Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

『帰還』初日

2013-05-31 | Weblog
初日はやって来るものである。まだまだ課題は残っているが、これから幕開きまでの時間、最後まで諦めずに消化していこう。とにかくここまで現状に鑑みてできることはやってきた、というべきか。
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大阪市議会の自民党会派などは30日夜、日本維新の会共同代表の橋下徹市長の問責決議案を提出。維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事は、大阪市議会が共同代表の橋下市長に対して問責決議案を可決した場合の対応について、「審議に応じるに値しない市長だという話になる。動かない政治になってしまい、大阪の大改革が進まなくなる」「問責は不信任と同じ。民意を問うことになる」と記者団に述べ、出直し市長選を行う考えを明らかにし、参院選と同日に実施する方向で調整していた。が、最大会派の大阪維新の会と第2会派の公明党の反対多数により問責決議案本会議で否決された。橋下市長辞職に伴う出直し選はなくなった。公明は、問責決議案とは別に、従軍慰安婦発言に関する決議案を単独で提出したが、これも否決。これはポーズに過ぎないだろう。茶番だ。数合わせ、塩梅ゲームの日本政治。
「国を動かす連中が内輪もめしてる間に、この国は三流国になってゆく」は、『帰還』劇中の横田正の台詞。初演は大滝秀治さん、今回は藤井びんが演じる。
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『帰還』いよいよ明日、初日

2013-05-30 | Weblog
初日に向けてのごあいさつです。(当日パンフットに掲載予定)

「やがてダムに沈む場所」を舞台に劇を書くというのは、ある意味高校生でも思いつきそうなことではあるのだが、いつかそうするだろうという予感があった。たぶん二十歳そこそこの頃からだ。
自分がまさにそこにいる風景を、「いつかなくなってしまう場所」と考えるという想像力に惹かれたのだろう。そこに立てば、未来と現在を同時に感じる。「場所」じたいがこの世のものではないかもしれないという、拠り所のなさ。考えてみれば能の多くも、「場所」についての、その土地に縛られた霊魂についての、劇である。複式夢幻能の構造と吉本隆明『共同幻想論』の示唆する「異界」を必要とする世界の、交錯する場所。人々が、未来が定まらないままに「戦後」のその先の世界のあり方を模索した一九五〇年代の日本から、現在にもつながる精神の彷徨を描く舞台として、「ダムに沈む村」を選んだ。
もちろんダムができても、周りには人の住む場所が残る。かつて自分がいた場所を、水面の底に幻視しながらその後の生活を営む者もいるだろう。人はただどこかで生きていくというだけで、複雑でややこしく、面倒なのだ。
舞台のモデルとなっている熊本のその地で、川筋を辿って巡りながら、人間と川の関わりにこだわって生きてきた人たちと出会いつつ、演劇だからできることとは何か、あらためて考えていたように思う。本当にさまざまな人たちにお世話になった旅だった。
ダムの話をやるのに、一部の俳優にダムを見たことがない人もいるというので、猪熊恒和発案で、メンバー有志でダム見学に行った。私としては関東地方なら八ッ場ダムの「建設予定地」を見てほしかったが、ちょっと遠いという事情もあり、多摩川源流から奥多摩湖を擁する小河内ダムに行ったりした。いうならば関東地方の水瓶だ。ダムは一つ一つ目的も条件も違う。それぞれの場所に歴史がある。そのことも改めて認識する。
今回は藤井びん・木之内頼仁の二人の、おそらく二十八年ぶりの共演となる。彼らに出会った時、私は十九歳だった。びんさんには何度か燐光群に出てもらったし、地人会や、蜷川幸雄演出に私が脚色版を書き下ろした『エレンディラ』でも、ご一緒した。ただ、木之内頼仁と一緒にいると、藤井びんもいつもとちょっと違うギアが動き出すのだ。二十歳頃に出会った人たちと一緒に、ある種の「初心」を共有しながら芝居ができるのは、なかなか幸せなことだ。しかもザ・スズナリという、あの頃と同じ劇場である。
二年前、民藝さんで、大滝秀治さん主演ということで、書き下ろしをさせていただくことになり、この題材を選ばせていただいた。今回の燐光群版上演も、快く承諾してくださった。初演関係者の皆さまに、心から御礼申し上げます。

写真は三田晴代さんによる『帰還』のためのイチョウの樹のスケッチ第三弾。はい。この絵もしっかり劇中にも登場します。上演時間は二時間十分少々になりそうです。
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F15戦闘機は墜落前、六十キロ「迷走」した

2013-05-29 | Weblog
昨28日午前9時頃、在沖米軍から第11管区海上保安本部に米軍機が墜落したとの通報があり、パイロットの救助要請があった。墜落機はアメリカ空軍嘉手納基地に所属するF15戦闘機。同本部によると、米軍機は国頭村安田の瀬嵩崎灯台から約50キロ沖に墜落したという。同本部が航空機や巡視艇を出し、パイロットの救助に向かうとともに、情報収集した。パイロットは墜落の直前にパラシュートで機外に脱出、漂流していたところを航空自衛隊のヘリコプターに救助され米軍の病院に運ばれ、命に別状はないという。第11管区海上保安本部によると、F15戦闘機1機が墜落したのは沖縄本島北部の国頭村安田地区東側約126キロの海上。海上に機体の部品とみられる細かい破片のほか、油が広い範囲に浮いているのが確認され、機体は、墜落したあと海中に沈んだものとみられている。この墜落で漁船などへの被害は確認されていない。墜落と発表されている場所とパイロットの救出場所を比べると、「126キロ」と「50キロ沖」の距離のズレがある。これは何なのか。つまりパイロットが機外に脱出した後、戦闘機は操縦者のいないまま数分間、最低でも60キロ以上は迷走した後に、墜落したというわけだ。F15戦闘機は、日本国内では、沖縄のアメリカ軍嘉手納基地と、各地の航空自衛隊基地に配備されていて、たびたび事故が起きている。一昨年7月には航空自衛隊那覇基地所属の1機が訓練中に墜落、パイロット1人が死亡。以前にも福岡築城基地所属の1機が墜落、エンジントラブルが原因とみられている。嘉手納基地所属機は以前にもエンジントラブル等で墜落記録がある。仲井真沖縄県知事は那覇市内で記者団に対し「戦闘機の事故が、もし市街地で起きれば大変だ。アメリカ軍には安全管理を徹底してもらいたいし、今回の事故の原因をきちんと究明して再発防止を徹底してもらいたい」と述べ、「航空機事故は、一歩間違えば人命や財産に関わる重大な事故につながりかねず、今回の事故は、日常的にアメリカ軍基地と隣り合わせの生活を余儀なくされている県民に大きな不安を与えるものだ」「アメリカ軍に対し、原因究明がなされるまで同じ機種の飛行中止を求め、事故原因の究明と公表、再発防止を含む一層の安全管理に万全を期すよう強く求める」とした。當山宏嘉手納町長は「今回は、たまたま洋上の墜落事故だったが、万が一、住民が住む地域に墜落すれば大惨事になりかねず、看過できない。原因が究明されるまで、嘉手納基地に所属するF15戦闘機の飛行をすべて中止してほしい」と話した。沖縄への「米軍基地押しつけ」を肯定する者たちは、無人の戦闘機が迷走して落下してくる可能性のある場所に住んでいるという実感のリアリティを持った上で、米軍基地問題を語れているのかどうか。甚だ疑問だ。……写真は三田晴代さんによる『帰還』のためのイチョウの樹のスケッチ第二弾。もちろんこちらも劇中にも登場する。なんとか場当たりを終わらせ、部分確認稽古に入る。この戯曲は確かに「大作」なのだが、上演時間は二時間十五分。途中休憩は入らない。初演は紀伊國屋サザンシアターだったが、燐光群版は「小劇場でさくさくと進む展開」である。
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間違ったことを言ったら弁明でなく謝罪だろう

