昼に渋谷で広東麺を食べる。概念がよくわかっていない。五目そばのあんが茶色い醤油味のものということなのか。……終演後は吉祥寺で最近よく行くガード下のリーズナブルな台湾料理屋。名物は揚げ牡蠣料理。『アイ・アム・マイ・オウン・ワイフ』と『えれがんす』を観るために大阪から来てくれたという棚瀬・樋口コンビ、初めてちゃんとお話しした円城寺あやさんらと。
『兵器のある風景』稽古は読み合わせの三回目を終える。戯曲の詳細がやればやるほど見えてくる。よく書けている戯曲だ。イギリスらしいともいえる。終了後、スタッフ・キャストと初めて飲み会。良いチームだ。ありがたい。いろいろと知らなかったことがわかってくる。
立松和平さん亡くなる。じっくりお話ししたかった。先行世代が亡くなるたび自分たちも世代替えさせられていく感覚がある。こちらが二十歳前後にいろいろなことを思ったがあの頃立松さんは三十代だったんだな。……身辺雑記はしばらくやめたいとなぜか思ったが、そうもゆくまい。NOTE、稽古にアフタートークとハードな一日だったが、アジア劇作家大会からこの二十年来ないくらいに飲み仲間化している鄭義信さん、かつて夫婦役を演じた占部房子姫、『屋根裏』イタリア語訳者アレッサンドロ君らと語り合うひとときに、心安らぐ。
椅子のまま寝て起きて原稿。歯医者。前夜に続き電話連絡多々。……紀伊國屋ホール前支配人金子和一郎氏をお送りする会。小さな劇場でやっているときも観に来てくださった。客席の最後列の端で観ることを習慣とされていた。芝居だけではなく観客をも愛し、見つめておられたのだろうと思う。私たちも見守っていただいたのだと改めて痛感。小田島雄志さんと井上ひさしさんの弔辞の美しさと同志愛。……午後、『兵器のある風景』読み合わせ続く。稽古場から荻野目慶子さんと吉祥寺シアターへ。『ハシムラ東郷』原作者宇沢美子さんとアフタートーク。NYからダンス作品づくりに来日中の中馬芳子さん(猪熊恒和の出演が急遽決定!)、寅年仲間のペーター・ゲスナー、巽孝之教授らとしばし歓談。
早く起き昨夜の舞台についてNOTEを記し劇団にメール。午前中から俳優座劇場プロデュース『兵器のある風景』顔合わせ、美術打合せ、読み合わせ(http://www.mt-pro.co.jp/galary/landscapewithweapon1.html)。夕刻より岸田戯曲賞審査会。井上ひさしさんは欠席だが新作を書き上げたばかりの永井愛さんは参加。個別の作品についてと演劇界新世代の潮流の話が交錯。最終的に賛成票を投じる(http://www.hakusuisha.co.jp/kishida/award.php)。終了後、野田秀樹、岩松了、宮沢章夫といった選考委員諸氏、白水社の方々と神楽坂でお疲れ会。
風が強いので自転車は最寄り駅まででやめている。2月というのは過ぎてしまうと速いものだ。また雪は降るのだろうか。油断すると風邪をひきそうだ。岸田戯曲賞候補作、全作読破まであと一息。
Tfactoryの制作平井さんがロビーにいた。3月に『大市民』という芝居をこの吉祥寺シアターでやるのだ。今日から三階の稽古場に入っているという。川村氏、伊澤君にも遭遇。日本の劇場にこういう風景が増えると楽しいのだが。……初日。賑やかな客席。開演前からいい雰囲気。「劇場体験」としても、内容的にも、日本ではあまり観られない種類の劇であることはおそらく口コミで広がっていくことだろう。(http://www.alles.or.jp/~rinkogun/Next.html)
衣裳関係で提案し、終焉パートで一部改変してもらう。いい素材を探し当てていただき、うまくいく。……いただいたコシヒカリで炊きだし、寸胴鍋で味噌汁。『アイ・アム・マイ・オウン・ワイフ』、いよいよ明日が初日だ。初日含め何日か既に一階席ぶんはほぼ満席となっているもよう。バルコニー席は余裕がある。いずれの席がいいということはない。どちらもそれぞれの面白さである。……通常この程度の寒さには鈍感になっていられるのだが、ここ二日間の冷え込みがさすがに体調にこたえる。……岸田戯曲賞候補作を読み進める。
一日二回通し。二度もまるまるやってみることができるのは、上演時間が短いからでもある。前後に若干の尾ひれが付くが、実質一時間半になりそう。……終わって色直し、客席づくりなど。……はい。ばらしてしまいましょう。『アイ・アム・マイ・オウン・ワイフ』日本版上演は、総キャパ約二百のうちメインの先着八十数席に関しては、一つ一つの椅子が違う。その他の椅子も観やすい。冷戦期の東ベルリン・地下秘密キャバレー、その独特の色彩と空気が再現されているのだ。
多忙中に時間を空けてくれた矢内原美邦指導により正午から3時間半びっしり舞台でのダンス稽古。その後、場当たり。この日のうち終わらせるため急ぐ。場当たり後やりたいことがあったためだが、退館時間近くまでになってしまう。……照明が入ってくると、あらためて、かなり変則的な空間になっていることがわかる。お見逃しなきよう。
芸術劇場ゲスト出演の収録。スタジオはじっさい広いがいっそう広く感じるのは、メインの語り手が自分一人ということもある。磯野祐子アナウンサーが聞き手。聡明だが堅苦しくない人でありがたい。内容的にはいろいろ喋りにくいが、まあ頑張る。ちゃっかり『アイ・アム・マイ・オウン・ワイフ』の宣伝もさせていただく。……劇場に着くと照明のシュートが進んでいる。雪はあっという間に溶けてゆく。
劇場入り、仕込み。あと四日で、吉祥寺シアターの新しい姿をご覧に入れます。……ところで、『LE GRENIER』、フランス人スタッフ・キャストによる『屋根裏』が、いよいよ2月2日、グルノーブルで開幕。パリのロン・ポワン劇場とグルノーブル国立演劇センターの共同制作(http://www.cdna-grenoble.fr/creations/le_grenier.htmlあるいはhttp://www.theatredurondpoint.fr/saison/fiche_spectacle.cfm/75398-le-grenier.html)。どういう舞台になっているのだろうか。観に行けるのは3月終わりになりそう。その頃はパリで上演のはず。
午前中、衣裳パレード。午後、後半の稽古。いくつかの懸念。対応してゆくしかない。見通しは立てられる。……夕方からの通し稽古を翻訳の常田景子さんも観る。納得はしていただけたようだ。より高い水準を目指す。……書店に寄ると、「ラフロイグのすすめ」という平積みの新刊新書の表紙が目に入ったような気がした。シングルモルトの本かと思ったら、情報整理系の「ログライフのすすめ」だった。アル中になりかけているのかもしれない。……帰宅しても、あれこれ連絡。めまぐるしい。明日は劇場入り。