いろいろ突発事項多々で夜明け近くになり、本格的に眠るのは危険と判断し、椅子で一時間半だけ仮眠。……午前中に照明班・舞台監督らと名古屋に先乗り。搬入もヘルメット着用義務有り・安全重視の名古屋流に則りつつ、まだ人数の少ない劇場の空気を楽しむ。いろいろとホール上演のディティールを決めていく。やがてバスで到着した劇団員たちが疲労しつつも「自分の仕事」を、手応えを持ってこなしていく空気が、嬉しい。若い連中も成長している。仕込みの過程であらためてホール上演バージョンの諸問題を解決していく。ホールでやることが愉快だ、という境地に持ってゆくのだ。……名古屋に来てわかったのだが、来年九月に上演される〈七ツ寺共同スタジオ開場四十周年記念公演〉作品が、拙作『東京アパッチ族』に決定したという。寅年仲間の加藤智宏君に聞く。そういえば彼がそんな話、最近していたっけ。当時客演で初演に出た猪熊恒和が台本を貸したらしい。出演者三十四人とか。確かに大作だった。かつて新宿梁山泊に書き下ろしたテント演劇の戯曲。時代の推移と皮肉に驚く。内容は、核戦争後のウェスタン政治劇。加藤君に「原発問題含め、坂手は十二年前にすべて見通していたじゃないか」と言われると、確かにそう見えるのかもしれないが、そんなの、「この世の中ヘンだ」と、そもそも思っている方が普通だろうと、昔も今も思う。
無事に東京公演終了。お疲れ様でした。客席に懐かしい顔も多い。……打合せ、来年は懐かしい人と久しぶりの仕事が増えそう。……小峰公子さんにいろいろと音楽著作権のことを聞く。勉強になる。……夜、呆れ果てるというか、信じがたい出来事が起きる。深夜に陳謝の連絡が入り、大目に見ることにする。
岐阜・東濃でじっさいに瑞浪超深地層研究所問題でたたかっている兼松秀代さんが来てくださる。先月に我々が見学に行った時も同行していただいた。中山マリ演ずるキャラクターは兼松さんがモデルなのである。終演後にいろいろとお話をうかがう。現実と劇の世界が交錯する、この方法論ならではの不思議で豊かな再会の時間。……自転車を飛ばして下北沢ザ・スズナリ開場30年記念公演『うお傳説』。転位・21の旗揚げ公演であり、ある意味で「俳優に書かせてもらった戯曲」であるから、それを時を経て別な俳優がやるのがなかなか難しいのは当然だ。それにしても戯曲は島尾敏雄からの引用が露骨すぎるとあらためて思う。関美能留演出の方法は予想通りでもあり、もう一歩踏み込んでもいいのではと欲張りな感想もあるものの、大健闘である。二人芝居『蝶のような私の郷愁』で夫婦役で共演した占部房子さんが狂気の妻を演じているのを見て、なんだかあの劇の続きを見ているような不思議な気分。アフタートークに出るが、私はその三十年前の上演時に転位・21の門戸を叩いたので、この三十年の歳月を思い複雑。
この劇で描かれていることがどこまで現実でどこまでフィクションかわからないという人がいる。わかりたくない、信じたくないということもあるだろう。だが、最後に円城寺あやの演じる人物が語るとおりなのである。高レベル放射性廃棄物処理の実体はこのままなのである。素直に信じていただきたい。そして、何とかしなくてはならないのだ。ほんとうに。……一日2ステージはなかなかハード。あらゆる意味で、手応えの増してくる一日一日である。(写真は左より岐阜新聞の方、西山水木、坂手、兼松秀代さん、円城寺あや)
山積みの仕事と格闘、なんとか抜けだし劇場へ。開演前取材を一件受ける。終演後は鐘下辰男、野中くんらと話す。鐘下君もうすぐ銀婚式なんだと。東京公演はあと三日だ。
午前中から劇作家協会事務所で杉並区との会議。終えていったん帰宅。……その一時帰宅途中、昼食に五日市街道沿いの博多ラーメン店「一歩」に初めて入る。とても人なつこい店。メニューに「炒飯のスープ」という、ラーメンスープ小鉢入り150円があり、これは炒飯を頼んだらついてくるものを単体で切り離して売っているのだが、これに替え玉100円を頼んで入れると、250円でラーメンが食べられるという裏技があり、これを多くの人達が頼んでいる。高校生以下は学割200円。チャーシューやキクラゲ、ネギは入っていないが、辛子高菜等トッピングは入れられる。……原稿や事務処理など追いつかないまま四時、劇場に戻りNOTEと確認等。