映画『エッシャー通りの赤いポスト』のことを書くのを忘れていた!
映画監督との出会いを求める若い俳優たちから高額の謝礼を取って行ういろいろな人が行ってきたワークショップについては、これまで賛否両論あったわけだが、『カメラをとめるな!』のヒット以来、逆に、そうでもしないと新進俳優たちが登場する場がないという現実が浮かび上がったというのも、まあ、事実だし、共有・認識すべきことだ。
園子温監督の新作『エッシャー通りの赤いポスト』もそうしたワークショップ映画の一つだが、園子温らしさにも満ちていて、ちゃんと作家の映画になっている。
園子温監督との出会いは、8ミリの『俺は園子温だ!』以来だから、ずいぶん昔だ。じかに接したのは、内田栄一さんとの関わりからである。内田さんの通夜後半は、演劇人は私だけだったような気もするが、藤田敏八さん大山勝美さん以外は私も含めみんな三十過ぎの若者で、石井聰亙さんもいたが、そんな中でひときわ大騒ぎしていたのが彼だった。やんちゃ上等、は、それでいい。
若い新人たちを集めて作品を作るのは、私もよくやる。『カムアウト』『カウラの班長会議』とかも、そういう部分があり、それがうまくいくと勝手に確信しているのだが、『エッシャー通りの赤いポスト』も「根拠なき確信」に満ちていて、私は嫌いではない。
誰でもが同じ感想を持つだろう「?」というか、あれはもうちょっとこうだろう、とか、言う人は言うだろうところは多々あるが、まあ、それはそんなものだ、とも、いえる。
そして、もう十年以上のつきあいになるらしい企画者・松枝佳紀という男とは、出会って以来いろいろとあったが、とにかく彼がこんな映画を拵えることができたというのは、いいじゃないか、と、認めるべきだと思う。そうとう苦労したのだろうと思う。
堂々、お正月映画である。
興味のある方は、ぜひ。
お正月気分とは関係なく、これからの日本の表現界について考えるきっかけになること請け合いである。
夏に撮影したことによる空気感、というのは、ある。そんな言い方をすると、どちらかというと、お盆映画か(笑)。
というか、言葉では説明できない何かというものは、ほんとうに、あるのだ。
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