2013-05-28 | Weblog
維新の会・橋下大阪市長は、旧日本軍の従軍慰安婦制度を「当時は必要だった」などと述べた自身の発言について、「私の認識と見解」と題する文書を公表。「私は慰安婦の利用を容認したことはありません」と強調。謝罪と発言撤回をしたのは在日米軍に風俗業活用を進言したことについてのみ。「誤報された」「一連の報道において、発言の一部が文脈から切り離されて、断片のみ伝えられた。極めて遺憾」などとメディア批判を重ね、理屈にも何にもなっていない。「元慰安婦」に対する真摯な謝罪の言葉はなく、来日した「元慰安婦」お二人が面会を拒否して本当によかったと思う。日本外国特派員協会で記者会見したが、海外記者からは失笑が続いたとも聞く。橋下市長は「日本の過ちを正当化するつもりはない」「責任逃れはできない」と繰り返しながら「日本政府が認めているのは施設の管理、戦地への移動に軍が民間業者に女性を集めてほしいとの要請をしたことだ。核心的な部分は日本が国家の意思として組織的に女性を拉致、人身売買した事実を裏付ける証拠はないことだ」とし、日本の「強制連行」を否定した。これは世界の認識とまったく異なる。ニューヨークタイムズの記者は「人身売買(human trafficking)の定義には3つある。だますこと、組織的移送、意に反して働かせること。世界ではすべて人身売買を指すといわれている」と反論。この定義に従えば、橋下市長が少なくとも移送に関わったことを認める日本軍が人身売買に関わったことは疑いの余地がない。橋下市長は河野談話について「河野談話は政治的に妥結した文章だ。(慰安婦証言について)信ぴょう性にはいろいろ議論がある。合理性には疑問があったという(元政府高官の)発言を聞いている」と揶揄し、「肝心な論点を明確にしていない。表現についてもっと付け足さなければいけない。強制性の言葉をもっとていねいに」と言ったというが、では自分の言葉で語るがよい。というか、とうに語るに落ちている。3時間にわたる会見で橋下氏は「日本だけが悪くない。お前たちもやってたじゃないか」「日本は強制連行してない」と「持論を展開することに終始した」とする報道もあり、つまり、「大前提として、日本の責任を否定することはない」と言いながら、その実はただひたすら「日本の責任を否定」していたと取られたわけだ。「国際司法裁判所などでの解決に委ねるべきだ」とも言ったらしいが、通用するはずがない。その場しのぎのお為ごかしである。マスコミが取り合うから増長するのだという意見もあるが、きちんと叩き、責任を取らせねばならないと思う。もちろんそこにはこの間の発言により真の意味で「日本を国際的に孤立させた」ことへの責任も含まれる。……こんな橋下市長のことを、意見はまったく否定する立場の人の中でも「頭がいい」「喋るのがうまい」と評価する人がいることに、驚かされた。表面上の態度に押されて内容が聞こえていないのではないか。……本日は『帰還』劇場入り。早めに上がらせてもらい、高江のギタリストこと石原岳さんが急遽、下北沢に現れることになったというので、打合せ。六月二日の下北沢での「ゆんたく高江」では、「高江の話もして、演奏もして、今日リーディング劇もやるはめになった」とご本人がツイッターでそう言っているのだから、もう逃げられませんぞ。……福島民報社によれば、東京電力福島第一原発事故に伴う福島市発注の同市松川地区の住宅除染で、元請け業者に対し、「除染が適正に行われていない」と指摘した作業員3人が雇用主である2次下請けの業者に解雇されていたことが分かった。作業員は26日までに、「告発者の排除を狙った不当解雇だ」として、福島労基署に労働基準法に基づく是正指導をするよう申告した。3人は解雇予告や労働条件の提示などを雇用主から受けていないと主張しており、同署は同法違反の疑いで調査に着手したという。きっとこんな話はこれから幾らも出てくるだろう。情報を広げることも支援のうちだろう。……写真は三田晴代さんによる『帰還』のためのイチョウの樹のスケッチ。劇中にも登場する。
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小平住民投票不成立

2013-05-27 | Weblog
東京都小平市で都道整備計画見直しの是非を問う住民投票。同市の現在の有権者数は14万5024人。投票の対象は、市を南北に走る約1・4キロの幹線道路整備計画で、「住民参加で見直す」か「見直しは必要ない」のどちらかを選んだ。東京都で住民投票は初めて。道路問題では全国で初めて。同市で3月27日に可決した住民投票条例は、雑木林を伐採することに反発した市民団体の直接請求で成立した。条例は常設型ではなく、成立要件もない。この条例に反対の小林市長は再議にかけることもできたが、そうしなかったのは、「4月7日投票の市長選に不利」と考えたと推察されている。当選後、「成立要件50%。不成立の場合には開票しない」という条例改正が出され、議会では、議長が賛成して13:14で成立。最終結果は、投票率50%はさすがに高すぎたのか、昨日の投票者数は5万1千人、35・17%で成立要件を下回り、不成立となった。開票はされず。市長選の投票率は37%。小林市長の絶対得票率は20%だったという。市長については「自分は50%を下回っておいて……」と言う人もいるだろう。そもそも開票されたとしても結果に法的拘束力はない。市議会で意思決定する際の参考にされるだけだった。小平の人たちは、不成立を受け、どうするのだろう。確かに「民主主義は過半数だという考えはお粗末」だが、市長選後に50%の要件をつけた市長に対してリコール運動をするとしても、議会も賛成しているのだから、どうしようもない。再度計画中止を求める運動を、署名活動から始めるしかないだろう。そして今回の小平の実験に学ぶならば、私たちも「市民の意思がきちんと反映できる制度」を考えなければならない。そして、小平の人たちが住民投票をやり直すために再度動くなら、応援したいとは思う。「決定」した計画を見直すべき事例は、全国に山のようにあるのだから。……ところで、過半数でさえ住民投票が成立しづらいことと、憲法第九十六条のことは、まったく関係ないので、誤解なきよう。憲法の改正「各議院の総議員の「三分の二以上」の賛成」が「国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その「過半数」の賛成」よりも厳しいのは、当然なのである。憲法は「硬性」でなければならない。それは、議員や国家機関に対して、である。……維新の会・橋下市長がこれから外国特派員協会で記者会見するという。米軍と米国民に謝罪するらしい。戦時下の従軍慰安婦制度に関する「当時は必要だった」等の発言は取り消さないらしい。どうせ新たにひどい言い訳か反論をしてしまうだろう。無事に済むはずがない。日本の国際イメージをこれ以上悪くしてもらいたくないが、こういう人間を存在させてしまっているのは現実だから、これも仕方がない。
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すっきりしない天気だ

