映画館で観たことはない。
ヒッチコックの『断崖』は、「レンタルビデオの時代」から、何度か、借りて、観た。
でも、告白すると、途中で寝てしまって、最後まで観たことがない、と思っていた。
何度も、である。
必ず、途中で寝てしまうのだ。
ヒロインが、新婚の結婚相手に「疑惑」を抱くのだが、実際は、どちらか、ということなのだ。
かなり、もやもやする展開で、実際にどっちなのかはわからない。という感じで進む。
そして、その真相を知らないまま、そのもやもやが長すぎて寝てしまったのだろう。
と、推理していた。
で、この正月、TSUTAYAで百円ということもあり、DVDを借りてみたのだ。
以下、ネタばれアリなので、映画を観ていない人は、読まないでね。
ついに、今度は、最後まで、観た。
で、わかった。
いや、憶えている。
私は、ちゃんと、最後まで観ていた、この映画。
以下、ネタばれ。
ラストシーンまで観ても、新婚の結婚相手の夫が、実際にどっちなのかはわからない、というラスト、なのだ。
見事だ。
私は、ラストまで観たことを忘れて、また、借りて観てしまうかもしれない。
私の負けだ。
忘れないように、ここに記す。
長生きするものだな、と、思う。
ヒッチコック、すごい。
彼をアメリカのB級映画の作り手としてではなく、芸術作品として初めて認めたトリュフォー、すごい。
「ヒッチコック/トリュフォー」を読んでいない映画関係者なんて、モグリだよ。
トリュフォーがヒッチコックと同様に認めた「アメリカB級監督」が、サミュエル・フラー。
そのフラーと私は、30年前に仕事をしていた。未完となったが。
その残されたものが、三月に、オペラとして再生する。
『神々の国の首都』。国内20年、海外11都市で上演された燐光群二十世紀の代表作だ。
それが、こんにゃく座で、オペラになる。
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こんな歴史に関われたことの、ありがたさ。
私はまだ生きている。