……アフタートークは宮台真司氏と。アメリカと日本の関係についての話に傾く。「今まで見た演劇でベスト」と言って下さる。お世辞を言う人ではないので、おお、と思う。試していることが理解されているという手応え。ありがたい。……アメリカから一時来日したばかりのLeon IngulsrudとAkiko Aizawaご両人。来年3月上演の共同作業『All under the world』について等いろいろと相談。久々の再会は嬉しく、気心知れた友人との話は幸福で元気が出る。そして稽古中からばたばたしてなかなか落ちついてお話しできなかった吉良知彦さんとようやく芋焼酎の杯を重ねるうち、夜更けに。
昼・夜二回公演。開演前に部分稽古。夜の公演はこれまでもやもやしていた部分にようやくピントが合った感じ。もっと早くそうなっているべきだが、本番を重ねなければ見つからないものでもあるのかもしれない。その手応えを維持できるかどうかという問題もある。……アフタートークは栗本慎一郎さんの半端でないエンターテイナー精神のおかげで大いに盛り上がる。……江森盛夫さんの「実情は絶望的なのだろうが、演劇はどんな悲惨な現実をとりあげても、それに対処する見方・力を与えるものである」というご意見はもっともで、栗本さんのようにまさにそう受け取ってくださる=爽快感を感じたというるお客様もおられる一方、同じ舞台を観て、情報=現実に戦慄することが先に立ってしまうお客様がおられたとしても、無理はない。演劇は疑似現実であるかも知れないが、それもまた、一つの現実なのだから。能う限り誠実に、少しでも駒を進めたい。
新聞取材たっぷりめ、ラジオ二社出演、福武財団でお話。駆け足で帰京。開演には間に合う。中津留章仁さんとアフタートーク。一日置いて眺めると、意図的に照明を控えた夜の座高円寺の表は、あまりにも暗い気もする。……新幹線で付近に座った人が十年以上会っていないNさんにものすごく似ているような気がした。なんだか必至にパソコンで仕事をしていたのもあって、声を掛けず。……来日中のブータンの王様がもてはやされているらしいことは聞いていたが、なんだかものすごく盛り上がっているのだな。呑気すぎないか、この国は。
倉本聰さんがいらしてくださる。本日は富良野のUFOについての話ありでした。この劇は観客参加型ゆえに毎日違う部分があります。……まだ日のあるうちに公演終了。スタッフ会議。演劇岡山県人会の懇親会もあった。……来日中だった『天皇と接吻』のヒロインAya Ogawaは久々の再会を果たしたものの機上の人となってアメリカへ帰国の途についた。
なんとかあきました。
前日朝、吉良知彦さんから、追加でお願いしていた『たった一人の戦争』のためのインストゥルメンタル曲、新たな4パターンが届いていた。舞台での稽古に間に合い、音響を再編。
ありがとうございます! そして聴かせていただいた時の印象としては、ぐっとくるというか、あまりにも素晴らしい! 主題歌、つまり詞に曲をつけていただくということじたいが感動ものなのだが、それがインストになった時の表情というのが、なんともまた、じわっとくるのである。来年はミュージカルをやるしかない! と、興奮状態。
Opening night
Yesterday,Tomohiko Kira sent me another four new patterns of instrumental music for "Battlefield for one".
Thank you very much!I
listened to his music. I became speechless because it was too brilliant.
I've got moved when he composed music to my lyrics and this time when I listened to instrumental one, the expression of music impressed me so much.
I've got excited and come to feel like putting on a musical next year!