2013-05-26 | Weblog
嫌なニュースの数々は、一度で終わらない。気の滅入る続報が続く。……維新の会・中山成彬衆院議員がツイッターに、旧日本軍の「慰安婦」だった韓国女性と橋下徹共同代表の面談中止について、「橋下氏に強制連行の中身を鋭く追及されるのをおそれたか?化けの皮がはがれるところだったのに残念」「(慰安婦の)支援団体側は政治利用される心配もあると説明しているが、面談を申し入れてきたのもこれまで政治利用してきたのも先方側だった」と投稿。今回の橋下市長の問題発言が面談申し入れの後であることがわかっていてこんなことを言うのか。「強制連行の中身を鋭く追及」? それが本音だったわけだ。度し難い。……福島第一原発事故の避難住民が自宅に戻ることができる放射線量「年20ミリシーベルト以下」の帰還基準について、一昨年暮れ、民主党政府が住民の安全をより重視して「年5ミリシーベルト以下」に強化する案を検討したものの、「避難者が増えることを懸念して見送っていた」ということが、明らかになった。ひどい話だが、なぜ今になってこの情報が露出するのか。これは「年20ミリシーベルト以下」の帰還基準が自分たちの決定ではないとして責任を回避する自民党のエクスキューズに使われるだろう。だが自民党安倍政権もこの路線を基本的に継承している。これから「20ミリ以下」の地域で帰還準備が本格化するはずだが、本当に帰って大丈夫だと保証できるのか。……午前中、座高円寺の指定管理者である〈NPO法人・劇場創造ネットワーク〉の会議。……午後、稽古。今日は前日まで3日間の「千本ノック状態」とは気分を変えて。早めに切り上げる。……夜、座高円寺「月いちリーディング」に顔を出す。取り上げられたのは、くるみざわしん作『精神病院つばき荘』。稽古は早めに終わったとはいっても遅れて着くしかなかったのでリーディングそのものは聴けなかったわけだが、事後の討議を聞く。私は戯曲じたいは読んでいるので、話にはついてゆける。劇作家協会・座高円寺の事業も、ちゃんと定着したものだなあと思う。……さて、劇作家協会に「DJ部」発足!? これからの活動に期待。
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がんじがらめにされる時代

2013-05-25 | Weblog
国民全員に番号を割り振る共通番号制度関連法(マイナンバー法)が参院本会議で成立。国民1人1人に個人番号を割り当てて、「年金」や「医療保険」、「納税」など、国や市町村などがバラバラに管理している社会保障や所得の個人情報をネットワークでまとめ、一元的に管理するという制度。2015年10月からすべての国民に11桁以上の個人番号を通知、2016年1月から実施。同法は昨年の衆院解散でいったん廃案になったが、その後、自公民3党による修正を経て再提出されていた。アメリカのソーシャル・セキュリティー・ナンバーのように、「先進国では導入されている」と言われているが、国民は配布される番号が入ったICカードを使えば、一部の役所での窓口手続きが簡単になるという。逆にいえば、所得や納税額、所有不動産、受診歴、失業給付を受けた記録、公営住宅を借りた記録、など90項目以上の個人情報を行政機関が握ることになり、その秘密が保全されるかどうかが懸念される。政府は情報をまとめて管理することで、年金や生活保護などの社会保障の給付が正確にできるというが、所得を把握して税金の取り立てに役立てることが目的だろうという声もある。さまざまな購入、施設利用の際に提示を義務づけられ、それがネットワーク上に保存されれば、個人の思想・傾向が「当局」に把握されてしまうことになる。「管理されたくない」という人々の「自由」はどうなるのか。私は常々、「表現したい」という欲求は「自由になりたい」というそれと重なると考えている。故に今回の制度は「表現の自由」に抵触する悪法であると断ずる。アメリカに於けるソーシャル・セキュリティー・ナンバーは、かの国が移民社会であるがゆえ、その所得が「市民権」を獲得したことと等しく理解されている面もあるが、我が国はそれとは事情が違うはずである。……東電福島第1原発事故による被ばく問題を調査していた国連人権理事会の特別報告者、アナンド・グローバー氏の、近く人権理事会に報告される報告書では、福島県が実施する県民健康管理調査は不十分として、内部被ばく検査を拡大するよう勧告しているという。県民健康管理調査で子供の甲状腺検査以外に内部被ばく検査をしていない点を問題視。画像データやリポートを保護者に渡さず、煩雑な情報開示請求を要求している現状を改めるよう指摘している。白血病などの発症も想定して尿検査や血液検査を実施するよう求めた。また、一般住民の被ばく基準について、国が年間20ミリシーベルトを避難基準としている点に触れ、「人権に基づき現在の法令が定める年間1ミリシーベルト以下に抑えるべきだ」と指摘、それ以上の被ばくをする可能性がある地域では福島以外でも政府が主体になって住民の健康調査をするよう要求。政府や福島県に厳しい内容になっている。……茨城県東海村にある日本原子力研究開発機構の実験施設で23日、金属の金に特殊なビームを当てて素粒子を発生させる実験中に装置の誤作動が発生し、放射性物質が管理区域の外に漏れたという。このトラブルで22歳から34歳の男性研究者4人が内部被ばく。装置が誤作動してビームの出力が通常の400倍に上がったため金が高温になって蒸発、放射性物質が発生したという。最大の被ばく量は1.7ミリシーベルト。また、建屋内の装置のそばにいたおよそ30人が内部被ばくしたおそれがある。建屋内の汚染は最大で1平方センチメートル当たりおよそ30ベクレル、建屋は封鎖され立ち入り禁止になっているという。周辺の住宅地は、最も近いところで、施設から700メートル余り離れたところにある。日本原子力研究開発機構では、福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」で重要な機器の点検漏れなどが相次いだことを受け、鈴木篤之理事長が辞任したばかり。幹部のクビを切っても問題は解決しない。一度始めたことはなかなか止めることができない原子力関係の問題が浮き彫りになった形だ。……維新の会・橋下大阪市長は、沖縄のアメリカ軍の幹部に風俗業の活用を進言したことについて「不適切なことばを使った」などとして、初めて「アメリカ国民とアメリカ軍に対し、謝罪したい」という考えを示した。沖縄の人たちには謝らないのか。それですむと思っているのか。なぜみんなこんな暴言を、それをマスコミに垂れ流すことを、許容しているのか。……制度そのもので、放射能に包囲された環境で、無神経な言動で、ほんとうに人間ががんじがらめにされてしまった時代だ。管理・支配されることをそれほど違和感なく受け入れてしまう人が増えているのかもしれない。現在の日本人の特徴は「依存心の強さ」と感じているが、それがとことん行き着くところまで来たかんじだ。
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面会拒否は当然

