2176冊目はこの本。
山本智之『「聖断」の終戦史』(NHK出版新書、2015年)
先ほど2175冊目で紹介した本が、近代日本の歴史がいかに戦争に次ぐ戦争の歴史だったかを語った本とすれば、こちらの2176冊目の本は、その何年も続いた近代日本の戦争を終わらせることがいかに難しかったか・・・ということを、アジア太平洋戦争期の帝国陸軍の終戦工作に関する実証的な研究を通して明らかにした本。要するに「負ける」ということを陸軍上層部が受け入れ、その準備をしていくプロセスに時間がかかった・・・ということであろう。なまじっか、帝国陸軍は中国大陸や満州に大軍をはりつけていただけに、東南アジア・太平洋戦線で米英豪などの各国軍に陸海軍が大敗していても、「ここでなお一戦を挑んで、有利な条件で講和を」という発想がなかなか捨てきれなかったようだ。