前日朝、吉良知彦さんから、追加でお願いしていた『たった一人の戦争』のためのインストゥルメンタル曲、新たな4パターンが届いていた。舞台での稽古に間に合い、音響を再編。
ありがとうございます! そして聴かせていただいた時の印象としては、ぐっとくるというか、あまりにも素晴らしい! 主題歌、つまり詞に曲をつけていただくということじたいが感動ものなのだが、それがインストになった時の表情というのが、なんともまた、じわっとくるのである。来年はミュージカルをやるしかない! と、興奮状態。
Opening night
Yesterday,Tomohiko Kira sent me another four new patterns of instrumental music for "Battlefield for one".
Thank you very much!I
listened to his music. I became speechless because it was too brilliant.
I've got moved when he composed music to my lyrics and this time when I listened to instrumental one, the expression of music impressed me so much.
I've got excited and come to feel like putting on a musical next year!
『たった一人の戦争』上演では、お客様は、開演時刻からほぼ十分間、客席にお座りいただかずに、御覧いただくことになります。「高レベル核廃棄物の最終処分場」について研究する場所とされている「超深地層研究所」見学を、疑似体験していただくためです。
その十分ほどが過ぎれば、あらかじめ指定されたお席にご案内することができます。既に劇が進行しておりますので、係員の指示に従い、速やかにご着席いただけますと幸いです。なにとぞご協力よろしく御願いいたします。
さて、日本で現在進んでいる「超深地層研究所」計画では、最終的に地下1000mまで掘ることになるそうです。現存する見学コースでは、深さ500mの途中まで、十人乗りの工事用エレベーターで降り、試験的に掘られた横穴に入ることができます。
そこは蛍光灯に照らされた無機的な灰色の世界です。同じ目的の施設なので当然なのですが、フィンランド映画『10万年後の安全』に登場する「オンカロ(隠れ場所、の意味)」を想起させる、静謐な回廊があります。縦穴の足下の隙間からは、更に200m下の光景を覗くことができます。高所恐怖症の方にも閉所恐怖症の方にもお薦めできません。
日本では高レベル放射性廃棄物をガラス固化体にして、金属性容器や粘土で固めたものを4万個収納できる、このような「深地層処分場」が必要とされています。廃棄物は増え続ける一方ですから、2030年代から収め始めなければ、間に合わないということです。
一本のガラス固化体に広島型原爆約三十個分の死の灰が入っているといいます。この廃棄物は高温を発するので、一定の温度に下げるのにさえ、数十年を要します。そして十万年後にやっと、ウラン鉱石なみの放射線量になります。
現存するこの研究所は公有地で、20年間の予定で借りられており、研究終了後は埋め戻して返されることになっています。けれど、もしも国からの「交付金」に目が眩んで、地元自治体が希望した場合は、研究施設の「跡地利用」が検討されることになります。その時は「研究所」だった場所がホンモノの「最終処分場」になるのです。そして現在、それ以外の処分場候補地が検討されている様子はありません。
現在の該当地は、削岩機で岩に穴を開け、地層調査を行いながら、ダイナマイトで岩を砕き堀り続ける作業を繰り返しています。岩盤の隙間が多く地下水が溢れるように流れ、排水に苦労している場所です。どうすれば水が消えるのか見当もつきませんが、「核のゴミ」を入れた容器が腐食して中身が漏れれば、汚染水が地上に出てくることは必至ですし、大地震があれば、ひとたまりもないでしょう。
私は見学体験を通して、そこに私たち自身の未来の不安定さ・不明瞭さそのものを見た気がします。
そして、「たまたまウランが掘り出されてしまった」ために、冗談のようですが、一種の「放射能繋がり」で、「研究所」用地とされてしまったその場所に、深く同情します。私の本籍地である「岡山県苫田郡鏡野町」に存在する日本最古のウラン産地「人形峠」の採掘と残土処理の歴史についても、想起させられました。
私の周囲には、「3.11以降、切実な題材を見出しえない、夢中になれるものがない」「原発事故の悲惨、苦しむ人々が大勢いる現実の中で、芸術や表現は無力だ」という人たちがいます。むしろ被災地以外の方に多いのです。個々の感受性を云々するつもりはありませんが、被災地で直接的なダメージを受けつつ、気を取り直し意識転換している方々も、少なくありません。もちろんほんとうに打ちのめされている人たちだっているでしょう。しかし「思考停止して当然」という印象を既成事実のように前提化してしまえば、「戦争は止められなかった、芸術や表現は無力だった、そういう時代だった」と過去を述懐する人たちと、同列になってしまうような気がします。
少なくとも目の前には相変わらず、放射能汚染のこと以外にも、向き合うべき課題は多いと思います。できることから始め、諦めずに続けてゆくしかありません。
ご来場をお待ちします。
Greeting and request for audience of “Battlefield for one"
In a play "Battlefield for one", audience is going to watch it without sitting in their seats for ten minutes from the opening of the performance.