2013-05-24 | Weblog
本日予定されていた維新の会・橋下徹大阪市長と元従軍慰安婦の女性二人の面会が、二女性の「拒否」により、中止になった。支援団体によると、慰安婦を巡る橋下氏の発言で二人は心身ともに疲れており、「発言を撤回するつもりがないのなら会う意味がない」との意向を示しているという。参議院選挙を目前に控えた橋下市長にとってこの面会は「生き残りをかけた名誉挽回の場」であり、今回の面会についても、「謝罪パフォーマンスを企て、その上ひざまずいて謝るという一過性のマスコミ操作を準備している」ことがわかったため、「利用されることを拒否した」ということだ。87歳と84歳、韓国在住のこのお二人は、日本各地で開かれる証言集会に参加するため17日から来日中で、4月末に橋下氏への面会を申し入れていた。橋下氏がその後、今月13日以降、慰安婦制度について「軍の規律を維持するために当時は必要だった」などと発言していることに対して、発言の撤回と謝罪を求めていた。しかし橋下氏は撤回せず「「慰安婦」制度は必要だった」「強制連行の証拠を見せろ」という主張を変えない。「口先だけの謝罪を受けても意味があるのか。政治利用されるだけではないか」と、面会を断ることを決めたのは、至極もっともだ。来日中の二人は「経験した本人がいるのに、どうして証拠がないと言えるのか」「妄言で過去の歴史は変えられない」と批判。「橋下市長の被害者を傷つける一連の発言に、被害者が耐えられなくなった」「もう、顔を見るのも苦痛なのだ」「橋下市長は、今も被害の傷を抱えながら勇気を持って証言するお二人が面会するに値する人物ではない」という声も、支援関係者から出ている。……この間、橋下市長は「日本だけでなくいろんな国が、「慰安婦制度」を活用してきた」というが、第2次世界大戦中に軍や政府が公的に兵士のためにそのような施設をつくった例が、日本とドイツ以外にあるのか。橋下市長は、沖縄の在日米軍に風俗業の活用を提案したことについては、「国際感覚が乏しかった」と言い、読売新聞は社説で「韓国などとの情報戦で押し込まれ、日本がいくら弁明しても、国際的にはなかなか受け入れられにくい状況は憂慮すべきだ」という。だが、今回は、橋下市長本人が、国際的な状況に関わる発言を、自分の方からしたのである。維新の会・平沼赳夫代表代行の「従軍慰安婦と言われている人たちは戦地売春婦だと思っている」「昔は公娼制度があり、戦地売春婦をしていた女性が訴訟を起こしてきた」という、信じがたいひどい発言も、自分の方から勝手にしているのである。「情報戦」でどこかの国が仕組んだわけではない。「国際的な問題」について、相手を納得させることができないまま、国内での体面や選挙対策のために言及することは、無知である以上に非常識、あまりにも愚かである。維新の会・石原慎太郎代表は「軍に売春はつきもの」というが、ほとんどの国で売買春じたいが「違法」であり、なくそうと努力していることは、間違っていると言いたいのだろうか。「人類がある限り、戦争はなくなりはしない」とうそぶくことが、誰を利するのか。今こそ「平和憲法」の死守が必要だと、痛感する。
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「国連拷問禁止委員会」

2013-05-23 | Weblog
「慰安婦制度は必要だった」「米軍司令官に風俗業の活用を進言した」など、維新の会・橋下徹大阪市長の一連の発言に対し、市長本人と辞職と発言の撤回などを求め、政府の責任を追及する抗議の声が、各所から上がっている。そしてついに「国連拷問禁止委員会」が、「従軍慰安婦は必要だった」との橋下大阪市長の発言に日本政府の見解を求めた。同禁止委員会は、警察や国家権力による拷問や非人道的な扱いを禁止する拷問禁止条約に基づき1988年に設置されたもので、近く「慰安婦制度は戦時下で対象にならない」などと責任を回避する回答を示した日本政府に対する勧告を発表する予定という。同委員会には「強制的に慰安婦になったわけではない」という主張が日本にあることに言及し「とうてい受け入れられない」とする厳しい指摘がある。この間の橋下市長ら維新勢力の差別発言は、不正確な知識に基づく差別で「国へ帰れ」「殺せ」など罵声を飛ばし威嚇・迫害を扇動する民族差別のヘイトスピーチと変わらない。「ヘイトスピーチ規制法」がある欧州の多くの国でなら、野放しのままにはされないはずである。かの国々では法規制と表現の自由は対立概念ではなく、逆に表現の自由を守るために差別的言説を処罰するという発想があるという。背景には、国家権力が表現の自由を抑圧する一方で、その名の下でユダヤ人を迫害した歴史がある。国際法の世界での「人道の罪」からの断罪の目が日本に向けられつつある今、差別を容認するかどうかについて、日本国民の態度も問われている。そもそも差別的な態度が明らかだった者を、政治家や首長に選ばなければよかったのである。参院選までに少しでもそうした意識が浸透すればいいのだが。「国連拷問禁止委員会」という名前は物々しいが、差別が精神的な拷問だということを、改めて気づかせてくれる。……オスプレイの訓練に使われるヘリパッドの建設に一緒に反対して欲しいと、東村高江の住民が、伊集盛久村長に建設計画の撤回を求めている。同村長は、「ヘリパッド計画はオスプレイを想定していない」というが、北部訓練場では日常的にオスプレイの訓練が行われており、建設中の6つのヘリパッドのうち1つはすでに完成。住宅近くや学校の上をオスプレイが飛んでいる現状は明らかなのに、どうして認めないのか。また村長は「SACO合意に同意している以上、建設容認」というが、SACO合意はあっても、どうして民家のすぐそばにわざわざ新たなオスプレイパッドを作るのか。米軍側からすれば北部訓練場の中で邪魔な位置にある高江集落の住民を追い出したいという考えとしか思えない。東村は高江地区を見捨てるのか。政治家や首長が、市民の側に立たなくてどうするのだ。
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「活用」「利用」という言葉の使い方

