何しろ自分が「なにもおきない」という新作に取り組んでいるので、「レンタルなんもしない人」という存在を知り、著書「レンタルなんもしない人のなんもしなかった話」(晶文社)と「〈レンタルなんもしない人〉というサービスをはじめます。: スペックゼロでお金と仕事と人間関係をめぐって考えたこと」(河出書房新社)を読んでみた。
レンタル無料、だけど「なんもしない」。「ただ1人分の存在だけが必要なシーンでご利用ください。ごく簡単なうけこたえ以外なんもできかねます」という、twitter発「レンタルなんもしない人」という「人材派遣」サービスを2018年6月3日に始めた著者。10ヶ月で10万人ものフォロワーを集めたという、そのネット記事等をまとめ、書き加えたもの。既にテレビや媒体で取り上げられ、コミック化もされているという。
一人で入りにくい店の付き添い、ゲームの人数あわせ、花見の場所とり、自分が被告の裁判の傍聴席に座ってほしい、誰にも言えない話を聞いてほしい、私のお見舞いに来てくれませんか? 謝罪の見守り、離婚届提出の同行、行列に並ぶ、ただ話を聞く、絵画のモデルになる、一人カラオケに付き合う、掃除をしているのを見ている、ドラマに出演する、行けなかった舞台を代わりに見る、カレーを一緒に食べる、ヘッドスパを受ける、映画を見る、ボウリングに付き合う、ブランコをこぐのを見守る、ラーメンを食べる、深夜の徘徊に同行する、言われたとおりのコメントをDMで返す、なんもしないホストになる、⋯⋯等々の依頼が来る。
「“なんもしない" 人にも、存在価値はあるんだろうか? 」「何もしない人が生きてたっていいんじゃない?」というフレーズだが、おそらく物書きとして生きていきたいと思った著者の、ネタ拾いの日々でもある。
芝居の稽古を見てくれという依頼は、けっこう拷問だったはずだと思うのだが、この人は易々とこなしている。りっぱだ。
つまり、この「レンタルなんもしない人」は大真面目な人で、「なんもしない」どころか、しっかりいろいろなことをこなしているように見えてしまうのが皮肉だ。「なんもしない」をきっちり成立させるためには努力が必要ということである。彼は「いま」を象徴的にあらわし、批評してる存在ということになるのだろう。
ただ、残念ながら、私が考えている「なにもおきない」というコンセプトには、ほぼあてはまらず、あまり参考にはならないのであった!
舞台「なにもおきない」の紹介は、以下。
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https://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/185c59e0343198a7e34233cbf63c6f7d?fbclid=IwAR2VH0-eya65fHXNioWexqgFNiRxt72Gb5cn2u9AJ6vopdj_AKTu3s-XoUU