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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

空き施設は使わないともったいない

2008-12-14 11:57:35 | 国際・政治

「事業廃止などで出てきた空き施設は、それが使える間は、何かの形で有効活用しないともったいない」って思うのは、私だけでしょうか?

昨日、大阪市市民局のホームページから、今年11月18日にあった「第5回地対財特法期限後の事業等の見直し監理委員会」の配布資料を見ました。そこでどんな議論があったのか、早く議事録(要旨)の公開をしてほしいと思っています。

ただ、その配布資料を見ていると、そのなかには例の「市民交流センター(仮称)」構想にかかわる文書もありました。以下は、その資料・文書を見て気づいたことです。

まず、この「市民交流センター」案ですが、目指すべき理念についてはまだ詰める余地はあっても、いちがいに「ダメ」とはいいきれません。多世代交流の場や地域の枠を越えた市民の交流という方向性は、私も「それができればいいよね」と思うものです。また、今まで「ほっとスペース事業」の実施場所として旧青館(旧青少年会館)を使ってきましたが、市の子ども施策や高齢者背策などについては、その実施場所をなんらかの形で今後も引き続き確保する必要があると思います。

ただ、施設のハード面から考えたときに、「今の人権文化センターは、そういう多世代交流の場として、多様な活動を展開できるような設計になっているのかな?」と思うのです。例えば体育館やグラウンドなどでしたら旧青館が子どもの活動場所として持っていますし、工作室や音楽室のスペースも旧青館にはありますよね。子どもが何か多様な活動をする上では、旧青館のほうが便利ですし、場合によれば、高齢者や障がいのある人たちの文化サークル活動だって、旧青館の諸設備を活用したほうがいい、というケースだってあるかもしれません。

そう考えると、今の構想では人権文化センターを「市民交流センター」に転換すると考えていますが、実際にそこを活用している人の利便性から考えて、「いっそ、旧青館施設を市民交流センターにしては?」という考え方もできるかな、と思うのです。

あるいは、「市民交流センターA館・B館」みたいに位置付けて、旧青館と人権文化センター、両方とも使えるようにするとか。そのほうが、常設で市の事業の実施場所をキープしたり、あるいはNPOなどに委託する形で子どもの学童保育的なとりくみ、学校の補習事業的な取組みをしつつ、同じような時間帯に高齢者の活動など、多様な住民の活動を展開することも可能になるでしょう。そして、どうしてもこうした市民利用施設は、土曜日・日曜日・休日や夜間の利用がメインになりがちですが、このような利用しやすい時間帯にニーズが集中しても、建物・部屋が複数あれば、受け皿はそれだけ多様にあるということになりますよね。

そして、「市民交流センター」への統合後、供用停止になる施設は20施設近くになりそうですが、あれ、「雨風にさらして、朽ち果てるまで放置」ということにするつもりでしょうか? それこそ、もったいないですし、地域コミュニティの荒廃を招くような気がします。それは建物を取り壊し更地にしても、「買い手がつかないから、空き地のままにしておく」場合も同じことです。

いっそ、更地にして買い手がない間は「地元住民のスポーツ活動の場所」として使えるようにするとか、「家庭菜園的なことができる場」にするという道もあるでしょう。あるいは、供用停止しても数年間放置するつもりなら、「光熱水費を払ってでも、そこでNPO活動をやりたい」という団体(それも複数)に、いっそ施設の管理面まで含めて任せてしまえばいいのではないでしょうか。

せっかく建てた施設ですから、事業や条例を廃止することは一定やむをえないとしても、そのあとの施設の有効活用をもっと考えたほうがいいと思うのは、私だけでしょうか? また、そこが自由に使えるのであれば、「あんなこともやりたい、こんなこともやってみたい」と考えている市民って、大阪くらい大きな自治体であれば、いろいろいるのではないでしょうか。地元の人たちのなかにだって、そういう希望を持っている人もいるでしょうしね。

「もうちょっと、役所の側は市民やNPO、地元住民のパワーを信頼したら?」という風にも思いますね、この「空き施設の有効利用」ということについていえば、ですが。

ついでにいうと、市議会側も、実際にそこを使って活動している人々のニーズとか、そこで活動中の人々の願いとか、そういったものを組み入れて議論してほしいと思いますね。なにしろ、先の資料によると、年間約40万人近くの人が、青少年会館条例廃止後も引き続き、暫定利用期間中の旧青館で活動中なんですからね。その人たちの営みの重さを実感して、実際にその人たちの声も聴いた上で、議論をすすめてほしいです。

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