2013-05-22 | Weblog
安倍首相は、第1次内閣時代の07年4月に行った当時のブッシュ米大統領との首脳会談で従軍慰安婦問題について「元慰安婦の方々に心から同情するとともに、そうした極めて苦しい状況におかれたことに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。このような話をブッシュ大統領にも話した」と発言したとの政府答弁書に対し、「共同記者会見の場で記者の質問に私が答えた。首脳会談の中で私がそう申し上げたわけではない」と、あらためて否定した。一方、政府が閣議決定した答弁書は「日米首脳会談における首相の説明を踏まえたものだ」と回答しており、食い違う事態になっている。彼は、「従軍慰安婦問題について正当な認識を有していた」とは、思ってもらいたくないらしい。六年経った今、これが総理大臣としての「選択」なのだ。橋下発言問題でにわかに注目を受けることになっている従軍慰安婦問題で、国連社会権規約委員会に改善を求められている現在も、総理大臣も橋下市長と立場的に差がない、ということなのである。あるいは、この問題で全世界に非難されている現実を、彼もまた、ほんとうには理解できていないんじゃないか。……橋下市長の「韓国軍もベトナム戦争で同じことをした」という発言は、本当にひどい。これだけでも辞任すべき事態である。というか、今まで多くの政治家の「問題発言による辞任」があったが、これほどの大問題を起こしておいてこの人が辞めずにいるというのは、かなり異常なことなんじゃないだろうか。……橋下市長がこの問題の端緒、まず在日米軍兵に対して「風俗を活用すべきだ」と言った時の違和感は、そこにかなり根の深い人権無視の意識を認めたからだ。彼が「活用」「利用」と口にする時、「日本語」じたいが貶められているような気がしてくる。人間が人間に対してそういう言葉を使うことは、かなり時と場面を選ぶはずなのだ。言葉は人権を蹂躙するための道具として使われるべきではない。……日本原子力発電が、敦賀原発2号機の真下に活断層があると認定した原子力規制委員会の調査チームの専門家たちに、「厳重抗議」と題した異例の文書を送りつけたという。原電の浜田康男社長によれば「専門家はわれわれの意見をほとんど無視した。だから抗議文を送った」という。個人に照準を当てた抗議は、今後、各原発での活断層調査に当たる専門家に影響を与えるかもしれない。一般論でいえば、被審査対象が、審査した側に直接抗議することじたいが「悪い」とは、あえて言わない。ただ、原電側は、公式に、正当な「反論」をすべきであって、その「反論」の根拠も含めて社会に対して説明するべきであって、その自信がないからといって、考えが違うからというだけで専門家たちに圧力を与えることは許されない、ということだ。そうした圧力を掛けること自体の異常さを世間がどう見ているかという感覚が不足しているのか、すでにそうした「世間」など、眼中にないということなのか。……この国は東京五輪招致のさいに「東京都の電力は(原発不使用時でも)充分」と世界に公言していながら、国内では「安定供給のために原発は必要」と繰り返している。二枚舌にも程がある。既に存在する核燃料を、「活用」「利用」しなければもったいない、とでも思っているのか。……それにしても、こうした現在のこの国の愚かしい言動についての情報は、未来に残るのである。いつか「あの時代の人たちは、いったい何をしていたのだ」と、未来の人たちに糾弾されることは必至。溜息が出る。……稽古たけなわの、燐光群 創立30周年記念 第二弾『帰還』。九州の山奥の物語なので、いろいろと昔ながらの日本の風情が登場する。古い日本の道具や、着物も出てくる。木之内頼仁さんは稽古場で作務衣を着ている。とくにこちらから指定したわけではないが、「なかなか着ることがないからいい機会だと思って」とは、本人の弁。なかなか似合っている。私もふだん和物を身につけることはないが、二十代の一時期、夏場は家で甚平を着ていたことがある。で、ふと思い立って、十年くらい前に入手してあまり着ることのなかった作務衣を、家で着てみた。なかなかいい。作務衣といえば、ロンドンへ行くたびお世話になっているイギリス在住の俳優・伊川東吾さんに初めてお会いした時、彼は待ち合わせ場所のノッティングヒルの劇場前の路上に、颯爽と作務衣姿で登場したのだった。もう十八年くらい前のことだ。かの国での作務衣の存在感は、これは見事なものだった。伊川さんの着こなし故かもしれないが。
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感想はないです

2013-05-21 | Weblog
市川海老蔵が日本文化を海外に売り込む政府の促進戦略「クールジャパン」の舞台芸術総合監督に就任、「クールジャパン」戦略全体のプロデュースも担当するという。感想はないです。……某・「社会派」と言われているらしい若手劇作・演出家が、国会付近で公演するのが急遽決まったとかで、自作の宣伝に「ご協力をしていただきたい」と連絡してくる。しかも「簡単に説明いたしますと」、「坂手さんが(彼の公演の)チラシを持っている写真を撮ってメールで送っていただきたいのと、それをfacebook等にUPさせていただきたいと思っています。 写真を撮影する、写真を送っていただくという少しお手数をおかけすることになるのですが、ご協力いただけましたら幸いです」だそうだ。申し訳ないがご協力できない。感想はないです。(まあこれを読んで検索して当該公演を探し当てる人もいるだろうから、間接的に「協力」しているかな)……キアヌ・リーヴスが、「もはや誰だかわからないほど太ってしまった」らしい。ネットに上がった写真を見ても、キアヌとはわからない。「顔は全盛期より一回り以上大きくなり、あごは消滅してしまっている」。そうだな、確かに。彼は「忠臣蔵」をハリウッドリメイクした映画『47RONIN』を撮影して一年以上は経っているはずだが、急激な変化のようだ。私もよく久しぶりにあった人に「痩せましたね」「太りましたね」と言われるが、根拠なく言われているようにしか思えないこともある。それにどう返答すればいいというのか。感想はないです。……最近の電車の遅れの理由のほとんどが「人身事故」。せつないといえぱせつない。とにかく首都の電鉄のほとんどが、ある意味で「自殺装置」として機能してしまっている。人の命のことはさておき、都市の現実については、どこの立場でものを言えばいいというのか。止まってしまった電車の中で感じる空気は、たんに「寒さ」を越えて「無常」であるという言い方もできる。感想はないです。……最近は『舟を編む』を手掛けた友人の映画プロデューサー・孫くんから連絡。私が電波の届かないところにいるので留守番電話に重ねて録音してくれる。「坂手、映画『ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~』を観ろ。大傑作。これは世界観的に、おまえのための映画だ。必見」と入れてくれている。今、観に行くには時間的余裕がない。だけど早く観て、素晴らしい感想を持ちたい。
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燐光群 創立30周年記念 第二弾『帰還』

