来日中のロジャー・パルバース さんと会うお話しをしていたのだが、結局明日まで日本にいらっしゃるという最終日前日に、第五福竜丸展示館で会うことになった。
ロジャーさんは第五福竜丸展示館来訪は、初めてという。展示を見ての感想、リアクションが、同行の私にもエキサイティングだった。
現在在住されているオーストラリアでも、第五福竜丸が被災したビキニ事件同様に、核実験が行われている。イギリスによる実験である。
そして、ロスアンゼルス界隈で育ったロジャーさんが、少年時代、父親とラスベガスに遊びに行って、ネバダの核実験の閃光を見た経験があるのだという。これは、観光地としてのラスベガスが、核実験のキノコ雲を見られることを「売り」にしていたという信じがたい出来事を、写真や昔の絵はがきも含めた資料で見たことがあって知ってはいたのだが、本当にそうだったのだ、と、衝撃を受けた。ロジャーさんも幾ばくか被曝していることになる。
そして、ロジャーさんが子どもの頃、「ドロップ・ドリル」という、子ども達に核爆弾の攻撃を受けた時に逃げるエクササイズがあり、例えば授業中に先生が「ドロップ・ドリル!」と叫ぶと子ども達は机の下に隠れなければならないみたいな感じで、日常的にやっていた、というのである。ロジャーさんは子どもの頃は「ドロップ」という言葉が出ただけで、「隠れなきゃ」と思う習慣がついてしまっていたのだそうだ。
今日は、近隣国の「人工衛星」打ち上げに日本国が過剰反応して朝っぱらからJアラートが発されていたが、これは未来の子ども達に「危機意識」を植え付けようとする国家政策なのだ、と思う。
戦争が起きるかもという暗示を与えることで、現在の日本社会の惨状を誤魔化しているのは明白だが。
写真は、「第五福竜丸事件」と同じ年に公開された映画『ゴジラ』が、同館のマスコット的になっているらしくて、そのゴジラの模型(市田真理事務局長製作)と、ロジャーさん。「どっちが怪物か、わからない…。」とは、ロジャーさん本人の弁。