We’d like you to experience the “Super-Underground Research Laboratory”, where they are researching “where to dispose high-level nuclear-waste for the last time”.
After the ten minutes or so, we can guide you to your reserved seats. Since the performance has already begun and is going on, we’d like you to take a seat immediately following the instructions by our staffs. Your understanding and your help is highly appreciated.
By the way, in a plan by “Super-Underground Research Laboratory”, they are going to dig up to 1000 meters under the ground. Now, people can go to a cave, which was made temporally and located 500 meters under the ground, using a construction-lift with a capacity of 110 people.There you can see an inorganic and grayish world. There is a quiet corridor, which you can recall an onkalo (a hiding place in Finnish) in a Finnish movie “Into Eternity”. From the gap at your feet in a cave, you can see the underground 200 meters more. It’s not recommended for acrophobe and claustrophobe.
In Japan, “deep geological repository” for 40 thousand nuclear wastes, which high level nuclear waste is solidified into metal container or clay, is needed.
We have to start disposing it there from 2030s since there will be more and more nuclear waste.
Thirty times as much nuclear fallout as an atomic bomb of Hiroshima type is contained in one vitrified waste. It has a high temperature, so it will take tens of thousands of years to cool it down. And hundred and thousand years later, its radiation levels become the same as uranium oreThis laboratory is owned by the city and is going to be borrowed for twenty years from now. It will be returned after the research by being reburied. But if the city wants to continue to use the land after the research, seeking for grants, it will be considered how to be reused again. Then this place will be “the final disposal site” really.
At present, no other disposal field seems to be planned anywhere.
they are repeating their research of the geological layer by digging the hole using rock drills and crushing the rocks by dynamites. I don’t know how many more meters they have to dig until there will be no water in it, but the ground water is overflowing from the gaps on the ground. It is very difficult to discharge water. When the container of “nuclear waste” is corroded and the inside of it is leaked out, contaminated water will definitely be above the ground. There will be nothing we can do if a big earthquake happens.
By observing this site, I could see how uncertain and unclear our own future is. I feel a deep sympathy for the site, where is used as “a laboratory” because “uranium was found out by chance” and because it has also radioactivity.
I thought about the history of the workings of “Ningyo-toge”, which is my registered address and the oldest production area of uranium in “Kagamino-cho, Komata-gun, Okayama prefecture”.
Around me, there are many people who say, “It is difficult to find out deep matters and something fascinated with after March 11th”. Some people say, “Any arts and expression is helpless, where many people are suffering from the nuclear accident.” Those people are not living in Tohoku area. I don’t criticize individual sense,but quite a few people have changed their thoughts by experiencing a direct damage at quake-hit area. Of course there are quite some people who are devastated. What I’d like to say here is that we shouldn’t think about “it is natural for us to stop thinking” as an assumption. We will be the same as people who recall the past and say, “we couldn’t stop the war because any arts and expression was helpless.”
At the moment, there are so many things that we have to face other than the matter of radiation contamination. We have to start something we can do and should never give up continue doing it.
We are looking forward to seeing you at the theatre.
