2159冊目はこの本。
井原裕『うつの8割に薬は無意味』(朝日新書、2015年)
今度も先月読んだ「うつ病論」の本。最近の本だけど、こちらは2158番目の本とは切り口が異なる。
こちらの本は、タイトルにもあるとおり、「うつ」の治療に薬物投与はそれほど必要がなく、必要なのは2割程度の人だという。「薬の前に、まずは睡眠・断酒」等々生活環境を整え、からだのリズムを取り戻すことが大事だ・・・・というのが、基本的な論旨。
この論旨もよくわかるし、製薬会社が「うつ」に効く薬を売り込もうとしている・・・・という話も、それなりによくわかる。
ただ・・・。そうなってくると、では「なぜこの現代日本社会において、睡眠などのからだのリズムに変調をきたし、その影響で心身のバランスを崩して精神科医療のお世話になる人が増えてくるのか?」という、きわめて重要な課題がこの本を読むと浮上する。
また、この点については、2158番目の本を読んで感じたこと(なんらかの社会生活上の適応に困難を抱え、気分の落ち込みや過敏等のメンタル面で生きづらさを感じている人がいて、助けを求めて精神科医療の窓口に来ること)とも重なってくる。