できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

自戒をこめて

2008-12-28 19:24:07 | 悩み

「支えあうべき人と、闘うべき相手を取りちがえている。しかし、そうやって手を取りあうことができない状態にもっていくのが、支配する側の戦略なのだ。

 その手に乗ってはいけない。」

(辛淑玉『その手に乗ってはいけない!』ひとなる書房、2008年、p.181)

さっきまで読んでいた本に、この言葉がでていた。自戒もこめて、紹介をしておきたい。

大阪市の青少年会館条例の廃止・市職員の引き上げ等の一連のプランが発表されたのが、22006年の夏の終わり。それがほぼそのまま、当時の市長の方針として決まったのが、2006年の11月末のこと。それから気づけば、2年と少しの月日が流れた。

この間、私や私をとりまく人々の間で、辛淑玉さんが書いているような出来事が全く無かったのかというと、そうではない。本当は支えあって、協力しあって、いっしょに青館条例廃止後の各地区で、子どもや若者の活動を再建するべく努力していけるはずの人どうしが、いがみあったり、争いあったりしてきたことが、まったくなかったとはいえない。

いや、各地区で活動をしてきた人たちはその立場で、運動体の人は運動体の中で、市職員は市職員どうしの間で、それぞれに考え方や意見の食い違いなどがはっきりしてきたり、あるいは、目指すところのちがいが明確になってきて、ひとり、またひとりと、所属団体などを去っていくということも起きているのではないだろうか。

特に、一連の不祥事をめぐる対応のあり方をめぐって、いろんなもめごとや意見の食い違い、さらには仲たがい、仲間割れという事態に至ったところだってあるだろう。そして、そういうことをうまく整理したり、食い止められなかった私なども、やはり「ほんとうに自分の対応はこれでよかったのか?」と思うところが多々ある。

ただ、あれから2年が過ぎた今、やはり「ほんとうにこのままでいいのか?」と言いたい。「争うべき相手を、まちがえてはいけない」といいたい。

もちろん、「過去のいきさつをすべて水に流せ」とか、「昔のことは脇において」とか、そんなことまで言う気はない。

しかし、本当に大阪市内の子ども・若者の居場所を、至るところにつくっていく。特に、生活困難層の子どもや若者への支援施策を充実させ、そのための拠点になるべき居場所を増やしていく。その一点をお互いに願っているのであれば、ここから先は立場のちがいを乗り越えて、できるところから少しずつ協力関係を構築して、できることを共に行っていくなかで信頼関係を再度、創りだす必要があるのではないだろうか。

私たちが今、本当に考えなければいけないのは、目の前にいる生活困難層の子どもや若者の暮らしであり、その子どもや若者たちの「今後」のことである。そのことをきちんとおさえて、そのことで協力できる仲間を増やしていくこと、そのことで協力できる仲間どうしの信頼関係を作り出していくこと。まずは、そのことではなかろうか。

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