2013-05-20 | Weblog
いよいよ公演まであと十日。燐光群次回公演のお知らせです。
燐光群 創立30周年記念 第二弾『帰還』。
作・演出は坂手洋二。初演は劇団民藝。二年前、東日本大震災の衝撃の中、大滝秀治のために書き下ろした。
チラシに掲載している文は、以下の通り。
何年前だったか、保坂展人さんの八ッ場ダムへの取材につきあった。壮大なスケールの準備が進められているその場所は、豊かな自然の営みに逆行する、極めていびつな、SFにさえなり得ぬ非現実の違和感に満ちていた。
……当たり前のことだが、ダムも一つ一つ違う。私はその後、「川辺川ダム」について調べるため、熊本・五木村へ行き、最後の二日間、ダム湖に沈むかもしれなかったその場所での生活を続けている、Oさんに会った。
Oさんは畑を手放した時、畑の土を少しずつ持ち帰りお坊さんにお経を上げて貰ったという。一つ一つの田、一枚一枚の畑から、土を持ってきた。土地が変わったということを先祖に報告するという意味でそうしたのだという。新しい畑に撒こうかという気持ちもあった。祖先との対話、自然との交流を重ねてきたOさんは、言いきった。「文明は人を、弱い存在にする」と。「3.11」のその日、プロットは完成した。その後、私は、Oさんの決意と、顔を紅潮させた大滝秀治さんの意欲に押されるように、自身の直感を、確信へと固めていった。
公演スケジュールは、【東京】5月31日(金)~6月9日(日)下北沢ザ・スズナリ、【名古屋】6月19日(水)名古屋市東文化小劇場、【伊丹】6月21日(金)~ 23日(日)AI・HALL共催公演 詳細は、以下のアドレスのホームページで御覧ください。
http://rinkogun.com/

さて、維新の会・橋下と石原の共同代表は、旧日本軍の従軍慰安婦に関する橋下氏の発言を撤回する必要はないとの認識で一致。橋下市長はテレビで「僕が今回言った表現の不適切さを責任回避するつもりはないが、今こういう問題になった以上は、在日米軍はぴしゃっとしていると思う」「こんなところでまた性犯罪なんか犯したら大変なことになるから、少なくとも在日米軍の司令官は絶対にそういうことは起こすなと。また橋下がわーわーわーわー騒ぐから絶対に今は犯すなということでぴしゃっと襟を正している状況になっていると思いますね」「風俗という言葉は不適切だったが、それくらいメッセージを出さないとアメリカは沖縄のことなんか振り向いてくれない」と発言。自身の発言が在日米軍の綱紀粛正に一定の効果を与えているという、あり得ない妄言。言い訳というよりも馬鹿げたすり替えである。こんな垂れ流しを許している社会というかマスコミというか国民は、どうかしている。
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沖縄への敬意を持たぬ者が沖縄を自己弁護に使うな

2013-05-19 | Weblog
維新の会・橋下徹市長が「(慰安婦肯定問題で自分を攻撃する)アメリカは、沖縄での米軍の人権蹂躙を認識していない」だと。自分は「普天間基地の辺野古移転推進」で基地廃止を望む沖縄県民の総意を無視しているくせに、沖縄をダシにした理屈の通らない反論。半端なアメリカ批判での「弁解」「自己保身」の映像と声が、テレビから飛び込んできて、一瞬でぞぞっと身の毛がよだつ。気分が悪い。……本体工事の見通しが立っていない八ッ場ダムについて、国土交通省関東地方整備局は、本体工事の実施に必要な関連工事の契約手続き開始すると発表。資材搬入などに使う工事用車両専用の道路整備と、作業スペースの造成、工事用プラントを設置する場所の造成の3工事。事情をよく知らない人には工事がいよいよ始まるのかと勘違いしたりする向きもあるらしいが、既に同種の工事は山のようにやってきている。ダムサイト本体工事が始まる見込みは立っていないわけだが、今まで通りこうして少しずつ「今年のぶん」をばらまこうというだけだ。……文化庁は文化・芸術の「海外発信力の強化」を目指す「文化芸術立国中期プラン」の素案を公表。現在1千億円程度の文化庁予算を倍増させるとしている。1千億円といっても半分は文化財保護だった。「倍増」の噂は本当だったわけだが、増額の内訳はどうなるのだろう。どういう人の意見を聞いているのか知らないが、意見を聞く「識者」が、偏っていないことを望む。現場の貧困がわかっているのか。表面上の増額でつまらぬ中間企業・団体に搾取される結果になるのは御免だ。そんなカネがあるのだったら、まずは「国立の児童館」たるこどもの城・青山劇場廃止を撤回すべきだ。……インドネシアのマルティ外相は、米国と中国を含むアジア・太平洋地域の国々が戦争放棄の義務を負う条約を締結するよう提案。「緊張の悪循環を終わらせる」という。憲法九条のある日本こそこのような国際的な戦争放棄の条約をとっくに提案していて然るべきだったという意見に、座布団一枚、いや、五枚。……昨日も午前中から十二時間近く稽古場。弁当自作(ウインナーと卵焼き)+飲み物持参なのでいったん稽古場に入ると外出の必要なし。携帯の電波を拾いにたまに半地下まで登る以外は、ほぼ地下稽古場の暮らし。午後には矢内原美邦マスター登場、この劇にも幾らか出てくる「ムーブメント」の振り付け応援、指南。でも関西勤務も始まった彼女が来られるのはほぼ今日だけなので、ベースメントの確認と方向性打ち出しのために、みっしり三時間集中。
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自浄能力のない国