その十分ほどが過ぎれば、あらかじめ指定されたお席にご案内することができます。既に劇が進行しておりますので、係員の指示に従い、速やかにご着席いただけますと幸いです。なにとぞご協力よろしく御願いいたします。
さて、日本で現在進んでいる「超深地層研究所」計画では、最終的に地下1000mまで掘ることになるそうです。現存する見学コースでは、深さ500mの途中まで、十人乗りの工事用エレベーターで降り、試験的に掘られた横穴に入ることができます。
そこは蛍光灯に照らされた無機的な灰色の世界です。同じ目的の施設なので当然なのですが、フィンランド映画『10万年後の安全』に登場する「オンカロ(隠れ場所、の意味)」を想起させる、静謐な回廊があります。縦穴の足下の隙間からは、更に200m下の光景を覗くことができます。高所恐怖症の方にも閉所恐怖症の方にもお薦めできません。
日本では高レベル放射性廃棄物をガラス固化体にして、金属性容器や粘土で固めたものを4万個収納できる、このような「深地層処分場」が必要とされています。廃棄物は増え続ける一方ですから、2030年代から収め始めなければ、間に合わないということです。
一本のガラス固化体に広島型原爆約三十個分の死の灰が入っているといいます。この廃棄物は高温を発するので、一定の温度に下げるのにさえ、数十年を要します。そして十万年後にやっと、ウラン鉱石なみの放射線量になります。
現存するこの研究所は公有地で、20年間の予定で借りられており、研究終了後は埋め戻して返されることになっています。けれど、もしも国からの「交付金」に目が眩んで、地元自治体が希望した場合は、研究施設の「跡地利用」が検討されることになります。その時は「研究所」だった場所がホンモノの「最終処分場」になるのです。そして現在、それ以外の処分場候補地が検討されている様子はありません。
現在の該当地は、削岩機で岩に穴を開け、地層調査を行いながら、ダイナマイトで岩を砕き堀り続ける作業を繰り返しています。岩盤の隙間が多く地下水が溢れるように流れ、排水に苦労している場所です。どうすれば水が消えるのか見当もつきませんが、「核のゴミ」を入れた容器が腐食して中身が漏れれば、汚染水が地上に出てくることは必至ですし、大地震があれば、ひとたまりもないでしょう。
私は見学体験を通して、そこに私たち自身の未来の不安定さ・不明瞭さそのものを見た気がします。
そして、「たまたまウランが掘り出されてしまった」ために、冗談のようですが、一種の「放射能繋がり」で、「研究所」用地とされてしまったその場所に、深く同情します。私の本籍地である「岡山県苫田郡鏡野町」に存在する日本最古のウラン産地「人形峠」の採掘と残土処理の歴史についても、想起させられました。
私の周囲には、「3.11以降、切実な題材を見出しえない、夢中になれるものがない」「原発事故の悲惨、苦しむ人々が大勢いる現実の中で、芸術や表現は無力だ」という人たちがいます。むしろ被災地以外の方に多いのです。個々の感受性を云々するつもりはありませんが、被災地で直接的なダメージを受けつつ、気を取り直し意識転換している方々も、少なくありません。もちろんほんとうに打ちのめされている人たちだっているでしょう。しかし「思考停止して当然」という印象を既成事実のように前提化してしまえば、「戦争は止められなかった、芸術や表現は無力だった、そういう時代だった」と過去を述懐する人たちと、同列になってしまうような気がします。
少なくとも目の前には相変わらず、放射能汚染のこと以外にも、向き合うべき課題は多いと思います。できることから始め、諦めずに続けてゆくしかありません。
ご来場をお待ちします。
Greeting and request for audience of “Battlefield for one"
In a play "Battlefield for one", audience is going to watch it without sitting in their seats for ten minutes from the opening of the performance.
We’d like you to experience the “Super-Underground Research Laboratory”, where they are researching “where to dispose high-level nuclear-waste for the last time”.
After the ten minutes or so, we can guide you to your reserved seats. Since the performance has already begun and is going on, we’d like you to take a seat immediately following the instructions by our staffs. Your understanding and your help is highly appreciated.
By the way, in a plan by “Super-Underground Research Laboratory”, they are going to dig up to 1000 meters under the ground. Now, people can go to a cave, which was made temporally and located 500 meters under the ground, using a construction-lift with a capacity of 110 people.There you can see an inorganic and grayish world. There is a quiet corridor, which you can recall an onkalo (a hiding place in Finnish) in a Finnish movie “Into Eternity”. From the gap at your feet in a cave, you can see the underground 200 meters more. It’s not recommended for acrophobe and claustrophobe.
