納税者との間の客観的不公平の実質的な是正を図るとともに過少申告による納税義務違反の発生を防止して適正な申告納税の実現を図るという過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいうものと解するのが相当である(最高裁平成17年(行ヒ)第9号同18年4月20日第一小法廷判決・民集60巻4号1611頁参照)。

これに最高裁は
遅くとも平成17年以降、本件各課税仕入れと同様の課税仕入れを、当該建物が住宅として賃貸されること(その他の資産の譲渡等に対応すること)に着目して共通対応課税仕入れに区分すべきであるとの見解を採っており、そのことは、本件各申告当時、税務当局の職員が執筆した公刊物や、公表されている国税不服審判所の裁決例及び下級審の裁判例を通じて、一般の納税者も知り得たものということができる。

ちと待て。税務署職員の刊行物とはいえ法令でも準則でもない、何の拘束力のない感想文を根拠にする?

真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になるということはできない。

金額とか税額の比率の提示なく、酷ではないとはどういうこと?
裁判官全員一致の意見
裁判長裁判官 安浪亮介
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹

今回は論旨が無茶苦茶ですね。法令が複雑すぎるので、根拠を定めるのは分からなくはないですよ。でも公務員の同人誌の感想文を根拠にするとかあり得ないでしょう。法律、法令、準則に従えというのであれば分かりますが。