2013-05-18 | Weblog
維新の会・橋下徹市長は、大阪市役所で「囲み取材」の記者団に対し、旧日本軍の従軍慰安婦制度を「日本だけでなく、世界各国の軍にそういう制度があったのは厳然たる事実」「当時は必要だった」とした自身の発言をめぐる報道について、「世界各国はそういうものを必要としていた。必要だったから(世界各国の軍が)皆やってたんでしょ。(自分が)必要と認めたわけではない」と説明。さらに「でもそれは絶対にダメ。許されない、と言いたかった」というが、まったく論理的ではない。米国務省の報道官が橋下発言に不快感を示したことについては、「慰安婦だけを取り上げて性奴隷だと批判するのなら、米兵が戦地で女性を利用しなかったのか? 沖縄の占領中、(米兵が)沖縄の女性を性のはけ口として活用したのは事実だ。それだけ人権を大切にしているのであれば、アメリカはじめ、世界各国もそういうことを反省して、沖縄で行われているような人権蹂躙行為について現況をもっと直視し、認識を改めてもらいたい」と言う。これは、開き直りというか、沖縄の苦難を自身の言い逃れに使っていて、不当である。さらに「僕は慰安婦を容認したことは一度もない。メディアは一文だけ聞いて、そこだけ取る。(誤解されたのであれば)日本人の読解力不足だ」とし、追及されると「言葉の問答をしたって意味がない」「日本人の国語力で全体の文脈、文章全体を見れば、(発言の真意は)理解する。メディアは一文だけを取る」とマスコミへの不満を述べ、ある記者が「新聞記者は言葉の定義にこだわる。政党の代表も…」と言うと、発言を遮り「一言一句を全部チェックしろと言うのだったら、囲み(取材)、やめましょう。揚げ足をとるのではなく、全体の文脈を捉えて、きちんと報道するのが皆さんの役割でしょう」「あすからやめます。これは任意でやっている。やめましょうじゃあ。いや、もういいです。やめます、もう今日で最後にします」「今回はもう大誤報をやられたんで」などと激高。「それはまずいです」という記者団に背を向け、平日ほぼ毎日行ってきた「囲み取材」をやめ、今後は原則として「記者会見に限定する」意向を明らかにした。まあ、このおしゃべりな人間が、ずっと公式発言以外に沈黙を保てるとは思えないけれど。……同じ維新の会・西村真悟衆院議員は、橋下市長を庇うつもりだったのか、「外電(外国メディア)では橋下氏の報道が捏造(ねつぞう)され始めている。従軍慰安婦がセックス・スレイブ(性奴隷)に転換されている。これが国際的に広がれば、反日暴動、謀略が成功しかねない。反撃に転じた方が良い」とした上で、「売春婦とセックススレイブは違うんだ。われわれは積極的に「売春婦は日本にまだうようよいるぞ、韓国人」(と主張し)、反撃に転じた方がいいと思う。大阪の繁華街で「お前、韓国人。慰安婦やろ」と言ってやったらいい。戦いましょう」と発言した。正気とは思えない。直後に撤回したが、ホームぺージでも「国会近くの赤坂という上品な歓楽街にも、現在も韓国人慰安婦・売春婦は大勢いる。韓国は、慰安婦を輸出しているのかと思うほどだ」などと発言している。彼は「韓国と国名を挙げたのは不穏当だった」「党に迷惑をかけた」として離党届を提出したが、党ではなく韓国の人たちに詫びるべきだろう。同党は離党届を受理せずに除名処分、議員辞職を求める方針というが、どうやらこの人はこういう発言をこれまでにもいっぱいしていて、同党には「容認」されてきている。党は党としての責任を取るべきではないのか。……こんな最中、米ニューヨーク州下院は、旧日本軍の従軍慰安婦問題について、「人道に対する罪」「20世紀最大の人身売買事件」などといった表現を使い、慰安婦制度を非難する決議案を採択している。なんと絶妙なタイミングか。だがこの事態を招いたのは日本側の言動である。……そして安倍首相への米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」のインタビューでの、憲法9条について「自国防衛の組織を軍と呼んでいない世界で唯一の国だ。自衛隊を国防軍と規定すべきだ」という発言が公開された。……こうしたものが同時期に重ねて発表されることで、日本という国がどういう国であると思われているか、考えてみればいい。正しい歴史認識を持たず、侵略と蛮行の過去に背を向け、「謝ったふり」「ごまかし」を重ね、真に誠意のある謝罪と未来展望を表明してこなかったツケである。……一方、福島市では、韓国大使館や韓国の観光公社が主催するK-POPの歌手によるライブや「ナンタ」公演などのイベントがあり、日本との関係が冷え込む中でも、東日本大震災被災者への支援を続ける考えに変わりがないことをアピールした。……ほんとうに、この国が、愚かで、無残である。諸外国からは、日本政府は「政治ごっこ」をやっているだけの愚か者たちに見えているだろう。かつての「オウム真理教」幹部が、それぞれ政治的なセクションごとに大臣や役職を名乗っていたのと、大差なく感じられる。……そしてある時、橋下市長の理不尽、本人の開き直りが、誰かに似ている、と思ってふと気がついたのは、麻原彰晃こと松本智津夫の、憮然とした横顔であった。……それにしても、海外からの批判による外圧、失言による自滅、そうしたことでしか動かないこの国に、自浄能力はない。では、どうすれば自浄ができるかって? それは、憲法を遵守することである。大事なことはみんな憲法に書いてある。守ればいい。最高裁の違憲判決も尊重して、従う。それだけだ。あまりにも守られなくなっているが、これでも憲法は存在するだけで、まだ抑止力になっている。基本的な人権に関わる部分を今この時期に改悪するなど、とんでもない。
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世界から非難されて当然と、わかっていないのか