In Japan, “deep geological repository” for 40 thousand nuclear wastes, which high level nuclear waste is solidified into metal container or clay, is needed.
We have to start disposing it there from 2030s since there will be more and more nuclear waste.
Thirty times as much nuclear fallout as an atomic bomb of Hiroshima type is contained in one vitrified waste. It has a high temperature, so it will take tens of thousands of years to cool it down. And hundred and thousand years later, its radiation levels become the same as uranium oreThis laboratory is owned by the city and is going to be borrowed for twenty years from now. It will be returned after the research by being reburied. But if the city wants to continue to use the land after the research, seeking for grants, it will be considered how to be reused again. Then this place will be “the final disposal site” really.
At present, no other disposal field seems to be planned anywhere.
they are repeating their research of the geological layer by digging the hole using rock drills and crushing the rocks by dynamites. I don’t know how many more meters they have to dig until there will be no water in it, but the ground water is overflowing from the gaps on the ground. It is very difficult to discharge water. When the container of “nuclear waste” is corroded and the inside of it is leaked out, contaminated water will definitely be above the ground. There will be nothing we can do if a big earthquake happens.
By observing this site, I could see how uncertain and unclear our own future is. I feel a deep sympathy for the site, where is used as “a laboratory” because “uranium was found out by chance” and because it has also radioactivity.
I thought about the history of the workings of “Ningyo-toge”, which is my registered address and the oldest production area of uranium in “Kagamino-cho, Komata-gun, Okayama prefecture”.
Around me, there are many people who say, “It is difficult to find out deep matters and something fascinated with after March 11th”. Some people say, “Any arts and expression is helpless, where many people are suffering from the nuclear accident.” Those people are not living in Tohoku area. I don’t criticize individual sense,but quite a few people have changed their thoughts by experiencing a direct damage at quake-hit area. Of course there are quite some people who are devastated. What I’d like to say here is that we shouldn’t think about “it is natural for us to stop thinking” as an assumption. We will be the same as people who recall the past and say, “we couldn’t stop the war because any arts and expression was helpless.”
At the moment, there are so many things that we have to face other than the matter of radiation contamination. We have to start something we can do and should never give up continue doing it.
We are looking forward to seeing you at the theatre.
オーストラリア・タスマニアのストローンで、マッコウクジラの群れが浜辺に打ち上げられた。これは「集団座礁」というもので、昔から全世界によく見られるものである。ニュージーランド大地震の直前、南西沖にあるスチュアート島でゴンドウクジラ107頭が浜辺に乗り上げているのが見つかったり、東日本大震災の一週間前に茨城県下津海岸で約50頭の座礁が確認されていることから、にわかに地震との関連が取り沙汰されている。超音波で交信するクジラたちどうしの「信号異常」が原因ともされているが、現象としてはクジラの「集団自殺」ともいえる。私はかつて戯曲『くじらの墓標』で、「自殺する動物は二種類しかない。人間とクジラである。」という台詞を書いた。……ともあれ、地震を予知するとされている動物といえば、蛇やらモグラやら、地中の生き物たちもそうである。『たった一人の戦争』には、モグラくんが登場する。登場するというか、まあ、愛すべきキャラクターとして、お客様をお出迎えする。お楽しみに。つまりこの劇に描かれる世界は……、そう、地面の下に関係あるのです。
沖縄・高江で2月以来の、オスプレイ基地設置工事の攻撃との報。クルマ10台、防衛施設局、作業員、警備員計50名くらいが押し寄せてきたという。N4北側ゲートへのユンボ(重機)搬入はバリケード代わりの反対陣営の縦列駐車によって阻止。これから連日睨み合いが続くことになるのだろうか。「工事再開予定日」だった7月1日に高江に行ってから四ヶ月半を経ての動きである。政府・防衛施設局は普天間基地移設問題が膠着状態であることから、何かやっている姿を見せようということか。……TPP問題で野田首相の米側と国内向けの矛盾だらけの「二枚舌」発言がマスコミで問題視されつつある。これさえアメリカ側の「確認」を求める動きがなければ批判はもちろん本気で報道しなかっただろう。なさけない。