2177冊目はこの本。
井上恭介・NHK「里海」取材班『里海資本論 日本社会は「共生の原理」で動く』(角川新書、2015年)
広島湾や来島海峡、岡山県の日生など、瀬戸内海の「里海」の再生に取り組む人々の取材を通して、NHKの取材班がまとめた1冊。赤潮に代表されるような海洋汚染に対して、貝類や海藻類の水の浄化能力を高めるように人間が少し自然環境に手を加える(それが「里海」。山でいう「里山」のようなもの)。そのことを通じて海水が浄化され、貝類や海藻類を食べるプランクトン、小魚類が復活し、そのプランクトンや小魚を食べる大きな魚も集まってくる・・・・。このようにして海の生態系が豊かさを取り戻せば、魚介類や海藻類を扱う漁業が活性化し、漁業の活性化は漁港での水産加工業、小さな船舶に関する造船や船の修理業等の活性化、さらにはその魚介類や海藻類を活かした飲食業、農業などの活性化へとつながる。人々の生活に身近な環境の整備は、結果的に諸産業の発展、人びとの暮らしの豊かさへとつながる・・・・ということがわかる1冊。こういう発想を、大阪府・市の(経済)再生、都市活性化にも取り入れてほしいよなあ。たとえば大阪湾の環境の浄化とか・・・。