「初日」が二日に跨いでいます。
〈別役実メモリアル〉「別役実短篇集 わたしはあなたを待っていました」は、Aプログラム、Bプログラムに分かれていて、それぞれ二本ずつ。昨日、Aプログラムの「初日」は終了しましたが、Bプログラムは本日これからです。
『舞え舞えかたつむり』『この道はいつか来た道』、の二本。夜7時からです。
もっとも、昨日と今日は「プレビュー」という扱いで、販売も限定的だったため、客席には余裕があります。当日、ふらりとお越しいただいても大丈夫です。ゆったりとご観劇できます。また、Aプログラム、Bプログラムの並びは、どちらを先に観ていただいてもいいようになっています。Bプログラムから先に観ていただいてもなんら問題はございません。ぜひ本日、飛び込みででもご観劇ください。
あす27日は、13時から、四本の通し上演です。こちらはたいへん混み合っております。緊急事態宣言が解除されたため、増席ありで、当日券も販売はいたしております。
写真は、『舞え舞えかたつむり』。本日初めての本番です。撮影・姫田蘭。左より、武山尚史、町田敬介、杉山英之、猪熊恒和、鴨川てんし。
〈別役実メモリアル〉「別役実短篇集 わたしはあなたを待っていました」
パンフレットに記載した、ごあいさつ文です。
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今回の別役実短篇集四作連続上演は、ほぼ共通のセットで上演される。
別役作品の舞台は、公園や道端、電信柱やベンチがあるという設定が多いから、人が通り過ぎる場所で足を止めたときに何かが起きる、事件に巻き込まれる、といったシチュエーションが多い。
だが私たちは、昨年上演した『天神さまのほそみち』もそうだが、通り過ぎる場所ではなく、「行き止まりの場所」を選んだ。
人々は、町の中の、ふと入り込んだ袋小路のような地点で、つまり、どん詰まりの場所で、出会い、やり取りすることになる。
屋内の設定の場合も、そこはほとんど、登場人物にとって「先のない場所」だ。
『いかけしごむ』は、なにしろ、イカの断片と消しゴムが似ていることに着目した別役さんが、こんな戯曲を書いてしまったことに驚かされる。都市の孤独、そして人間は何のために生まれ死ぬのかというテーマを読み取る人もいるだろう。私は一読して、この不条理な喜劇の理不尽な魅力の虜になった。
『眠っちゃいけない子守歌』は、別役作品屈指のキャラクターが登場する。なにしろ、彼らは「世界と対決」するのだ。演劇の楽しさに満ちた、しかし、せつない作品だ。
今回上演する四本のうち唯一、テキレジをさせていただいたのが、『舞え舞えかたつむり』である。といっても、せりふのカットはない。別役氏のライフワーク〈犯罪症候群〉に向き合う第一作である本作は、今回、もっとも華やかで賑やかな作品になるはずである。
『この道はいつか来た道』は、実に不思議な戯曲である。別役さんはどこに向かおうとしていたのか、と思う。人生の終末期を描いた戯曲であり、今回の四本の中では一番最後に書かれた作品だが、執筆時の別役さんは現在の私よりやや若い年齢だ。
いろいろお話しするようになった頃の別役さんは、五十歳前後だったはずである。当時の私は、別役さんと同じく、最寄りの駅が西永福だった。私と別役さんは「この町」を共有していたともいえる。
この劇のため、一ヶ月以上、西永福も含めた杉並区内を通って、下北沢に毎日通っている。別役さんが予見していた「行き場のなさ」を痛感しながら、である。
〈別役実メモリアル〉「別役実短篇集 わたしはあなたを待っていました」は、四作品で一つの作品であると考えています。くれぐれも、四作品全てを御覧いただきたく思います。半数の二本だけを御覧になるつもりだったお客様も、ぜひ後の二本を御覧いただけますと幸いです。
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〈別役実メモリアル〉「別役実短篇集 わたしはあなたを待っていました」
6月25日(金)〜7月11日(日)
下北沢ザ・スズナリ
『舞え舞えかたつむり』『眠っちゃいけない子守歌』『いかけしごむ』『この道はいつか来た道』、一挙、四本立て。
〈全4作品通し上演〉の日は四日しかありません。売り切れ必至ですので、〈全4作品通し上演〉をご希望のお客様は、早めにご予約ください。
他の日も、二時間程度の長いインターバルを挟んで、全四作品を御覧になれる日がほとんどです。観劇の合間には下北沢の街を散策していただき、一日で四作品を見ていただくことが出来ます。
四日間だけ、半数の二本だけを上演する日があります。スケジュールの問題で観劇のご都合が着かないときには、是非この日と別な回を組み合わせてみてください。
〈別役実メモリアル〉「別役実短篇集 わたしはあなたを待っていました」は、四作品全てで一つの作品であると考えています。便宜上、二本ずつ分けて「Aプログラム」「Bプログラム」という表記もしていますが、くれぐれも、四作品全部を御覧いただきたく思います。
ご観劇料も、この規模の上演ではあまりない低価格でご用意しております。
http://rinkogun.com/Betsuyaku_Tanpen.html