夏頃、ある業界の、科学的な専門家でもある人に、新型コロナ感染症の予防・治療薬として、イベルメクチンの名を挙げられた。ご本人も服用しているという。値段は高いとされているが、ある程度の数をまとめて買っておけば、月に一錠飲めばいいだけだから、という。じっさい、彼はコロナにかかっていないし、効くのだ、という。ワクチンを打つつもりはない、ということだった。
イベルメクチンは、家畜用の抗寄生虫薬として知られている、具体的には腸管糞線虫症又は疥癬の治療薬として承認されている「駆虫剤」だけに、別目的の人間のクスリとしては疑問視する人たちもいる。人間用に処方される場合は、過剰摂取にならぬように注意すればということでもあるのかもしれないのだが。
アメリカでは「反ワクチン」の右派が、イベルメクチンを推奨してるともいう。「国際的陰謀に乗せられてワクチンを打つよりはいい」ということなのだろう。
イギリスでは昨年前半に処方されていた例を、私は知っている。これはいずれ詳しく記す。
いっぽう、世界保健機関(WHO)は、イベルメクチンをCOVID-19に対する治療薬として使用することは臨床試験以外では推奨されないとする声明を発表している。想定される重大な副作用は、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、皮膚粘膜眼症候群、肝機能障害、黄疸、血小板減少、意識障害等があるという。
日本では、国産治療薬の開発が急がれる中、東京都がこの11月から、複数の製薬会社が進める臨床試験(治験)への協力を開始したという報道を見た。いくらなんでもスタートが遅すぎないか、とも思うのだが。