2013-05-17 | Weblog
米政府当局は、戦時中の旧日本軍慰安婦を「必要だった」などとした日本維新の会・橋下徹大阪市長による一連の発言について、「発言は言語道断で侮辱的なものだ」等、厳しく非難するコメントを出した。中国外務省も「日本の政治家が人類の良識と歴史の正義に公然と挑戦する言論を発表したことに驚きと強烈な憤慨を示す」と発表。その他、海外からの批判は続々、留まるところを知らない。橋下市長は前日までの強気の姿勢から一転、「国も価値観も違う他国への話の仕方として表現が不適切だった。国際感覚がなかった」と「反省」を口にした。6月に予定している訪米に悪影響が出かねないと判断、米側に配慮したためとみられている。出張手続きを進めている大阪市が「従軍慰安婦や風俗活用の発言で、現地の受け入れ態勢が十分に整わない可能性が出ている」として、いったん訪米を見合わせる事態になっていたらしい。それでもなお「波紋を起こしながらでも、議論をしていくのが世界のスタンダードだ」と譲らず、「風俗業を活用すべきだ」とする主張自体は撤回しない彼の言説は、いつも通り本質的な意味では「反省」を感じさせない。「入国拒否はないと思う」というが、一連の「歴史捏造タカ派発言」により、「差別主義者」に加え「侵略(=テロ)肯定者」と周知されれば、入国云々というひけらかし以上に、国際世論による断罪は避けられまい。……沖縄の友人・宮城康博はネット上で「こいつに大阪市長続けさせるなら、大阪で海兵隊引き受けて。それが筋だろ」「普天間は撤去させるべき基地で、どこにいこうと俺の知ったこっちゃないが、大阪市長が親身に考えてくれているようだから、そこへ持って行くのが一番だろう。海兵隊は金づる日本を離れたくないし、日本国は抑止力として海兵隊手放したくないらしいし、沖縄はいい加減イヤだと言ってるし。大阪しかない」「沖縄の自民党は「県外移設」などとタルイこと言ってないで、「大阪に移設を」と参院選公約にすればいい。大阪に橋下市長がいる。海兵隊に風俗活用を促し性犯罪も減る。沖縄にとっても日本国にとっても、米軍にとってもWINWINじゃないか」「私は「県外移設」という言葉が嫌い。移設という概念が軍隊の存続を前提にしていることが許せないんだろうきっと。しかし橋下のような言説がまかり通るなら、橋下を橋下たらしめてる人々に受け入れてもらおうではないかとマジでおもう」と言う。至極もっともである(宮城さん、あまりにも正論なので調子に乗っていっぱい引用した、許してね)。確かに二年前の全国知事会などで橋下市長は「普天間基地を引き受ける」旨の発言もしていた。今回、わざわざ沖縄で米軍相手に米兵の風俗活用をも「提言」しており、それなら「沖縄でなく自分の所でやってくれ」と言われても、仕方あるまい。……それにしても今回の橋下市長の失墜必至の動きで、棚ポタ的に評価の相対的上昇を予測しほくそ笑んでいるのが安倍総理・自民党だという意見もあるが、数年来の言動の蓄積で海外から同様に「差別主義者」「歴史改ざん者」のレッテルを貼られている安倍・自民党が、一蓮托生として国際的非難を浴びることも現実的にはありうる。安倍首相は衆院選前には「橋下氏は戦いの同志」としており、特に慰安婦問題に関し、橋下氏が「強制連行を直接示すような資料はない」とした平成19年の安倍内閣の閣議決定を引用し、慰安婦募集の強制性を認めた河野談話について 「証拠に基づかない内容で最悪」と批判したことを、「大変勇気ある発言だった」と「評価」していた。また、本日の発表によればこの国の国会議員団は橋下市長の「従軍慰安婦発言」について「政府の認識を踏襲したもの」としているのだ。しかし、つまり、このまま来たる参院選で自民党が勝ったりしたら、この国の、国民も含んだ全体が、晴れて同様の「差別国家」「人権後進国家」と認定されてしまうわけである。冗談ではない。……今回の橋下「風俗」「慰安婦」発言で、他に名前がよく出ているのが、稲田朋美行革相。彼女は、安倍首相、下村文科相、古屋拉致問題担当相、高市政調会長たちと、アメリカの新聞に「The Facts」 と銘打った「歴史改ざん」一面広告が載った時の賛同人に名を連ねていた。昨年8月には「日本はこれまで、戦後レジームの中核を成す東京裁判史観に毒されてきているせいで、歴史認識について言うべきことを言わず、なすべきことをしてこなかった。むしろ、言うべきでないことを言い、すべきでないことをしてきた。その典型が 河野談話、村山談話、そして菅談話である。領土と歴史認識を同じ土俵で論じることには違和感がある。が、相手側が歴史認識を論じる以上、それにも冷静に反論することが必要だ。その前段として、有害無益な談話類は受け継がないと宣言する新談話を即刻出すべきだ。(中略)「慰安婦」問題については、日本の政府や軍が強制連行した事実はない、と明確に主張しなけれ ばならない。問題の核心にある「強制連行」がなかったのだから、謝罪も補償も必要ではない。当時は「慰安婦」業は合法だった。それにもかかわらず「強制性」を認めて謝った河野談話を否定し、韓国や米国で宣伝されているような、朝鮮半島の若い女性を多数、強制連行して慰安所で性奴隷にしたといった嘘でわが国の名誉を毀損することはやめていただきたいと断固、 抗議すべきである」としている。しかし今週の「旧日本軍の『従軍慰安婦制度』は 必要だった」とする橋下市長の発言に対して彼女は、「『慰安婦制度』は大変な女性の人権に対する侵害だ」と批判、橋下市長が在沖縄の米軍幹部に風俗業 の活用を促したことには「意味が分からない」と、不快感を示したという。この件について、現職の政府要職者が、「慰安婦『制度』」と呼称し、「制度」があったことを認め、それを「人権侵害」だと言っているのであり、この人、本当に「歴史認識を改めた」のではないかと、皮肉混じりに言う人も出ているようだ。やれやれ。……さて、ニュースによれば、渦中の安倍総理が「成長戦略」として、これから日本のドラマ・映画の「輸出」に力を入れるというが、「韓流」の国際進出路線に追随するつもりだろうか。遅すぎないか。文学、音楽、パフォーミングアーツには、同様の措置は考えないのか。というより、これは、誰がやろうと同じことだが、表現者・アーティストの権利・生活の保護と養成制度についての発展的な視座もなく、ただ見せびらかすようにカネをばらまくだけなのであれば、結果はついてこないであろう、と思うだけだ。……ところで、最近締切られた、某助成金申請枠があった。極めて悩ましい問題を含んでいる。今回のケースもそうだが、私たちも含めた幾つかの団体は、先進的な活動形態を模索し積極的に活動するが故に、ある種の矛盾の谷間にいて、然るべき援助を受けられない可能性もある。むなしいが一つ一つを丁寧に当たって解決に向けて動いてゆこう。それが未来の人たちへの責任でもある。……帰宅して、その他の雑務、書かねばならない原稿に追われる。しかし日々の防忘録(備忘録が正しいのだが)としてもこうして毎日、文を記す習慣もついてしまっている。まあこれからしばらくはこんな長文は無理になりそうだが。そもそもこれは「百五十字ブログ」だったんだぞ。……世間の趨勢はどうであれ、結局我々は現場人だ。一日十時間以上、稽古場にいる生活が続いている。今日は十一時間。それが仕事だ。……毎日の習慣といえば、最近連続して弁当を持参している。自分で作る。佃煮、キムチ、海苔に何か一品つくだけの、製作時間が極めて短いシンプルそのもの、詰めるだけの「弁当男子」だが。今日はほうれん草を入れたのでなんだか元気な気がした。単純なものだ。
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